佐藤 隆夫 先生 : 東京大学大学院人文社会系研究科 心理学研究室教授

心のサイエンスとしての心理学~見ることの不思議~

実験心理学者であり、学生時代から人間の視覚、聴覚のメカニズムの研究に携わり、明るさ、色の認識に始まり、形、奥行き、空間、運動、さらには物体や人の顔、表情の認識まで、人間の視覚にかかわる幅広い研究に携わっている。最近では、心理学的な研究を応用したコンピューターグラフィックス、メディアアート、仮想現実感(バーチャルリアリティー)の研究も手がけている。
1950年東京に生まれる。1974年東京大学文学部心理学科卒業。1976年同大学院修士課程修了、博士課程に進学の後、1978年米国ブラウン大学大学院へ留学。1982年、同大学院修了、Ph.D.(実験心理学の博士号)取得。その後、電電公社武蔵野電気通信研究所、ATR視聴覚機構研究所、 NTT基礎研究所を経て、1995年東京大学文学部、大学院人文社会系研究科助教授、1996年同教授。情報学環・学府における学際的な教育にも携わっている。

講座趣旨

高校生の間で、心理学に対する関心が高まっています。しかし、そうした高校生の心理学への理解は、かなり偏っています。多くの心理学志望者は、「こころ」を病んでいる人を助けたい、カウンセラーになりたいと考えていますが、こうした臨床的な領域は心理学の一部ではありますが、全てではありません。心理学は、本来、「こころ」とはなにか?という問いに答えるためにはじまり、現在では「こころ」の機能、メカニズムを解明するサイエンスとして発展しています。本講座では、はじめに、現代の心理学の全体像、さらに、その中における応用的な領域と基礎的な領域との関係をお話しし、その上で、現在の「こころのサイエンス」としての心理学の姿、考え方をお話しします。私が研究している「ものを見るしくみ」つまり、視覚のメカニズムに関する話題を取り上げ、視覚の不思議な側面、錯覚や、奇妙な絵画表現などの実例をつかいながらビジュアルとしても楽しめる形でお話ししたいと思っています。

生徒の主な質問・感想

  • 私達は、人間が生活している中で身のまわりの出来事をデータ分析し、行動するまでに、知識や思いこみ、脳や視覚などが複雑に関わっていることを知った。また、一つの行動を起こすのに、沢山の情報を処理している「目」や「脳」というものの大切さが分かった。(中1)
  • 光源の違いによって、へこんでいたり、立体的に見えることを利用して「なずな祭」のお化け屋敷に利用してみたいと思った。(中1)
  • 今日の講座を受けて、見ることの不思議さにすごく興味が湧いた。(中3)
  • 脳内視覚エンジンの能動的な作用が情報回復になるのがすごいと思った。(高1)
  • 私は心理学を学んで、商品開発の分野に進みたいと考えているので、佐藤先生の話を聞いてますます頑張ろうと思いました。(高2)
  • 人間は、思いこみや知識によって、見えているものに多くの影響を与えているということを初めて知った。半透明の顔のお面の映像が、内側のものであるのに、表側のものであるように見えしまうのも、人間が、顔は出っ張っているものという思いこみがあるからだ、というのも驚いた。(高3)