第3回 学問の真理、人間の心理

【対話を終えて ~感想集より~】

第1セッション  デカルト『方法序説』

テキスト : 『方法序説』 山田弘明訳     ちくま学芸文庫 36~42頁、55~58頁

☆Aグループ

・前半と後半でそれぞれ「意識はどこにあるのか」「無意識という概念は存在するのか」が、大まかな主題として議論がされていて面白かった。自分は文系なので、医学的な観念からも意見が聞けてよかった。

IMG_9723・学問経験の話からはじまる極めて抽象的な内容のテキストであり、初読の際には「マジでこれで一時間くらい話するのかよ・・・」と不安だった。しかし脳死など現代直面しているような倫理的問題について多く言及され、今後も考察を深められる良い対話であった。

・「自我」の所在みたいな部分に関心のある人が多いのか、「私」に関する議論が非常に活発だった。一方で、題にある「方法」に着眼する人は少なかったように思われる。懐疑をデカルトが乗り越えたという意味では、どちらも重要なファクターなので、そこにも触れられるといいと考える。

☆Bグループ

・デカルトのテキストは今まで読んだ中で最もと言って良いほど難しかった。しかし,単純なものから考察を始めて,原理にたどり着いたら次の原理へといった方法で真理を導くという過程はとても興味深いものだった。また,人の精神と身体の関係は今の時代において改めてしっかり考えるべきだと感じた。

・個人的には8章の「方法の発見」についての考察が面白くできたと思う。デカルトの主張は一見分かりにくいが,彼自身が余計な規則を取り除いた簡潔な証明方法を好んでいたようだったので,文章を丁寧に読むと図にまとめられる程度には理解できた。

・デカルトの「私は考える,ゆえに私はある」という真理から,精神と物体は別々なのか,連動しているのかというテーマについて話し合ったことが一番印象的だった。私はデカルトの意見(「物体はなくとも精神はあり続ける」)に賛成だった。自分の身体を変えたとしても性格は変わらないからという理由だったが,他の人の意見を聞いて自分の意見を考えなおすきっかけとなった。

第2セッション  E・フロム『自由からの逃走』

テキスト : 『自由からの逃走』 日高六郎訳   東京創元社〔現代社会科学叢書〕 180~191頁

☆Aグループ

・テキストは今までで一番面白く、現代社会につながる部分がたくさんあった。倫理観や匿名性についてや、SNSについてもいろいろなことを考えた。ただ、3度目でも議論に切り込むタイミングが難しくて考えているだけで終わってしまう。

・「匿名性の権威」など、現代にも通じるような問題が提示されていて、考えさせられることが非常に多かった。文章を読み進めると、フロムがこの著書を書いたときと、時間的にも空間的にも異なるのに、今やっているニュースを順を追って話されているようだった。

・全文(丸本)読んで挑んだにもかかわらずデカルトより内容が難しく感じられた。懐疑的になれということを言っている点では、デカルトと共通しているのかもしれない。

☆Bグループ

・フロムは「外的権威」「内的権威」「匿名の権威」の3つを挙げていたが,「匿名の権威」についての話し合いが一番印象に残っている。はっきりと命令するよりも,して欲しいことを暗示するほうが権威としてよく働くということは空気を読んで行動することの多い今日の状況にとても当てはまると思った。

・最初に読んだときは「なるほど~」としか思いませんでしたが,対話中にフロムの人生の背景に基づいて考えることを求められたときに,より面白い文章だなと思えました。「冷酷な支配者」などの独特かつ洗練された考えに感銘を受けました。彼の考えをより知りたいと感じることができました。IMG_9770

・「外的権威,内的権威,匿名の権威でどれが一番効果的か」というテーマで議論が現代の政治の話にまで及んで,古典は今の世界にも通ずるのだなと感じた。「匿名の権威」に関して対話が進んでいる中で,自分は「流されて」いないかと不安になりました。というのも,自分の考えも実はよく考えたものではなく「権威」によって作られたものではないかと思ったからです。