69.リーダーの資質を磨く

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不同石:正門右手にある大きな庭石。論語の『君子は和して同ぜず』に由来。

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リーダーの資質を磨く

理事長・学園長
古 賀  正 一

2011.7.1

最近のニュースでうれしいことは、日本のスーパーコンピュータ京(ケイ:1兆の1万倍)が世界最高速8162兆回/秒の計算速度で7年ぶりに世界一になったことです。(2位:中国、3位:米国)グローバル時代、新興国家の成長も著しい中、創造的な力で日本が発展しなければ、世界で生き残れません。

今日本は国難です。大震災と原発事故で、日本人の考え方、生きがいも変わってきています。現代の文明社会に自然と共存し安全に生きること、科学・技術を如何に制御するか、足るを知る精神(知足者富;老子)も必要です。復興再興し日本を変革するには、ビジョンを持った強いリーダーが期待される昨今です。世界でも例を見ない少子高齢化をむかえ、財政の厳しさの中、国の富を如何につくるか重要な時代です。政治の貧困は目を覆いたくなります。各分野で若いリーダーの輩出が必要であり、教育の充実が不可欠です。リーダーは地位が高いほど、ノーブレス・オブリージュ(高貴なるものの責務)といわれ責任が重いのです。滅私奉公といいますが、自分のことより公に尽くす、自分のことは犠牲にする、本来政治家とはそういうものでしょう。

さて生徒諸君が社会において、自分の仕事、もち場で活躍するのは2030年頃でしょう。随所に主となる(随所作主:禅の言葉)、それぞれの組織で中心になり主役になる人(リーダー)になってほしいと願っています。

今後どういう人材が社会で期待されるか。

まずは自分で考え行動し人生を切り開ける自立型、課題解決型の人材です。さらに 国際化グローバル化する中で活躍できるタフな人間です。そのためには、中学・高校時代に基礎学力をしっかり身につけ、自分の得意を生かした大学・進路を選ぶこと、何でもやってみようというというチャレンジ精神と意欲、へこたれない我慢強さも必要です。

更に英語中心の語学力と多様性を知る国際感覚、コミュニケーション能力(説明、説得、人に好かれる)が大切です。人間として当たり前のことができること(挨拶、清掃、ルールと約束を守る、人に迷惑をかけない)は大前提です。

最近企業が新人を採用するポイントの順位は、コミュニケーション力、行動力、熱意、人柄、協調性、責任感などで、人間としての基本を重視しています。勿論基礎学力と専門の基礎力は前提とされます。若者が内向き消極的であるとか、海外に出たがらないとか言われますが、そんなことはない。生徒諸君は、力を持っており、場やチャンスを与えることが大切です。

『何でもやってやろう、見てみよう』精神で、失敗を恐れないことです。新しいことは不安です。しかし飛び込めば何とかなるもので、この経験は重要です。失敗も、成功も、ともに若いうちに体験し、自分の根っこを強くすることです。5月に行ったノーベル賞受賞者小柴昌俊先生の土曜講座の主題は、『やればできる』でした。リーダーになるための資質は、結局立派な社会人の資質と大きくは変わりません。勿論、リーダーのあるべき姿は安定期のリーダーと変革期のリーダーは多少異なり、またリーダーにより、トップダウン型、ボトムアップ型、おみこし型、コミュニケーション型などいろいろあります。

私見ですが、世に活躍しているリーダーの共通項は…

① 責任感(使命感、志)がある。

② 何か秀でた専門性と強み(何かを為した)をもつ。

③ 失敗や困難を乗り越えた経験がある。(逃げない、人の所為にしない)

④ 自分に厳しく、公私の別がきちんとしている。

⑤ 判断力・決断力・実行力がある。(特に判断力は重要)

などです。

古今東西リーダーのあり方論は数々ありますが、数例をあげます。

1) わが身を正せ、人の話を良く聴け、人材を登用せよ、自己を管理せよ、安きに居て危うきを思え(よい時に危機対策)、態度謙虚・言葉慎重に、最初の緊張感を持続せよ(貞観政要;唐の太宗皇帝と臣下の問答集)

2) Vision, Passion, Action, Decision(ヘンリー・キッシンジャー)

3) ローマ時代のリーダー;知力、説得力、耐久力、自己制御能力、持続する意志(イタリアの高校歴史教科書:塩野七生)

どのようにしてリーダーは育成されるか。自分の専門と広い教養と体力の上に、日常の仕事をしっかりこなし、約束を守り、人から信頼を得ること、困難な仕事を逃げずに成し遂げ、時に逆境に耐えながら日々努力することによりリーダー力が蓄積されます。また歴史書や人間学の古典の読書やマネージメントの本も役立ちます。

最後に生徒諸君は、学園生活を通して、友人と切磋琢磨し、将来リーダーとして社会に貢献する力を、今から養って欲しいと念願しています。