82.障子を開けてみよ、外は広いぞ(豊田佐吉)

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障子を開けてみよ、外は広いぞ(豊田佐吉)

理事長・学園長
   古 賀 正 一

2012. 8. 1

 表題の言葉は、トヨタグループの創業者豊田佐吉が事業家として成功し、中国上海に工場進出し、家族で移住した時の言葉とされています。豊田佐吉は、1867年今の静岡県湖西市に生まれ、父伊吉が大工仕事、母えいが機織りをしながら生計をたてており、佐吉も小学校卒業後大工見習いとなりました。母親を少しでも楽にしてあげたいという思いがあったことと思います。その後上京し芝浦の機械工場や横須賀の官営の造船所を見て、動力機械設備の発達に驚き、自らは豊田式人力織機の発明に成功し、更に動力織機の発明改良で知られることになります。障子の向こうには、今まで見えなかった世界が広がっている、障子を開くことで新しい世界がひろがり、可能性を開くことが出来るとの思いで、『そこの障子をあけてみよ、外は広いぞ』という言葉を残したものと思います。グローバル時代の今こそ必要な言葉です。やや内向きな日本、チャレンジ精神を持ち世界に目を向けなければならない我々大人にも、未来の日本を背負う若い世代にも勇気づけられる言葉です。

 実はすでに日本の企業のグローバル化の速さは、驚くばかりです。円高の影響もあり、またアジアをはじめ新興国の成長と共に、日本の主力の自動車産業や電機・電子産業も、開発や設計センターは日本を拠点にするものの、生産は海外各国で行い、販売は全世界で行うグローバル企業に急速に変質しています。

  各企業ともにグローバルに活躍できる多くの人材を求めています。A企業は、新卒の本社採用社員の入社式総代は外国人であり、B企業は取締役13人のうち3人は外国人であり、また社内共通語を英語にしているC企業、新人採用には英語力を重視するD企業など当たり前になってきています。又一方理系文系を問わず、教養(Liberal Arts)を重視するなど、即効性より、基礎力・人間力・成長性、前向な積極性を重視する企業も多くなっています。何でもやってみようというタフな人材が欲しいともいっています。日経12-7-16の記事『人事トップが求める新卒イメージ調査』でも、採用したい大学新卒の人間像では、1位コミュニケーションの能力(60%)、2位チャレンジ精神(54%)、3位主体性(35%)、4位行動力(34%)、更に意欲・情熱、責任感、協調性と続きます。勿論グローバルに活躍できる人材は、日本人としてのしっかりしたアイデンティティを持ち豊富な語学力、異文化体験・理解、信頼感などが必要でしょう。どんな国の方でも同じ人間であることをベースにお付き合いすること、最初の出会いを大切にお互いに知り合うこと、一緒に仕事をすること、何より誠実さや誠意が互いの信頼関係の基礎です。

 さて暑い夏休み、学園の生徒たちはロンドンオリンピックのトップアスリート達の真剣勝負に感動し、また学期中に出来ない体験を沢山しています。今年も中1が一宮夏期学校、中2が関西夏期学校、中3がカナダと英国ケンブリッジの語学研修、高2はSSHの白神山地学習会や他校交流、高3は夏が勝負の校内連続勉強会、多くのクラブ活動・合宿や大会、前期後期の夏期講習など多彩です。また教職員もタイ国、韓国への出張交流、短期英語合宿研修、教科別集中研修会など内なる国際化も進んでいます。今年からはじめた英国ケンブリッジ大学キャンパスでの中3語学研修は応募者が多く、やむを得ず選考試験で40名が選ばれました。ロンドンオリンピック後の英国ケンブリッジでの二週間は、世界一の大学キャンパスでの研修、ハウス(寮)での宿泊、ノーベル賞科学者を多数輩出したキャベンディッシュ研究所見学、大学生との交流の各種イベント、ロンドン市内見学など充実した2週間になることを確信しています。

 生徒たちが、それぞれの個性ある活動を通じ、この40日間で身体も心も大きく成長し、元気に始業式に登校することを念願しています。