1.創業者の心と建学の精神

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創業者の心と建学の精神

理事長・校長 古賀正一

2006. 2. 1

江戸末期から明治は新しい国づくりに燃えた時代であった。小職が46年間にわたり勤務してきた東芝の創業者は、東洋のエジソンといわれた田中久重である。久重が1875年(明治8年)創業した工場で最初にてがけたのは、モールス電信機の国産化であった。明治政府は、富国強兵とともに、情報と交通の大切さを認識していた。久重は、江戸時代からくり儀右衛門ともよばれ、からくり人形製作でも有名であった。弓曳童子はその傑作とされる。また最高傑作は、万年自鳴鐘といわれる和時計である。一昨年3月復元の国家プロジェクトが国立科学博物館を中心に、精工舎、東芝などでつくられ、解体、復元、複製が推進された。複製品2個のうち、1号機は愛・地球博に出展され、2号機は東芝に、又現物は国立科学博物館新館2階に展示されている。万年自鳴鐘の凄いところは、基本目標(例えば一回のぜんまい巻きで1年動く)にこだわり続け、絶対に妥協せず困難な技術に挑戦したことであろう。これは現代でも非常に重要なことである。卓越した商品を作るには、一歩二歩先行し、技術的困難を乗り越え、妥協しないで成し遂げることである。東芝の成功商品ラップトップPCは、持ち運びでき、どこでもつかえるPCというコンセプトで20年前にスタートし、機能を妥協せず追求した。DVDの開発も、無理難題の要求であったが挑戦した。CDと全く同じ大きさの盤に、135分以上の高品質な映像と多言語の音声をいれ、プレーヤーは500ドル以下というものであった。このハリウッドからの要求に、一歩も妥協せず高い技術を実現し、事実上の標準化を達成した。

田中久重に感銘する点は、

1.顧客のニーズにこたえる
創業のおり、銀座の店の看板に【万般の機械考案の依頼に応ず】という看板をかかげ、依頼が絶えなかった。

2.人を喜ばせたい
人を喜ばせたい、驚かせたい、感動させたいが久重の原点。

3.人の役に立ちたい、社会に貢献したい
久重は、久留米から大阪、京都、佐賀で仕事をするが、単にからくり人形だけでなく、時計、プラネタリウム、無尽灯、  大砲、蒸気船(雛形)、電信機などをつくり、社会に役立ちたいという夢を達成した。

4.向上心、情熱と若さ
先端の蘭学、天文学を学び、チャレンジ精神は衰えず。

この田中久重精神は、東芝のDNA(遺伝子)として重要であるばかりでなく、21世紀の日本のものづくりにも大切な精神である。

さて業種や組織こそ違うが、私立学校においても、創立者の理想に燃えた建学の精神がある。それが脈脈とひきつがれ、私学のDNA(遺伝子)、教育の基本になっている。本学園は、創立者古賀米吉の3つの建学の精神(※)を教職員のDNAとして引き継ぎ、古賀教育を実践し、卓越した教育の王道を歩み続けている。

※ 市川学園 建学の精神
・人間は各々違った特色を持つという独自無双の人間観
・その特色や持ち味をひきだす良く見る教育
・自ら学び自ら鍛える第三教育こそ生涯の宝