佐野 邦雄 先生 : 工業デザイナー GOODデザイン賞受賞

デザインの世界と実際
~身の回りにある様々なモノは一体誰がどのように考え、デザインされるのか~

1938年東京中野生まれ。
デザイン教育をうけた後、錦糸町にあった精工舎のデザイン部で時計のデザインに携わる。
独立してデザイン事務所を経営しながら日本のデザイン教育の専門学校として歴史のある桑沢デザイン研究所を始めとして、女子美術短期大学、明星大学で非常勤講師を務めた後、静岡文化芸術大学教授を務める。現在は実務の傍ら桑沢デザイン研究所等で教えている。1992年から中国の大学の集中講義、99年から大学の若手教師対象の研修責任者を務めた。(社)日本インダストリアルデザイナー協会活動賞受賞。グットデザイン審査委員歴任。

代表作品

35年生産継続のはかり、日本で初めてデザイナーが参加した人工腎臓カプセル、六本木交叉点の時計塔など。

講座趣旨

子供の時から絵が好きだった私は中学2年の時、図書館で一冊の本と出会い一生を決めてしまいました。本には「これからの日本は工業デザインという職業が大切になる」と書いてあったのです。デザインを学んでからSEIKOに入り、時計のデザインを始めました。それまで毎日使っていた目覚まし時計などを、今度は考えて作り出す側になったのです。最初は自分が考えた時計が何万個も作られていくのを見て売れるかどうか不安でしたが、出会ったこともない人々に受け入れられて行くのを見て、自分の役割を理解しました。
人工物は必ず誰かの意志に基づいて作られます。良く考えられたモノは使う人の身になって考えたものです。ですからデザインの究極は使う人への思いやり、愛なのです。
デザインには様々な領域があり、さらに専門分化が進んでいます。デザインは時代の感覚を表現するのですが、今大切なのは資源や環境を考えたエコ・デザインや、高齢者や不自由な人を考えたユニバーサルデザインなど、社会の問題をデザインでどう解決出来るかです。自分の考えを表現しながら生きるので厳しいのは当然ですが、やりがいのある世界です。

著書

『つくり手つかえて手かんがえ手』(日本能率協会)、 他

生徒の主な質問と感想

  • デザインには、たくさんの機能があることがわかった。デザイナーは、使う人の身になって心遣いをしているなんて今までは気づかなかったけれど、これからはそのことをよく考えて使おうと思った。デザイナーについて興味を持った。技術は、使いようによって良いことと悪いことができるので、その使い方を守ろうと思った。〈中1〉
  • 自分は今デザイナーになろうと思ってこの講座を受けた。ただ何も知らず、なんとなくデザイナーになりたいと考えていたので、とても勉強になった。自分はものを作ることが好きなので、自分が作ったものを誰かが使って文句を言われ、また作って、そして最終的に使う人が便利だな、いいなと思ってくれるということを考えると、デザイナーはとてもやりがいのある仕事だと思った。〈中2〉
  • デザインは、奥が深いと思いました。美術などの直観的なものが大きいと思っていましたが、よく考えることも大切だということがよくわかりました。国にはいろいろな文化があるけれど、使いやすいものを作ろうという気持は同じだと思いました。〈高1〉
  • 生活に密着していて普段は流れていってしまうデザインたちを、改めて考えてみることが大切だと思いました。いろいろなことに逐一触れて自分の世界を広げていって、将来自分も街を歩いて流れるのではなく、ふと立ち止まれるデザインを手がけていけたら嬉しいです。インダストリアルデザインをやっていきたいなあと思っているので……。〈高2〉