129.基礎・基本に立ち帰る…新時代の読み・書き・そろばんの重要性

14712016.6.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

5月から生徒は、夏服の略式制服着用が可能で軽やかな通学風景です。中間考査も終わり、1学期も後半となります。

A.今月の話題…新時代の読み・書き・そろばんの重要性

新しい時代の確かな学力の要件としての知識・技能を基礎に、思考力、判断力、表現力を高めるためには、能動的学修(アクティブ・ラーニング:AL)が不可欠です。ALのためには、生徒が自ら学ぶ意欲をもち、昔からいわれてきた「読み・書き・そろばん」の現代版として、考える「読み・書き・数学」が基本であると、あらためて感じています。

人工知能時代のいまこそ、人工知能を道具として使いこなすためにも、人間の考えて読む力(読解力)、考えて書く力(表現力、伝達力)、考える数学(論理的思考)が必要です。

英語で読み・書き・そろばんは、3R’s(Reading,Writing, Arithmetic)と言い、欧米でも重視しています。

考えて読む力
先人の知の集積を文字で学ぶ恩恵、体験できない歴史を知る素晴らしさ、小説で想像の世界を広げる楽しさなど、読書は人生を豊かにし、幸福の要素の一つでもあります。文字を読むという行為は、映像・音声情報のように考えずにインプットはできません。考えつつ読むことは、読書の必須条件です。速読、精読、熟読、濫読いずれも大切です。言葉の意味・使い方をよく知り、語彙をふやし、美しく正しい文章を読むことで、書く力も向上します。文章の構造、論理構成や文脈を考えることも不可欠です。

学園では、新入生の時から、図書館である第三教育センターの活用を薦めます。中高共に推薦本「学園100冊の本」があり、岩波文庫は全巻そろえ、12万冊の本は生徒に刺激と可能性を与えています。英語本も多く、多読も指導をしています。中学での構造読解は文章を読み理解する基礎であり、高2の市川アカデメイアゼミでは、東西の哲学書12冊の要所を事前に熟読・精読し、その上で生徒同士の活発な対話を通じ、理解の質を深めます。高校生になると読書量が減るという一般調査もあり、スマホでのライン使用の時間を自己規制し、読書にまわしてほしいと念願しています。

考えて書く力
書くことは考える力を養成する基本です。きちんとした文章が書けることは、大学生、社会人の必須条件です。多くの大学の2次入試や就職試験で論文を課しています。書くことは、考えを整理し、論旨を明確にし、頭脳を明敏にします。あらゆる企業活動、研究活動、社会活動でも、書く力は日々不可欠なスキルです。

書くことにより研究論文や提案書になり、コミュニケーションや説明、説得が成り立ちます。課題やテーマをよく考え構想を練り、論理的に正しいこと、文脈、起承転結など考えて結論を明確にします。

学園では、生徒に書かせる授業が多く、小説作成、理科の課題研究の論文作成と発表、論文作成ゼミなど多々あります。また難関国立大学の後期の入学試験では、骨のある文章の思想を読み解き、限られた時間で、限られた字数で自分の意見を述べる出題も多いのです。新しい「大学入学希望者学力テスト」では、短文での記述解答の問題も出題される予定で、個別大学の推薦・AO入試では、論文作成は必須になるでしょう。

最後に考える数学力
数学は考える学問そのものです。論理的に正しさを証明すること、与えられた課題を数値に直すこと、数字やデータを基に特徴や意味を探求・判断すること、数値をもって説明することなど考える力を養うには最適です。答えは一つであっても、解き方の多様性、スマートな解き方などあり、難問をきれいに解いた喜びは格別です。数学嫌いを早く作らないように、基礎を徹底的に理解させ、数学の面白さを教師が生徒に伝えねばならないと思います。

ICT時代、人工知能時代だからこそ、課題の数値化と根拠、数字による論理性・説得性、統計や確率など説明の前提を知ること、数学応用の中身を知ることなど、数学は文理を問わず必要です。世の中の仕組みが複雑化し、利用するソフトウェアがブラックボックス化される時代、ソフトの中身の数学的根拠を理解し、疑問を持つことが重要です。

学園では中学1年生に、自分で数学の問題を作らせ、解き、その解説を書くことを全員にやらせ冊子とし、互いに学びあうことをしています。また数学雑誌の課題問題への解答を応募したり、SSHの数学の課題研究も盛んです。

リベラルアーツ教育は、中世の大学の起源での自由7科が原点ですが、そのうちの3科は、言葉に関するもの(文法、論理、修辞)であり、4科は主に数学に関するもの(算術、幾何、天文学、他に音楽)であったことも面白いと思います。

アクテイブ・ラーニングの基本は、考える「読み・書き・数学」であり、基本はいつの時代にも変わらないものと思っています。

B.5月の主な学園のトピックス

  1. 1日(日)-5日(木)
    高3生に自習室を開放し自主的学びを推進。5日は英・数・国の教科を超えて思考する特別講座を開講。
  2. 6日(金)高1グローバル講座
    ビジネススクール大学院講師による「グローバル時代と君たちの未来」特別セミナー(高1生)を開講。最終日には、課題の研究発表。「海外大学に留学」、「英語をマスターする」、「国連職員を目指す」など7つのテーマにつき、研究結果のグループ発表、質疑活発、講師と学内教員とで評価。
  3. 7日(土) 28年度第1回土曜講座(受講者;966名)
    国立科学博物館長林良博先生の「アントロポシーンと博物館の役割」、東進ハイスクール講師安河内哲也先生の「世界に羽ばたく英語勉強法」
  4. 7日(土)市川市・市展表彰式
    高校生奨励賞として書4名、洋画2名受賞
  5. 8日(日)-15日(日) ISEF2016(インテル国際科学技術フェアー、米国アリゾナ州フェニックス)
    JSECでの花王賞受賞者として高3生3名参加。日本からは、市立千葉高校、市立横浜サイエンスフロンティア高校他の生徒総勢15名参加。米国中心に世界約80ヶ国から1400プロジェクトが参加。
  6. 10日(火)恒例の学年ごとの課外活動日~生徒の自主性を生かした一日
    中1;こもれびの森のイバライド (団体行動の基本を身につける)
    中2;上野近辺校外学習(美術館、博物館、上野・入谷周辺)
    中3;鎌倉校外学習
    高1;校内総合グランウドでの学年企画スポーツ大会
    高2;大学訪問体感プログラム(大学見学、大学生との対話、パネル討議)
    高3;終日多様な特別ゼミ(英、数、国、理、社、体育を含む)
  7. 12日(木)生徒総会予算審議(中学6限、高校7限)
  8. 14日(土)第二回土曜講座(受講者;555名)
    東大教授中村尚先生の「気象変動・異常気象予測のこれから」、前大手前大学学長川本皓嗣先生の「俳句とは?十七文字で言えること、読み取れること」
  9. 15日(日)同窓会埼玉支部発足の総会(浦和)~地域支部が合計12支部に
  10. 21日(土)後援会28年度総会~新役員選出される
  11. 23日(月)―26日(木)中間試験
  12. 24日(火)今年度最初の中学学校説明会
    午前午後あわせ約900名の保護者が参加。新しい今年度版学校案内を配布。
  13. トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム(高校生コース)
    生徒が企画参加する文部科学省の留学支援プログラムである。返済不要の奨学金で、高校生の短期留学を促進するもの。全国500名採用の難関である。昨年3名に対し、今回6名が合格採用され、夏休みを中心に活動する。大きな成長を期待したい。6名の内訳は、高1生3名、高2生3名。語学分野2名、大学サマースクール等参加2名、スポーツ・芸術分野2名である。今年度の状況は、応募2057名、採用510名、学園の6名は、採用数で全国5位である。

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