68.読書の市川学園・・・どくしょ甲子園優勝

なずなメッセージ

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第1回 どくしょ甲子園の表彰式にて

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読書の市川学園…どくしょ甲子園優勝

理事長・学園長
    古 賀  正 一

2011.6.1

 中間試験も終わり、生徒の活動が活発ですが、生憎の早い梅雨入りです。

 やや古い話ですが、昨年の朝日新聞主催第一回どくしょ甲子園にて、当時高校2年長谷部さんのチームが最優秀賞を受賞しました。どくしょ甲子園は、読書会の楽しさを1枚ボードに表現し競う高校生のコンクールです。その後今年2月26日に、同じ朝日新聞主催の『グループ読書のすすめ』シンポジウムがあり、東大秋田喜代美大学院教授の司会の下、作家の岩崎夏海さん(ベストセラー『もしドラ』の作者)、山口県立高校司書教諭長尾幸子さんと小職でパネル討議を行い、当学園の第三教育と読書の関係や読書会の重要性を強調しました。(4月30日朝日朝刊24面に掲載)

 改めて市川学園における読書と読書会の重要性をまとめて見ましたのでご一読ください。

1、学園の建学の精神『第三教育』の柱は読書; 目標は、自ら学び考える力(自学力)の養成と一生涯続く学びである第三教育の基礎を体得し習慣化させることです。中核を読書におき、図書館と自習室とグループ学習室を合わせて第三教育センターと称し、12万冊の蔵書やメディアを持ちます。朝7時開館し、始業8時30分までの朝の読書、自習、図書館活用を奨励しています。岩波文庫全巻そろえ、また教師が選定した『市川学園100冊の本』(中学、高校100冊)は、複数そろえています。

2、読書の推進普及活動; 朝の10分間読書は中学全クラスで実施し、定着しています。昨年は国民読書年にちなみ、クラス全員、第三教育センターから10冊以上借りて本を読もうという、チャレンジ10運動を実施しました。最高の読書王は2年生で116冊でした。第三教育センターは、いかに生徒の読書モチベーションをあげるか、展示や各種企画に工夫をこらしています。各クラス2名以上の図書委員中心に運営しています。例えば今授業中の作者の本の展示、土曜講座の講師の本の展示、図書委員の推薦(コメント付)展示、特定テーマ展示などあり、種々刊行物の発行もしています。貸し出し返却も当番で原則生徒の図書委員がやっています。

3、大人の生き方読書会『継続こそ力なり』; 学園役員、教職員、保護者、地域の方々など10-20名が、読書を通じ、生老病死、人間学を熱心に学んでいます。13年間毎月1回校内で実施、すでに140冊以上を読み込みました。幹事や参加者からの推薦本を中心に選択、幹事から本のポイント説明した後、自由に意見交換しています。多様な人生経験から本を通じ生き方や悩み、昨今の社会情勢、子育て、介護など自由に発言しています。作家もテーマも多種多様、最近の作家の一例をあげますと、城山三郎、柳田邦男、五木寛之、黒井千次、三好達治、茂木健一郎、司馬遼太郎、山折哲雄、カール・ヒルティ、中国の古典などです。

4、生徒の読書会の意義; 上記大人の読書会の成功から、生徒の読書会が願いでした。最初は図書委員中心に、読書の楽しみ方の講義を実施。2年前中学生で読書会をスタートし、毎月一回数名で一冊の本を読みあう読書会になりました。生徒の好きな本でやる、司書教諭は聞き役で、生徒の発言を引き出すのが原則です。課題は①自由参加のため司書と常連2人のこともある。初対面で会話進がまないことあり。②生徒の選ぶ本は、ミステリーや軽い読物になりがち③月一回2時間だが、対象の本を読み込んでいないと話が進まず。本の例は、坊ちゃん、走れメロス、ハリーポッター、図書館戦争など多様。

5、どくしょ甲子園応募経緯; 司書教諭が生徒の背中を押し、図書委員長、副委員長中心に2つのグループで応募。宮澤賢治『よだかの星』と桜庭一樹の『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』。もともと企画展示(面白かった本を広く生徒に紹介形式)に慣れていて応募しやすかったとのこと。教師は極力かかわらず。主流の意見に反対の意見の面白さ、勝ち負けでなく共感を見出すのが醍醐味があり、読書ボードを作る明確な目標があったのもよかったと思います。

 読書会の面白さは、本が好きな生徒が集まり本の話ができること、関心のなかった本に出会え新しい発見をすること、異なった読み方や印象深い点の違いを知ること、分からないことが分かるようになることなど、一人で読む(独書)ことでは得られぬ面白さがあります。

6、読書の習慣と喜びは一生の宝; 読書の習慣が大切で読書を癖にしたい。また細切れの時間を大切にし読書時間を作り出す、読んで感動した箇所や言葉を手帳に書いておくことも大切です。家庭での大人の読書実態と意識調査(09-10-20朝日新聞、出版文化産業振興財団)があります。20歳-60歳代を対象に調査し、大人は4人に一人は本を全く読まない(月0冊)こと、子供の頃の読書体験が読書冊数に大きな影響を及ぼしています。親から本を読んでもらったり薦められた人の40%以上が月に3冊以上本を読んでいます。逆にそうした経験なしの人の37%が本を全く読んでいません。

 読書には、いろいろな視点があります。一人で読むことに対しての読書会、多読と精読・熟読、黙読と音読、面白い本とためになる本、やさしい本と深い本、初めて読む本と再読再再読する本、読書のインプット(読み解く力)とアウトプット(表現、発表、主張、討議)など。選択する本も読書法も多様です。親が読書をすることが、子供の将来の知的生活に大きな影響を及ぼすことは確かであり、しつけと並び家庭での教育の大切な要素です。

 『生涯において何度も読み返しうる一冊の本をもつ人は幸せなひとである。さらに数冊を持ちうるひとは至福のひとである。』(アンリ・ド・モンテルラン)