155.超スマート社会へむけての教育

2018.8.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

まさに酷暑の夏、学園は7月20日より43日間の夏休みに入っています。この期間、生徒も教職員も自分の計画を立て、普段出来ないことに時間を割き、実践できるチャンスです。生徒は、この期間に夏期講習や部活、行事、国内外の研修、自主的プログラムなどに挑戦し、大きく進歩・成長します。自ら学ぶ第三教育を真に実践し、第三教育の力を高められる絶好の期間です。2020年代の超スマート社会(Society5.0)実現にむけ、益々ネットの社会(仮想社会)が拡大する中、夏休みはリアルな社会(現実社会)での実体験をする絶好の機会でもあります。人との出会い、自然に親しむこと、初めての土地の訪問、芸術を始め種々のリアルな感動、読書三昧など、ネットの世界やAIでは体験できない人間としての感性を磨くことが大切です。

夏休みは、市川中学校、高等学校、付属の4幼稚園をあわせ、3000名以上の生徒、園児、教職員が活動する43日間です。最も重要なことは、毎年のごとく、生徒・園児・教職員、さらにご家族の健康・安全・安心で、これは全てのことに優先すると考えています。それぞれの場面で、時に無理をせず、勇気ある中止や撤退の判断が必要です。ボーイスカウト精神にある『備えよ常に』『安全は全てに優先する』です。また良い報告はあとでよいが、いろいろな異常、事故、事件等の問題こそ、遅滞なく即刻報告、情報共有するよう徹底しています。いろいろな場面でのスピーディな的確な判断・処理と初期の対応が極めて重要なのです。

20180801この夏休みも多くの部活動以外に、中1富士山夏期学校、中2関西夏期学校、中1大町自然観察会、中1~高3の夏期講習(1期~4期)、中3~高2国際研修5方面(英国イートンカレッジ、英国ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、米国ボストン地区~ダートマス大学、カナダホームステイ)、エンパワーメント・プログラム(学内で海外の大学生の指導による少人数集中的英語による討論と発表研修)、SSH研修(白神山地自然学習会、三宅島研修、筑波研究所研修など10ヶ所)などがあります。尚国際研修は、学校主催の上記のもの以外に、個人が応募した研修も、トビタテ!留学JAPANの7名をはじめ合計約40名おり、夏休み中に学園主催の研修、個人研修の生徒、教職員約200名が海外に行くことで、内なる国際化が進んでいます。9月始業式の日には、全員元気で、夏の集まり、成果や思い出を互いに語り合うのを楽しみにしています。

さて冒頭のべたSociety5.0(以下S5.0と略)とは、AI技術、ビッグデータ、IoT,ロボティクスなどの急速な技術革新の中、第5期科学技術基本計画(H28年1月)で提唱され、今後官民共同して推進するものです。サイバー空間(仮想)とリアル空間(現実)を高度に融合させたシステムにより経済発展と社会的課題の解決を両立させる人間中心のスマート社会であります。すでに経団連は、新会長を筆頭に推進しています。ちなみにSociety1.0は狩猟社会、2.0は農耕社会、3.0は工業社会、4.0は現在の情報社会であす。経済界でも新たな成長戦略としてS5.0の実現を通し、産業構造改革や日本の持続的成長を目指す活動が行われています。さらにSDGs(国連による17の持続可能な開発目標)の達成への貢献も期待されています。そのための人材育成は不可欠であり、教育改革も、S5.0社会を見据える必要があります。すでに文部科学省では、林大臣座長のもと、昨年12月から有識者懇談会及び省内各局の課長級のタスクフォースで、精力的に議論してまとめ、本年6月5日『Society5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~』の報告書が公表されました。今後の教育改革の方向性を示すものとして、注目すべきです。(勿論現在の高大接続改革、新しい大学入学共通テスト、新学習指導要領の確実な実現が前提で、更に2030年を見据え、不足の課題を検討、推進するものです。すでに、S5.0実現化研究拠点の大学公募が始まっています。報告書の詳細は下記URL参照下さい。

http://www.mext.go.jp/a_menu/society/index.htm

報告書の要旨は次の通りです。 [ ]は小職のコメントです。

A. S5.0の社会像・求められる人材像、学びのあり方; 略
B. 新たな時代に向けて取り組むべき政策の方向性と施策

  1. 公正に個別に最適化された学びを実現する多様な学習機会と場の提供

   [個人個人に適した個の教育が理想]

    施策:
     ① 学習の個別最適化や異年齢・異学年など多様な協働学習のためのパイロット事業
     ② スタディ・ログ等を蓄積した学びのポートフォリオの活用 [すでに学園も開始]
     ③ EdTechとビッグデータを活用した教育の質の向上と学習環境の整備充実

  2. 基礎的読解力、数学的思考力などの基盤的学力や情報活用能力を全児童生徒が習得

    施策:
     ① 新学習指導要領の確実な習得、学力の定着
     ② 情報活用能力の習得;小中高でデータ・サイエンス・統計教育の充実、将来「情報」を
       大学入学共通テストの出題科目に追加するか検討

  3. 文理分断からの脱却(文系・理系に分れ特定の教科について十分学習しない傾向の改革)
             [2020年度からの一部大学入学試験方針にも反映]

    施策: 文理両方を学ぶ高大接続改革
     ① 高校改革において文理両方を学ぶ人材育成。確率・統計、基礎的プログラミング、理社の基礎的
       分野を必修とする新学習指導要領を確実に習得、更に微分方程式、線形代数など高度な数学も学
       べる条件整備
     ② 大学改革ではSTEAM系専攻のAIトップ人材育成、AIの素養ある人社系人材育成、数理・
       データサイエンス教育の拡大強化

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