100.ネットの力は教育を変えるか?・・・ますます重要になる第三教育(自ら学ぶ力)

2014.2.1
市川学園理事長・学園長 古賀 正一

tosyokan   2月は陰暦如月(きさらぎ)、日本気象協会の『季節のことば36選』では、節分、バレンタインデー、春一番であり、二十四節気では立春、雨水(うすい)です。

  2006年2月に、理事長メッセージとして『なずなメッセージ』を、学園HPに掲載して以来、お蔭様で100号となりました。8年間毎月続けられたのは、HPを読んでくださる同窓生、学園教職員、保護者、教育関係者など多くの方々の激励のお蔭であります。今後とも学園の姿や理事長としての経営・教育方針を理解していただくため、元気な限り続ける所存です。

 A、今月の話題・・・MOOC(ムーク)と第三教育

  米国を中心とした有名大学による卓越した講義が、無料でインターネットに公開され、受講修了者はその講義の修了証が得られる教育サービスMOOCが2012より始まり、注目されています。

  MOOCとはMassive Open Online Coursesの略称で、Coursera(コーセラ;スタンフォード大教授2人が設立したベンチャー企業)、edX(エデックス;MIT、ハーバード大設立の教育機関)、Udacity(ユダシティー;スタンフォード大元教授スラン氏らが設立したベンチャー企業)などがあります。これらは原則英語の授業を公開し、世界各国、老若男女、学歴を問わず無料で受講でき、受講者、参加大学ともに今爆発的に伸びています。講義の修了証は企業の採用にも役立つといわれています。

 お金がなく学ぶ機会を失っている人、発展途上国の学ぶ意欲のある人、更に生涯教育にとり、大きな福音です。日本でも、世界の動向に危機感を持ち、日本発の産学協働による日本オープンオンライン教育推進協議会(略称JMOOC、理事長は白井克彦放送大学学園 理事長)が昨年発足、東大、京大、阪大、慶応大、早大、立命館大、放送大学など多数の大学と企業参加し、日本語による講義が2014年度より開講されます。また『質の良い教育を全ての人のために無料で』をモットーに理科・数学など基礎教育のジャンルを中心に動画5,000本以上を提供しているKhan Academy(サルマン・カーン氏設立の米国教育NPO、ビル・ゲイツ氏も支援)もあります。これもすべて英語ですが、世界中のユーザー数はすでに1000万人を超えています。

 学園では、宮崎副校長が中心になり、MOOCやKhan Academyの活用を考え、昨年から新しい学びとしてCourseraのうち東大の村山斉教授『From the Big Ban to Dark Energy』と藤原帰一教授『Conditions of War and Peace』などを中高生に奨め、希望者が受講しました。事前に教授の著書を予習し、学内または自宅のPCやスマホで受講し、週1回程度副校長の指導の下、進行状況、疑問など話し合い励まし合っています。この中から、飛び入学として千葉大先進科学プログラムの物理コースに進学決定した高2の生徒もいます。

  またKhan Academyに関しては、数学を中心に中学生50名が参加しています。いずれも放課後のクラブ的活動ですが、これを通じ英語力、教養力など広く学問を自分で学ぶ喜び、英語力の増進、毎日学ぶ習慣を自発的に獲得してもらう試みです。MOOCは、将に自ら学び生涯学び続ける学園の『第三教育』の実践であり、良質のコンテンツが豊富になれば、授業方法や授業の質も変わって来るでしょう。まだ世の教育関係者の関心や危機感が極めて不足しているように感じます。

※ 参考資料;『ルポMOOC革命  無料オンライン授業の衝撃(金成隆一;岩波書店)』 、『世界はひとつの教室(サルマン・カーン;ダイアモンド社)』

B、1月度の学園の活動

  1月4日からの高2の勉強合宿から始まり、8日は3学期始業式、17日高校前期入試、20日幕張メッセでの中学第一回入試と続きました。全教職員一丸となって、受験生が力を発揮できるよう努めました。又高校3年生は、19日20日に第一の関門である、大学入試センター試験を受験しました。1月2月はまさに入学試験の季節であり、受験生も、採点する教職員も真剣勝負の季節です。毎年受験生の顔を見ながら、一生懸命の姿に胸を打たれます。努力して得ること、高きにチャレンジすること、最後まであきらめないことは、合否を問わず人生においてとても尊いことです。お蔭様で中学第一回入試、高校前期入試ともに、志願者数が前年より多く有難いことです。中学入試は、志願者数2753名(前年比107%、178名増)、受験者数2670名、合格者数1255名(倍率2.13倍)でした。また高校前期入試は、志願者数1359名(前年比126%、279名増)、受験者数1356名、合格者数494名(2.74倍)でした。

  またユネスコスクールESD国際交流プログラム「高校生ESD作文コンテスト」で、高1女子が入賞(全国各地のユネスコスクールから141名の応募があり、14名が入賞)し、3月にはドイツ、フランスを訪問し国際交流をします。

  日本金融公庫による『高校生ビジネスプラン・グランプリ』に高2チームが応募し、1500件を超える応募の中から、最終の10校に選ばれ、最終審査会に参加し、3位の審査員特別賞を受賞しました。保護者が困っている柔道着の洗濯をビジネスモデルとする実践的なテーマでした。

C、2013年学園10大ニュース

  学園では毎年年初めに、前年の学園の施策、行事、生徒の実績など目覚ましい活動、新しいニュースを教職員投票で決めています。2013年は37の項目の中から順位を決めました。結果は次の通りです。

1位:進学実績向上と東大合格者数2桁達成(現役11名、浪人含め13名)。国公立現役合格者数も126名となり全合格者数の26.1%。(3月)

2位:中3 シンガポール4泊5日の初めての海外修学旅行を実施。(11月)

3位:水泳部高2女子が全国大会200・400m個人メドレー優勝、県短水路選手権200m個人メドレー高校新記録で優勝。(6月)

4位:土曜特別講座に宇宙飛行士山崎直子さんが来校し「宇宙からのメッセージ」の題で講演。宇宙ステーションの中の生活などの興味深い話で生徒は感銘。参加生徒数1600名。(5月)

5位:学園ショップがリニューアルされ商品メニュー豊富になる。(4月)

6位:名器スタインウェー&サンズのピアノ一式が寄贈され、披露の記念年末コンサート(含むミュージカル)が盛大に開催される。(12月)

7位:理科(SSH)を含む5教科にて公開授業研究会を開催し、全国から約150名の教員が参加し交流した。(11月)

8位:教科の枠を超えた教職員研究会、救命応急処置や生徒対応セミナーなどの教職員参加の研修会が増え、学びの共同体が更に推進される。

9位:SSHに関連し課題研究全国総合文化祭出場、MIMS現象数理学会研究発表会ポスター発表最優秀賞 他入賞多数で生徒の活動活発。

10位:市川アカデメイア(プラトンからオルテガまでの古今東西の古典・哲学書を深く読む対話ゼミナール)を 本格展開(参加生徒60名、年間10冊)

 11位以降注目すべきものは、帰国生編入試験の実施、在日モンゴル留学生150人とバスケットボール交流会実施(横綱 白鳳と日馬富士来校)、高校卓球部の活躍(高校男子ダブルスチームがインターハイ出場、千葉県新人戦男子ダブルス優勝)、国際交流多数(米国大学との交流コンサート、EU特別講座、ユネスコ中国教職員団視察、SSH交流校タイ国チュラボーン高校来校)、高校陸上部活躍(関東大会男子100m5位、女子500m・リレー2種目関東大会出場、関東高校駅伝大会出場 )、中学硬式テニス部活躍(関東新人テニス選手権大会団体戦出場) など。

これまでのメッセージ:message-menu