110.大きな夢を持ちそれを追い続けよう

サイン 2014.12.1
市川学園理事長・学園長 古賀 正一

  12月は師走(しわす)、日本気象協会の『季節のことば36選』では、「冬将軍」「クリスマス」「除夜の鐘」です。12月に入ると学期末試験、終業式、今年一年の整理、1年の振りかえりなどあわただしい月になります。

A. 今月の話題;根岸英一先生とノーベル賞

10月から12月はノーベル賞の季節です。今年も10月7日ノーベル物理学賞の発表があり、名城大学教授赤崎勇氏、名古屋大学大学院教授天野浩氏、カリフォルニア大学教授中村修二氏の日本人3人の研究者が、『明るく省エネルギーの白色光源を可能にした効率的青色発光ダイオード(青色LED)の発明』の業績により受賞されました。

自然科学系では、今回で累計17名の方(物理学8、化学7、医学生理学2)が受賞(外国籍の南部、中村両氏を含め19名)され、人文科学系(文学、平和)の3名の方を加え合計20名(プラス外国籍2名加え22名)の受賞です。

また自然科学系の17名は世界5位(米国、英国、ドイツ、フランスに続く)、さらに21世紀の自然科学系受賞11名は、世界で米国に次ぎ2位であり、英国6名、フランス6名、旧ソ連3名、オーストリア2名と続きます。12月10日には、スウェーデンのストックホルムで授賞式および関連行事が行われます。日本の科学技術の質の高さを示すものとして、誇りに思います。

小職自身、1995年にDVDの業界標準(de facto standard)を作った時の事業責任者として、赤色の半導体レーザー(650nm)しか実用にならず、苦労して4.7GBの容量を実現したことを思い出します。現在の青色半導体レーザー(レーザーは発振条件を満たしたLED)の開発により、記憶容量が飛躍的に増大しました。

奇しくも今年は、土曜講座の特別講座として、11月19日(水)に、2010年のノーベル化学賞受賞者であり、クロスカップリングで有名な根岸英一先生(パデュー大学教授)をお招きでき、生徒500人に対し、『大きな夢を持ちそれを追い続けよう』と題して講演を行っていただきました。

講演後の生徒の質問も活発であり、さらにその後の個別の生徒の質問や対話にも、熱心にこたえていただき感銘いたしました。講演要旨は、下記のとおりです。

1) メンデレーフの周期律表の話から、先生の半世紀にわたる学問・研究の歴史と今後の研究の課題の話。その中で恩師ブラウン先生との出会いの大切さと尊敬・感謝の念を深くしていることを力説された。

2) 大きな発見のための10項目の話;発見にはまず「①ニーズ」と「②願望」が必要で、それをもとに「③作戦・計画」を立てる。その作戦をもとに「④系統だった探究・研究」を行うが、そのためには、「⑤知識」、「⑥アイディア」「⑦判断」が必要で、一方探究には、「⑧意志力」と「⑨不屈な行動力および前向き姿勢」が必要で、最後に「⑩幸運な発見(Serendipity)」があり、偉大な発見に結びつく。最後の「幸運さ」は、よく準備し一生懸命やった人にのみ微笑むものだと話された。

3) ノーベル賞の受賞は、1,000万分の1(1/107)の率と言われており、現実には不可能とみられるが、10人の競争者で1人が勝利者となる7回のコンテストに、1回も負けることなく勝ち続ける7段階競争だと考えることができれば可能性はある。
自分の経験では、一流の研究大学を卒業すれば、3段階目の知的レベルに達したと考えられる。自分の場合には、フルブライト奨学金留学生としてPhD取得のため米国ペンシルバニア大学大学院に行った時が第4段階であった。
さらに重要なのは、ポストドクターとしての2年間およびパデュー大学でH.C.ブラウン教授の助手としての研究活動の4年間の第5段階であった。スポーツ、芸術他の分野と同様に研究の分野でも、その専門分野のトップレベルの先生の個人的なコーチを受けることが、世界で100人の候補の一人になるために必要なことである。
その後の第6段階以上は自分自身で登って頂上に行かねばならない。自分はこの最後の2段階に40年間かかった。

4) 講演では語られなかったが、その後の懇談のなかでSTAP細胞問題を含む研究者の倫理観についてお話がおよび、研究者は自分の研究に関して100%誠実・正直(honest)でなければならない。自分は、恩師ブラウン教授の論文や実験のミスについても指摘し、先生は間違いは必ずあらためられた。100%の正直さは非常に印象的な話であった。

B. 11月の主な学園行事および結果

1.9()ホームカミングデイ
 毎年恒例の卒業生ホームカミングデイ(HCD)が盛況のうちに実施された。今年は高校16回、26回、36回、46回、56回、66回の卒業生が当番年次で計画され、約500名の卒業生、恩師、後援会、実演をする生徒とその保護者が参加。理事長、校長の挨拶、広報部による学園現況説明、同窓会活動紹介後、クラブ活動紹介の演技演奏が行われた。マーチング、応援部(チアダンス)、音楽部(合唱)、オーケストラ部、吹奏楽部の生徒達の熱心な演技は、今年も卒業生を魅了した。HCD終了後は、各回期ごとの懇親会で更なる交流を深めた。

2.5()8()ユネスコスクール世界大会(岡山)への参加
 本校高校1年生が千葉県合同チーム(市川高、渋谷教育学園幕張高、県立千葉東高、県立佐倉南高の生徒)で関東地区代表として参加。高校生フォーラムの討議などで、世界の各地域代表、国内各地域代表と積極交流し、活躍した。大会には海外31ヶ国、国内9地域からの代表が参加した。イリナ・ボコバユネスコ事務局長、松浦浩一郎前ユネスコ事務局長、山中伸一文部科学省事務次官などトップの挨拶講演もあった。最後は共同宣言を採択した。

3.20()24()交流校のタイ王国プリンセスチュラボンカレッジ・チョンブリ校(PCCC)来校
 生徒7名、教員3名が来校し本校の敬和寮に宿泊。SSH事業の一環として、授業(英語)、科学実験、クラブ活動見学を行った。また千葉県のサイエンススクール(SS)ネット交流会(後述)では課題研究ポスター発表への参加、生徒交流会、千葉県と東京都内の施設見学や野外観察会をし、4泊5日の短期間であったが、充実した滞在内容により日本の文化、教育、家庭を知ってもらうよい機会となり、英語での国際交流ができた。
PCCCは、タイ国内各地域に12あるPCC校(プリンセスチュラボーンカレッジ)の一つで、全寮制共学の理科系の卓越校。中高含め生徒数720人。

4.14()オランダ大使館訪問
 宮﨑校長引率で高1、高2生徒30名が訪問し、EUおよびオランダについて英語での講演及び熱心な質疑応答が行われた。国際教育、英語教育の実践となった。

5.13()16()保護者個人面談週間
 中1から高2まで実施。高3はすでに、7月に保護者、生徒、担任教師3者面談を実施済。

6.恒例の高校2年沖縄修学旅行 5()8()34日で実施。

7.恒例の中学3年シンガポール修学旅行
 25日(火)から29日(土)のA班(163名)、26日(水)から30日(日)のB班(161名)に2班に分かれいずれも4泊5日で実施。今年2回目で、生徒の国際力を高める教育の一環。

8.22()サイエンススクールネット(SSネット)県央地区課題研究交流会
 課題研究ポスター発表を当学園以外に県立船橋高校他参加し交流実施。日本語発表119件(内;物理32、化学43、生物28、地学6、数学・情報10)で、そのうち市川79件、他校40件(県立船橋、木更津、千葉東)。また英語発表は、45件(物理18、化学10、生物9、数学1、PCCC7)、学校別では、市川37件、県立船橋1件、PCCC7件。

9.29()土曜スクールツアー
 1学期から実施してきたもので、今回が今年の最終回。毎回60名の小学生及びその保護者を対象とし、学園内の施設説明と見学、授業見学その後の質疑応答を行うもの。『百聞一見に如かず』で、広報部主催の好評なイベント。累計約800名参加。

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