12.いたわりとやさしさ~いじめ救世軍の必要性

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いたわりとやさしさ ~いじめ救世軍の必要性

理事長・校長 古賀正一

2006. 12. 1

いじめ問題が噴出している。いじめが原因とされる自殺、自殺予告など暗い悲しいニュースが連日の新聞やテレビなどで続いている。 いじめに限らず、今や悩む子供に対して家庭、学校、地域、国あらゆる部門が総力をあげ対応し、さらに抜本的・本質的解決にむけ更なる努力を続けなければならない。いわばいじめに対する救世軍活動が必要である。

当学園は毎日のクラスや授業、クラブ活動など学園生活での生徒の様子を『よく見る』ことが基本と考えている。
一方家庭と学校の緊密な連絡、信頼関係なくしていじめ問題は解決できない。何でも話し合える信頼関係が基盤となっている。

当学園では4人のカウンセラーが土曜を含め、『ほっとるーむ(本館1階北)』に駐在し、生徒、保護者の悩みの相談に対応している。 保健養護室(南館1階)では3人の養護教諭が連日生徒の体調や怪我は勿論、心の健康にも対処している。
校長、教頭、生活指導部長を中心に、クラス担任と学年主任、部活顧問、保健養護とカウンセラーが協力しあい、いじめに対しても報告、連絡、相談をスピーディに的確にし、保護者の皆さんとの連携を更に密にするよう努力している。
教師もチームとして対応し、『いじめ/悩みの総合ネットワーク』を更に強化している。特にいじめや悩みの初期段階のSOS(助けてのシグナル)を見逃さない感度と情報を持ち、いじめの芽への迅速な対応が大切である。

いじめは100%いじめる側が悪く、許容の余地は全くない。

いじめるものに対して毅然たる対応をとるとともに、人の心を傷つけることが如何に恥ずべき行為であり罪が重いか、人間はお互いに助け合って生きていることを、繰り返し教え続けねばならない。

また、いじめられる生徒には、君はオンリーワンのかけがえのない存在であること、先生と親が盾になり絶対に助けるので、恐れずなんでも言ってくること、君のことを思う人が沢山いることなど生きる根本を、教師、保護者などそれぞれの立場で説き、自らも手本を示すことが必要である。

学園の人間教育は不動であり、日常生活での明るい挨拶、清掃、通学マナーの励行、ルールの遵守、ものを大切にする心など校長の教育方針を推進し、生徒指導に全教職員であたっている。
また、誠実、親切、友情、礼儀、勇気などの徳目を重んじ、『紳士たれ、淑女たれ』は本学園の建学からの変わらぬ精神である。

司馬遼太郎さんの『21世紀に生きる君たちへ』という名文が、小学校6年の国語教科書(大阪書籍・小学国語・下)にのっている。
司馬さんの青少年への期待であり、生き方の基本を教える感動的文章である。
『(前略)自然物としての人間は、決して孤立して生きられるようにはつくられていない。このため、助け合う、ということが、人間にとって、大きな道徳になっている。助け合うという気持ちや行動のもとのもとは、いたわりという感情である。他人の痛みを感じることと言ってもいい。やさしさ、と言いかえてもいい。「いたわり」「他人の痛みを感じること」「やさしさ」みな似たような言葉である。この三つの言葉は、もともと一つの根から出ているのである。根といっても、本能ではない。だから、私たちは訓練をしてそれを身につけねばならないのである。その訓練とは、簡単なことである。例えば、友達がころぶ。ああ痛かったろうな、と感じる気持ちを、そのつど自分の中でつくりあげていきさえすればよい。(後略)』

司馬さんは、今日のいじめの問題を先見されていたのかもしれない。

タフでなければ生きていけない。やさしくなければ生きてゆく資格がない。(レイモンド・チャンドラー)