89.卒業生の諸君への思い;随所に主となれ

なずなメッセージ

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卒業生の諸君への思い;随所に主となれ

理事長・学園長
古 賀 正 一

2013.3. 1

 高校3年生にとっては目指す大学入試をほぼ終え、3月4日(月)の第65回高校卒業式を待つばかりです。共学になってから5回目の卒業式であり、創立の旧制中学1回から数えると、74回目の卒業式になります。

 今教職員室は、続々と大学合格の吉報が入る一方で、一敗地にまみれ、悔しさに唇をかみしめ悩む生徒もおり、この時期の教員の対応や気配りは極めて大切です。志を遂げた生徒には心からの祝福を、志どおりにならなかった生徒、再度チャレンジする生徒、悩む生徒には心からの応援をしてあげたいと思います。ドイツのことわざにあるように『共に喜ぶのは2倍の喜び、共に悲しむのは半分の悲しみ』(Geteilte Freude ist doppelte Freude,geteiltes Leid ist halbes Leid.)の気持ちです。

 勿論目指した大学合格は、一つの目標達成であり努力の成果として、心から褒めてあげたい。しかしこれがスタートであり、大学での学問・研究、就職、結婚、家庭生活など、いつも思い通りになるわけではありません。努力、出会い、ご縁、環境、運など多数の要因もあり、人生の道は異なります。挫折したり悩みつつ人間は成長して行きます。およそひとかどの仕事をした人で、失敗や挫折のない人はいません。成功ばかりしている人は、人のお蔭という感謝の心や幸福感が薄く、失敗した時の落胆が大きいのが特長です。又目標が低く、チャレンジせず安全運転では、自分の可能性を生かせず、生きがいや満足度が低くなります。大切なことは自分の目標に向かってチャレンジすることです。1年や2年の遠回りなど、長い人生何の影響もありません。『つまづいたっていいじゃないか、人間だもの』(相田みつを)大切なことは、自分の本当にやりたい志を持って生きつづけることです。

 これからは市川学園で学んだ『自ら学び自分の頭で考え自立できる第三教育の力』を発揮するスタートです。どんな専門や教養の学問においても、学んで価値のないものはありません。楽しく興味を持ち主体的に学ぶことが大切です。私は『われ以外皆わが師』という吉川英治さんの言葉にひかれ、座右の銘の一つにしています。自分が主体性を持てば、何からでも学ぶことが出来、学びは楽しい。日々の小さな学びの積み重ねが諸君の人間を作り、人生をつくります。学ぶこと少なく、楽をしてうまい一生などはなく、努力することによってのみ道は開けます。

 『随所作主』(ずいしょにしゅとなる)という禅の言葉があります。いつでもどこでもどんなところでも主体性を持ち主人公になって行動し、力の限り尽くせば、自由な心境、自在な働きが出来るという意味です。自ら主体性を持って学ぶ第三教育に通じます。

 諸君が社会で活躍する頃は、国際的な視点と多様性理解が必要な真のグローバル時代です。日本の人口は今後減り続け、先進的少子高齢化社会を迎えます。新しい課題を率先して解決しなければならない立場です。自然の脅威に対し如何に自然と共生できるか、限りなく進歩する科学・技術を人間が理性を持って制御し活用できるか大きな課題です。宇宙飛行士が宇宙から見た地球は、きれいな青い水の惑星で極めて『fragile』(こわれやすい)に見えたといっています。地球環境を守り、争いなく永く自然と共生することが大切です。

 また日本は人材こそが資源であり財産です。技術革新や知恵で質の高い国をつくり、世界をリードすることが日本の生きる道です。諸君は人から信頼されること、新しいことにチャレンジする意欲を持つこと、自分の得意・専門を持つことが非常に大切です。失敗したり挫折しても、やり直せるのが若さの強みです。

 10年一つのことをやれば必ずものになります。また法律で守られた権利を主張するだけでなくまず義務を果たす、お世話になるだけでなく、人のお世話のできる人に育ってほしい。

 1961年若き第35代合衆国大統領ジョン・F・ケネディは、有名な就任演説の最後に、『自由を守る世代として、皆さんはあなたの国があなたのために何をするかを問わないでほしい。あなたがあなたの国のために何ができるかを問うてほしい。』といっています。当時就職して間もない私も感激した演説でした。次世代の日本を担う諸君が大きい志をもち、それぞれの仕事で地域や国、世界に貢献できる日を期待しています。

 最後に学園は、常に諸君の心のふるさとであり、いつでも歓迎します。毎年の11月のホームカミングデイには、是非学園に来て、元気な姿を見せてください。