48.他校に学ぶということ…教育におけるベストプラクティスと切磋琢磨

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他校に学ぶということ…教育におけるベストプラクティスと切磋琢磨

理事長・学園長
    古 賀  正 一

2009.8.1

最近他校の校長、教職員の方の当学園訪問が多くなりました。以前は校舎の視察がほとんどで、立派な校舎ですねという感想と、新校舎建設のための参考に計画や設備面の調査と質疑が目的でした。最近は教育改革、教育システム(カリキュラム、習熟度別授業などを含む)、真の学力と人間教育、教職員の評価と研修、生徒指導、進路指導、入試広報、中期計画、PDCAサイクルなど具体的な変革の手法や教育の中身、生徒指導に関することと質疑がほとんどです。基本的には、個人情報にかかわること以外は全て説明しお役に立てるよう努めています。また訪問される学校から学ぶことも多く、訪問をきっかけに良い交流が始まり、出会いの大切さを感じます。また県外からの訪問が多く、首都圏とはちがった悩みやご苦労、血のにじむ改善の工夫、公立との対等でない競争への苦渋など知ることもあります。

小職は民間に長くいた関係から、ベストプラクティス(特定テーマにつき最善のやり方を最も優れた企業、組織体、個人から学ぶ)やベンチマーキング(同業の他の企業、組織体と比較して、自社がどこが劣っていてどこが優れているか比較研究し学ぶこと)になれ親しみ、企業改革を推し進めてきました。勿論企業の場合最高の機密は開示しないのは当然として、仕組みやシステムは大いに教えあい、切磋琢磨し進歩してきました。

前月のHP『学ぶ共同体』で、学校内教職員の切磋琢磨はもとより、他校の教師のよいところ、他校の方法や仕組みの良いところは積極的に学び研究することが大切と主張しました。学校特に私学は井の中の蛙のようなところがあり、あまり他校を参考にすることはしません。学校によっては、唯我独尊、極めて秘密主義、またはみっともないところは見せたくない非公開主義がありますが、狭量で進歩しません。勿論私学はそれぞれの建学の精神と特色が皆違い、簡単に真似できない、すべきでないと主張する人もいます。しかし参考になる良いところだけを取捨選択し、学び吸収し、自家薬籠のものとすればよいのです。

もっと学校単位、教科単位、校務分掌単位での学校間交流が盛んになることが、日本の教育の質を上げることになると思います。本当に蓄積されたノウハウは、簡単に真似ることはできませんし、よしんば参考にされ、他校が良くなった場合は、教えた方は更に上をねらう励みにもなります。また同じ失敗を繰り返さないためにも、先人のノウハウは吸収すべきでしょう。Give and Takeで、良いことをすれば必ず見返りはあるものです。

最近小職自身SSHの発表会で、京都市立堀川高校や筑波大学付属駒場高等学校など卓越した学校の視察の機会を得、参考になることが多々ありました。またSSHに限らず公私ともども各学校の成果を蓄積し、ドキュメント化し、説明書や研究紀要とし、対外的発表交流を活性化すべきと思っています。

国の施策も校舎機材などのハード面の補助以外に積極的に研修、研究、教員の養成と処遇など、ソフト面の補助に更に力をいれるべきでありましょう。また教育の質はグローバルなものゆえ、他国の研究も怠らず、少なくとも教育投資はGNP比で他国に負けないような政策を打つことこそが、日本の真の教育立国への道でありましょう。

『一年の計は穀を樹うるに如くはなし。十年の計は木を樹うるに如くはなし。終身の計は人を樹うるに如くはなし。(管子)』

以上