98.5教科公開授業研究会開催~卓越した教育力は教師が学び研究し合うこと

2013.12.01
市川学園理事長・学園長 古賀 正一

jugyo-kenkyu20131102 12月は陰暦師走、日本気象協会の『季節のことば36選』では、冬将軍、クリスマス、除夜の鐘であり、二十四節気では大雪(たいせつ)、冬至です。

 学校教育に重要な要素は、校舎やグラウンドなど教育環境に関すること、学校内の組織・運営しくみ・制度・教科のカリキュラムなどシステムやマネージメントの関することは勿論ですが、究極は生徒一人一人の特色をよく見て伸ばすための『教師の教育力、人間力』に負うところが多いと思います。教師の教育力は、日常の授業のための周到な準備と実践を通じ高められますが、幅の広い教養と深い専門の学びと研究、即ち自己啓発が必須であることは言うまでもありません。また外部を知らない『井の中の蛙』にならぬよう、世の変化や内外の卓越した教育への感度を高くし、常に学ぶことを忘れてはなりません。

 本学園では、教職員研修を最重要事項にしており、SSH指定を機会に、生徒の課題研究と並行して、授業研究を大きなテーマにし、一昨年から、SSH公開授業研究会を実施し、大学や他校の教師との切磋琢磨を深めてきました。

 今回11月2日(土)には理科以外の4教科(英、数、国、社)の授業研究会も同時開催し、全国から約150名の先生方に参加いただき、互いに学び情報交換し、素晴らしい一日になりました。熱意ある教師が、公私を問わずおられることにも感銘しました。当日の概要は次の通りです。

 全体会(国枝記念国際ホール)で理事長基調挨拶、校長より市川学園の教育説明、細谷主幹・理科主任よりSSH5年間の総括の説明を行い、続いて3限、4限には各教科公開授業をいたしました。午後は各教科(物理、化学、生物、数学、国語、社会、英語)毎の分科会を実施しました。また特別テーマとして、中学高校のリンク、大学教授による社会、数学の講演会も実施されました。分科会の具体的一例として、物理分科会では本日の授業について説明討議、市川高校の自作の物理教科書についての紹介、他校事例発表(横浜サイエンスフロンティアハイスクール)、大学教授によるアドバイス、討議、各校報告など活発に実施されました。その後、希望者による教科別懇親会を実施し、熱意ある教師同士の交流と切磋琢磨が続きました。

 冒頭の小職の挨拶の要旨は次の通りです。『朝早くから全国からの来校への感謝と教育への熱意に敬意。SSH活動の一環として2回公開授業研究会をしてきたが、今回はじめて他の4教科(英、数、国、社)の授業研究も同時開催を計画した。いろいろ指摘、情報交換いただければ幸い。昨今教育改革に関する話題は多く、グローバル時代の改革は、教育界もさけて通れない問題。教育再生実行会議や中教審での検討と文科省の政策は日本の教育の羅針盤として重要。一方それを実行し効果あらしめるのは、我々教育現場であり、現場からの改革進歩がなければ絵に描いた餅になってしまう。日本の産業の強さは現場力と創意工夫によるものだが、教育も現場即ち授業の絶え間ない工夫・進歩により日本が教育でも世界をリードしたい。わずか30年前は、欧米諸国がお手本で追いつき追い越せのキャッチアップ時代であった。しかし今は、お手本の無いクリエートの時代、新しいものを創造する時代である。我々の生徒への期待、又社会の期待する人間像も変わってきている。英語力は勿論グローバルに活躍できる熱意ある人材、未知の課題を解決する実行力あるタフな人材が求められている。IT技術の進歩により情報が瞬時に世界を駆け巡るネットの世界の進展の中、教育の方法、授業の技術も進歩している。知識投入型から知識活用発表型、MOOC(Massive Open Online Courses。大学講義のネット無料配信サービス)の活用、予習を家で宿題や質問を学校での反転授業、IB(インターナショナルバカロレア)も話題になる。市川学園は、不易の建学の精神、特に自ら学ぶ力である第三教育を主軸に、77年の伝統を土台に、世界で活躍できる品格あるリーダの育成を目標に日々教育活動をすすめている。

 『われ以外皆わが師』(小職の好きな言葉、吉川英治座右の銘)

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 11月も多忙な密度の高い1ヶ月でした。上記の授業研究会をスタートに、毎年恒例の卒業生ホームカミングデイ(HCD)が10日(土)実施され、理事長、校長、広報部による学園現況説明と同窓会活動紹介後、クラブ活動紹介の演技演奏が行われた。マーチング、応援部(チアダンス)、音楽部(合唱)、体操部、オーケストラ部、吹奏楽部の生徒達の熱心な演技は、今年も卒業生を魅了しました。HCD終了後は、各回期ごとの懇親会で更なる交流を深めました。

 13日からは茨城県私学中高協会、広島県私学中高協会、ユネスコ中国教職員視察団(25名)等来校が続き、交流と互いの学びを深めました。特に中国視察団には、授業視察中に、中国教師による模擬授業を実施してもらいました。テーマは、中国の宇宙開発、山岳少数民族(苗族)の紹介で、生徒の多様性理解にも役立ちました。またSSH事業の一環として、交流校のタイ王国プリンセスチュラボンカレッジ・チョンブリ校生徒教職員7名が来校し、授業(英語)参加、科学実験、クラブ活動見学、千葉県のSSH課題研究会への参加、生徒交流会、千葉県と東京都内の施設見学や野外観察会をし、タイ国生徒は、学園生徒の家にホームステイをしました。4泊5日の短期間ではありましたが、充実した滞在内容により日本の文化、教育、家庭を知ってもらうよい機会になりました。英語での交流ができ、またスカイプでの事前の情報交換もあり、生徒同士スムーズに友好を深めました。

 26日からは、中3全員の初の海外修学旅行として、4泊5日2隊に分かれてのシンガポール研修を実施いたしました。事前の研修(英会話、マナー、シンガポールの歴史教科書、日本の武士道精神)による準備もあり、生徒の得たものは大きいと確信しています。最後に、29日には高2希望者に対し、一橋大学林秀毅教授と駐日欧州連合代表部ケルナー氏によるEU(欧州連合)についての特別講義を実施しました。ケルナー氏からは、欧州統合の歴史と今後の課題、林教授からは、EU経済と欧州危機をどう考えるかについて、全て英語での講義と質疑応答でした。生徒たちは、英語でEUの歴史、統合と多様性、統一通貨ユーロ、欧州経済等を学び理解を深めました。次回は来年2月に、EUをテーマに生徒が、文化、経済、宗教などグループごとのプレゼンテーションを行う予定です。

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