112.心に火をつける

 2015.2.1
市川学園理事長・学園長 古賀 正一

 大寒(1月20日)から節分(2月3日)までが最も寒い期間と言われています。また1月、2月は、大学センター試験、学園の中学、高校の入学試験、大学の個別入学試験など試験の季節であり、勉学に真剣に取り組む生徒達を、心から激励したいと思います。

A. 今月の話題・・・偉大な教師は(生徒の)心に火をつける

 先日東京農工大学主催の2014年ノーベル物理学賞受賞者中村修二教授の記念講演会があり参加しました。聴衆2000名、内高校生が600名、大学生が400名ほど招待されていました。

 研究担当副学長による中村教授の研究内容について解説ののち、講演が始まりました。まず自分は発明、研究をしたのであって、マスコミ等で言われたLEDの量産化技術を開発したのではないこと、ノーベル賞は新しい発見や発明でないと受賞できないことを強調されました。

 研究の主流のセレン化亜鉛(ZnSe)をやらず、不可能といわれ全く少数派の窒化ガリウム(GaN)にチャレンジし成功した経緯を説明。最後に高校生や大学生に対して、自分の好きなこと得意なことにとことんのめりこむこと、バランスより特色を(「自分は高校生時代物理・数学のみ好きで他の学科はだめだった。」)、これから世界で活躍するには英語は不可欠、海外では博士号(PhD)を持っていないと研究者として扱ってくれないこと、金を得ることは評価が高いことでよいことなどと鼓舞され、刺激的な講演会でした。

 実は中村教授の講演前に控室で、中村教授の発明・開発したGaN青色発光ダイオード(LED)の生産を担当された日亜化学工業(株)元常務小山稔氏と偶然面談の機会を得ました。名刺は持っておりませんので名刺代わりにと、2005-11-16日本経済新聞『交遊抄;心についた火:小山稔』の切抜きコピーを渡され、読んで感動したので、概略を紹介します。

 LED開発の教えを請うため中村修二氏と門をたたいた西澤潤一元東北大学総長との縁を書き、後半西澤先生の講演「教育とは心に火をつけること」に感動し、ウイリアム・アーサー・ウォード氏の言葉を交遊抄で引用しています。

『凡庸な教師はしゃべる。よい教師は説明する。優れた教師は示す。偉大な教師は心に火をつける。』

 小山氏は最後に、「人間は感動し、共鳴することで、さらなる価値を生み出していく。その営みに恩師、弟子の境界は無い。」と結んでいます。

 ウイリアム・アーサー・ウォード(William Arthur Ward;1921-1994)は、米国ルイジアナ州に生まれ育ち、軍の仕事を終えたのち、オクラホマ州立大学修士取得ののちテキサス大学等で勉学、オクラホマシティ大学で法学博士号取得、その後いくつかの大学、協会、赤十字、ボーイスカウトなどの役職歴任。学者、教師、作家、コラムニスト、牧師など多彩な顔を持った人。

 上記箴言の原文は次の通りです。

The mediocre teacher tells.  The good teacher explains. The superior teacher demonstrates.  The great teacher inspires.

 我々教職員も、経営者も、リーダーと言われる人も、是非人を激励し奮起させる、意欲をかき立てる、即ちその人の心に火をつける人間、inspireする人間になりたいものです。

 ウォードの書いた寸言、箴言は、数々の新聞や雑誌に掲載され、多くの人に読まれ引用されています。ウェブサイトよりいくつかをあげます。

 「悲観的な人間は風が出てきたと嘆き、楽観的人間は風が止むのを待つ。しかし現実的な人間は帆を調整するのだ。」

 「成功者とは、成功しようと決心し、努力した人である。失敗者とは、成功しようと決心し、願った人である。明らかな失敗者とは、決心ができず、待った人である。」

 「今日誰かが木陰で休むことができるのは、遠い昔、誰かが木を植えてくれたからなのだ」

 「私たちの敵は自分自身だ」

 B. 1月の主な学園行事および結果

1. 4日(日)~6日(火) 高2勉強合宿
 高校2年生が成田のホテルで集中勉強合宿を実施。参加者212名、参加率51%。長時間の自主的学び、勉強方法の習得、友人からの刺激など自学の習慣を得る。

2. 9日(金)『市川アカデメイア』最終回
 今年度最後の『市川アカデメイア』(6回目)で初めて英文の作品に挑戦。弁論修辞の例として、シェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』とリンカーンの『ゲティスバーグ演説』を取り上げた。特にジュリアスシーザーについてはブルータス、アントニーだけでなく、大衆についても性格描写、弁論や修辞の良否など活発な対話が行われた。
 また22日には日本経済新聞朝刊に、ユニークな授業の例として、市川アカデメイアが紹介された。

3. 10日(土) 土曜講座
 日本学術振興会理事長、中央教育審議会会長安西祐一郎先生をお招きし『未来に生きる少年少女のために』と題し、500名の生徒・保護者に感動的なご講演をしていただいた。

4. 5日(月)~10日(土) 米国トーマスジェファーソン高校(TJ)研修
  横浜サイエンスフロンティア高校(YSFH)のコアSSH企画に教員1名、生徒2名で参加。YSFH、筑波大付属駒場高校、都立戸山高校、東工大付属科学技術高校と共に、合計生徒10名、教員6名のチームであった。TJでの発表・交流以外に、スミソニアン博物館、トーソン大学研究所、NASAゴダード宇宙飛行センターなどの見学もあり、有意義な5日間であった。

5. 『The Japan News(読売英字新聞)』の高校生の和文英訳コンテスト最優秀賞
 1月1日誌上に発表。高校2年女子最優秀賞(1名)、優秀賞(2名)のうち高校2年女子2名が、最優秀賞、優秀賞のダブル表彰。課題文は、車いすテニスの国枝慎吾選手とメンタルトレーナーの話。

6. 28日(水) 中3 『武士道』講義
 『高校生が読んでいる武士道(新渡戸稲造)』の著者大森惠子氏による集中講義・第1回実施。名著を通じ、国際化の中での日本人のアイデンティティ、日本人の心を学ぶ。

7. 入学試験状況
1) 高校前期入学試験(17日校内実施)
 募集は男女合わせて85名(一般50名、単願35名。帰国子女は、一般に含む)。受験志願者は、1253名(一般・帰国1165名、単願88名)。志願者数は昨年より難度があがり、やや減少したが、2013年比では、116%。合格者は合計で482名であった。

2) 中学第一回入学試験(恒例の20日幕張メッセで実施)
 募集は280名。(男子180名、女子100名、帰国子女入試を含む)。受験志願者は、2809名(一般2739名、帰国70名)で昨年より56名増、昨年比102%。少子化の中有難いことである。合格者は1229名であった。

C. 2014年市川学園10大ニュース

 恒例の事ですが、毎年教職員のアンケートにより、ポイント制で決めたものです。

 1位・・・創立80周年記念総合グラウンド着工、順調に工事進行
 2位・・・第11代宮﨑章校長就任
 3位・・・卒業学年は現役国公立合格率過去最高(119名、27.7%)
 4位・・・12月帰国生中学試験はじめて実施、志願者78名
 5位・・・第三次中期計画(H26-29年度)全教職員参加、策定実行へ
 6位・・・ノーベル化学賞受賞根岸英一先生の特別講座『夢を持ち続けよう』
 7位・・・学園法人本部(事務、経営企画、4幼稚園管轄)設立
 8位・・・高校女子水泳200/400m個人メドレー、インターハイ3連覇
 9位・・・SSH2期目指定(H26-H30年度)国際交流活発
10位・・・高校ハンドボール部、全国大会出場、関東大会8位

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