53.あらためて建学の精神の意味と実践を考える

なずなメッセージ

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あらためて建学の精神の意味と実践を考える

理事長・学園長
    古 賀  正 一

2010.2.1

 建学の精神は私立学校にとって魂といえる。今年度は市川学園にとり、第二次中期計画(H21-H26)の初年度であり、改めて本学園の建学の精神の意味と実践を考えてみたい。

1、 市川の建学の精神とその骨格の第三教育; 本学の建学の精神は人間観、教育理念共に普遍性のある到達度の高い不易の目標である。

① 人間は独自無双; 一人一人素晴らしい個性と才能を持つという人間観

② よく見る精神; 生徒のもてる特色をよく見て十分引きだす教育

③ 自ら学ぶ第三教育; 第一の家庭教育、第二の学校教育が終わり、一生涯続くのは自ら学ぶ力自立する力である第三教育。第三教育の達人を目指したい。

2、 古賀米吉と建学の精神; 建学の精神は、創立者の哲学と情熱の反映である。創立者古賀米吉を理解することが、建学の精神の本質に迫る道である。小学校の教員、公立旧制中学の英語の主任に進みつつ、尚東京外語大、東大、ロンドン大で学び続けた。イートンなど英国の全寮制私立中等教育(パブリックスクール)の自由と規律、リーダー養成に感銘を受けた。本物の教育は私学でなければできぬと、1937年本学園を創立。千葉県私立男子校市川を定着させた。

3、 建学の精神を具象化するもの; 建学の精神は身近で分かりすく具体的でなければならぬ。市川の建学の精神を具象化したものは校内に数多い。

① 第三教育センター(図書館)と自習室: 読書こそ第三教育の鍵、図書館は実践の場である。朝7時開館、蔵書12万冊は全国高校トップクラスである。朝の十分間読書も、本校出身の教師が始めたもの。

② 第三教育塔: 北門右手にあり、三本の塔からなる。低塔は第一教育の家庭教育、中塔は第二教育の学校教育、高塔が自ら学ぶ第三教育を示す。3つの塔の前に、教頭の作である第三教育の本質を表す詩が書かれている。

③ 不同石; 正門右手にある大きな庭石。論語の『君子は和して同ぜず』に由来。付和雷同しない自立した人間に育ってほしい願いで命名。第三教育に通じる。

④ 創立者古賀米吉像; 本館玄関正面にある。『よく見ればなずな花咲く垣根かな』(芭蕉)の句が像の背面にある。この句のなずな精神は、本学のよく見る教育精神のシンボルである。

⑤ 古賀教育センター; 本館2階。不易の建学の精神、古賀教育を多角的にビジュアル化して展示。第三教育の達人の卒業生も例示。

⑥ 市川学園歴史センター; 本館一階。学園の70年の歴史を黎明期から現在まで6区分し、歴史的写真や品々を展示している。

4、 建学の精神をいかに実践するか; 実践の一例を示す。

① 第三教育の実践は、読書からである。冊子『市川学園100冊の本』は、推薦本を示す。近年読書好き生徒が増えた。入学時配布の古賀米吉著『楽しい学園生活』は古賀教育の本質が分かる随想集、生徒の座右の本として読ませている。

② 高校1年のクラス単位の入寮生活も、建学の精神の実践のひとつ。

③ SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の課題研究、発表、大学訪問などを通じ、探求学習を深めている。SSHは第三教育の実践である。通常教科も自学ができればしめたもの。動機付けが重要。

④ 各分野の達人による土曜講座(年20講座)はすでに7年間継続している。自主参加で刺激を受け、自ら学ぶ講義である。中学1年から高校3年まで一緒に聞き、感想文のみ必須。教養教育であり、キャリア教育でもある。

5、 建学の精神をいかに継承し発展させるか;

 学園は学ぶ共同体として、建学の精神の自学力自立力を、教職員も生徒も実践し高めねばならない。継承者は、学園の歴代幹部、教職員、生徒であり、また同窓生の力は大きい。ホームカミングデイなど同窓会行事では必ず建学の精神が語られる。また70周年には、『70年のあゆみ』を作り、その後毎年の行事資料を着実に蓄積する仕組みをつくっている。

 建学の精神の継承発展は、まさに学園の発展と表裏一体でなければならない。第二次中期計画では、ビジョンの冒頭に、『建学の精神を深耕し21世紀の卓越した教育を目指す』とし、深く耕すを目標に、教職員一同決意を新たにしている。