159.変化の時代こそ不易の重要性…善行の発掘

nazuna2018.12.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

学園創立者古賀米吉が中心となって設立した『市川善行会』という会があり、かくれた立派な善行を発掘し、表彰する式が毎年行われています。

  今年は11月17日に開催され、小職も善行会顧問として出席しました。10名の方々が表彰され、内訳は環境美化活動が4件、社会活動が6件、交通安全活動が1件でした。特徴的なのは、短くて10年、長きは23年にわたる実践で、継続の力を感じます。

また高齢の方が多いのも特徴で、市内各自治会などから、その長年の善行が推薦されています。例えばS様の活動は、『自治会内の花壇に常に目をかけ、夏場水遣り等を通して花の絶えない憩いの場を守っている。公園に来る若いママたちに人生のアドバイスもされ、地域で尊敬されている。』です。

いま大きな変化の時代です。デジタル革命や生命科学など技術革新のスピードが速く、日本は少子高齢化・人生100年時代のトップランナーであり、働き方・生き方・老い方など課題を解決しなければなりません。さらにますますグローバル化・多様化の中、外国人との協業、外国人労働者の活用や複雑な国際情勢にも対処しなければなりません。

今の中学・高校の生徒たちが、社会で活躍する頃、これらの課題解決に直面しなければなりません。そのためには建学の精神の個性の発揮と自ら学び続ける第三教育がますます重要になります。

一方世の中や世界がどう変わろうと、変わってはいけないもの、不易のことがあります。

人間は生きものであること、一人では生きられないこと、助け合って生きねばならないことなどは不変の真理です。思いやり、親切、利他の精神などいつの時代も大切なことです。世界では自国第一主義の国があり、また地球上での争いはつきません。国内でも自分さえよければという自己中心主義が横行し、ネット社会での他人を傷つける恐ろしい事象が蔓延しています。今こそ協力し合い助け合う共助が大切です。

昭和26年、創立者古賀米吉は、戦後社会情勢が混沌とし不安で犯罪が横行することを憂い、社会教育の視点から同志と語り合い、善意のともし火に満ちた社会をつくろうと、『市川善行会』を発足させ自ら会長として種々活動を推進しました。『江戸川を守る会(昭和39年設立)』もその活動の中から生まれました。二代目関口忠一郎会長(故人、元市川学園後援会長)から現在の五代目北川善樹会長(市川学園高校8回卒)まで67年の永きにわたり活動を続けています。近年は、目立たないが立派な活動をされた個人・団体を発掘し、表彰をすることを主に活動を続けています。

善行会会報の名称『なづな』(旧かな使い)は、市川学園の建学の精神と同じですが、かくれた善行をなずなにたとえています。

なずなは、春の七草の一つぺんぺん草で、目立たない花だが、よく見るときれいです。同様に善行も勲章や大きなことがらは皆が注目するが、本当はかくれた目立たないよいことの積み重ねの実践(善行)こそが、世の中を明るくしよくしています。まさに、なずなは善行会の精神そのものでありましょう。

このなずな精神は古賀米吉初代会長の好んだ芭蕉の句『よく見ればなずな花咲く垣根かな』からきています。善とは単純に100人中99人が良いと思うことであり、通常の人間は、よいことをすると大変気持ちがよいものです。

生徒の教育において、『・・・してはいけない』『・・・しなければならない』などの生徒指導も大切ですが、善行をすすめ、発掘し、ほめることも重要です。生徒の場合は、社会や他人への善行の前に、自分の生活習慣をよくする、自分を律する、他人に迷惑をかけないなど、当たり前のことのできることが、善行と言ってよいでしょう。よいことの実行は、本人にとっても気分がよいものです。

生徒の当たり前の善行の例をあげます。

生徒自身での善行
正しい生活習慣(早寝・早起き・朝ごはん)、さわやかな挨拶、きちんとした身だしなみ、整理・整頓・清潔・清掃、物を大切に、予習復習、読書など

家庭での善行
両親を心配させない、帰宅時間の通知、何らかの家での手伝い、スマホ利用時間など約束したことを守る、感謝の心など

学校での善行
宿題など提出期限を守る、友人を助ける勇気ある行動、親切、部活や行事での率先垂範、人の役に立つ行動など

社会での善行
バスや交通機関などで弱者(幼児、老人、障害者)に席をゆずる、騒がない、立ち食いなどしない、学園生らしいふるまい、困っている人を助ける、学園周辺の清掃、社会のルールやマナーを守るなど

 善行の基本とは結局のところ、真の紳士淑女たる振るまいであり、教養の基本となるマナーやモラルの実践でありましょう。

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