136.努力こそが成功への道・・・やり抜く力(GRIT)の重要性

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市川学園理事長・学園長 古賀正一

新年おめでとうございます。皆様よいお正月を迎えられたと存じます。平和・平穏・無事ということは、当たり前のようですが、有難いことです。

世界の政治、経済は極めて不透明な年のスタートですが、これからは変化の時代、予測のつかない時代が続きます。技術革新もスピードが速くなっています。だからこそ、これからを生きる生徒には、本学建学の精神の『自分で学ぶ、自分で考える第三教育の力』を習得させ、困難にめげず生き抜く力を得てほしいと念願しています。

能動的学習(アクテイブ・ラーニング)がますます重要になりましょう。我々教職員もまた、絶えざる学びと自己変革を実践し、学園全体としても、各教職員が自発的に計画し、積極的に動く自律型経営を目指します。

いよいよ今年は、本学園創立80周年の年です。学園を更に発展させる節目のジャンプの年としたいと思っています。

さて最近米国でベストセラーになり、世界30ヶ国以上で刊行が決まっている本に、ペンシルベニア大学心理学教授アンジェラ・ダックワース教授の著書『GRIT(The Power of Passion and Perseverance);やり抜く力』(邦訳:神崎朗子訳;ダイアモンド社)があります。GRITという英語は、辞書では気骨・勇気・気概・根性などと訳されていますが、著書の邦訳では『やり抜く力』であり、副題にあるように『情熱』と『粘り強さ』の二つの要素からなります。『情熱』とは、本当に自分がやりたい目標に向かって、興味を持ち続け取り組むことであり、『粘り強さ』とは困難や挫折にあっても諦めずに努力し続けることであります。長い目で人生の成功には、このグリット(GRIT)こそが、才能よりも大切であることを、多くの追跡データ、面接、過去の科学的知見など、莫大な研究調査のエビデンス(証拠)と理論を持って示しており、一般のビジネス書やノウハウ書よりはるかに説得力があります。

特に一流の人がしている当たり前のことが重要であるとし、努力と達成の方程式を提示しています。即ち、才能×努力=スキル、スキル×努力=達成です。

つまり才能とは努力してスキルを磨く速度と考え、そのスキルを活用して物事を達成するには、更に努力を重ね、成果として達成し、成功するとしています。達成すなわち成功のためには、努力が式の中に2回あらわれ、努力の重要性を示しています。

一流の人、才能ある天才、IQの高い人も、当たり前のことの努力の継続でスキルを磨き、更にそのスキルを活用する努力を不断に重ねてこそ、成功を勝ち得ていることを、多くのデータや事例をもって説明しています。才能のある人でも努力しなければ成功しないこと、即ち2倍の才能があっても努力が1/2であればスキルは1であり、才能1の人の1の努力と同じスキルになります。そのスキルを活用する努力の量で成果は決まること、将に玉磨かざれば光なしです。努力の重要性にについて語った人や本は、古今東西多数ありますが、最近のポジティブ心理学、行動学の知見や調査、アンケートにより、エビデンスをもって努力の重要性を説いた本は珍しいと思います。我々日本人は、努力・勤勉を非常に大切にしており、共感することが多々あります。

ダックワース教授は、中国移民の子として米国に生まれ、親から天才ではないのだから、安定した道を行くよう勧められるが、ハーバード大学(神経生物学専攻)を卒業後、マッキンゼーのコンサルタント職をへて、公立中学校数学教員となります。その後心理科学の知見により子供たちの成長の手助けをしたいとの志を持ち、オックスフォード大学で修士、ペンシルベニア大学大学院で博士号(心理学)を取得し、心理学者となります。

身をもって志の達成に向かって努力し、2013年マッカーサー賞(別名天才賞)を受賞、TEDトーク『成功のかぎは、やり抜く力』の視聴回数はすでに900万回を超えたといわれています。

我々も、IQの数値、入試の点数、自頭のよさにだけに注目せず、生徒は誰でも、時間をかけて勉強に取り組み、努力を重ね、やり抜きさえすれば、必ず学業も向上し、自分のやりたい目標、希望の進学が出来ることを教えたいと思います。また努力の大切さを教えることを通じ、一人ひとりの生徒の力を目一杯伸ばしたいと思っています。

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