井上 紀子先生:文筆家

『 父としての城山三郎~父からの課題、悩めることの幸せ~ 』

井上先生の主な経歴の紹介

1959年神奈川県茅ヶ崎生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科博士前期課程(国文学専攻)修了。1983年より日本語学校非常勤講師として、日本語初級クラス、及び日本語教師養成講座(通信部門)を担当。のち、国立国語研究所の日本語用例辞典の編纂、小学生向け国語辞典の編纂作業に携わる。現在は城山三郎の遺品整理・管理に当たっている。

著書:「城山三郎が娘に語った戦争」  朝日新聞社、 「父でもなく、城山三郎でもなく」毎日新聞社

主な講義内容の紹介

本年度の最後の土曜講座が、井上紀子先生をお招きして多目的ホールで行われました。進行役の古賀加奈子カウンセラーとご一緒に入室された先生は、定刻に講演を始められましたが、それはきわめて多彩なものでした。

最初に司会者から、井上紀子先生、並びに父親でもある城山三郎さんのプロフィールの紹介がありました。その後、古賀加奈子さんの進行になり、今回井上先生を土曜講座にお招きした経緯についての説明の後、担当の中田真人さんより作家・城山三郎さんの著作について紹介されました。

座席から立たれた井上紀子先生は、城山三郎さんの海軍志願時のスライドなど20点近くを丁寧に説明されました。時々古賀さんからの問いかけに、井上先生がお答えする息のあった問答が繰り返されました。

その後、高2の女子生徒が、城山三郎さんの『愛』という詩を感情こめて朗読してくれました。それから、井上先生ご自身が『父としての城山三郎』について、「悩むことは幸せ」「一歩踏み出せば世界が広がる」「自分で責任をとれ」「いいわけを求めない」などの言葉をエピソードを交えて懐かしげに語ってくださいました。

最後に、多目的ホールの聴衆の皆さんへの問いかけや、皆さんからの質問をお受けした後、井上先生ご自身がお書きになられた『父でもなく、城山三郎でもなく』の「あとがき」を朗読されて90分間の土曜講座が終了しました。

生徒や保護者の主な質問・感想

○ 城山三郎さんの生き方を知り感銘をうけました。戦争の傷を負いながら生きた城山さんの本を読んでみたいと思います。(中1)

○ 他人の意見や世間に流されないで、見たり聞いたりしたことに対して自分の意見を言うことの大切さを学びました。(中2)

○ とても感動的なお話でした。誰もが自分の手で情報をつかみ、自分で考える世の中になるべきだということがわかりました。(中3)

○ 城山三郎さんが常に他の人とは違った見方を持つ柔軟さを持っていることに驚きました。(高1)

○ 「悩むことは絶対に幸せ」という言葉が心に残り、選択肢をもっている自分がとても恵まれているように感じ、その分その豊かさを最大限に利用しようと思った。(高1)

○ 小さいことをいちいち怒らず、大きなことを怒るためにエネルギーをためるという、面白い発想に少し感動した。(高1)

○ 人生の生き方をいろいろ紹介してくれてとても良かった。これからも「無私」な人になれるよう挑戦してみようと思いました。(高2)

○ 思想的なエピソードを聞くことができ、城山作品のバックボーンを身近に感じることができるようになりました。(中1保護者)

○ (中1保護者)ムードに流されて 戦争に向かっていくという恐ろしさを感じました。井上先生のお話はテンポもよくとても楽しかったです。        

○ 子を持つ親として悩むことばかりの毎日ですが、悩むことは幸せとのお話をうかがえて良かったと思います。(中1保護者)

○ 私は、これから先の自分の人生を「老い」としかとらえていませんでしたが、資料「城山三郎の人と作品」や城山さんの活躍ぶりを見て、私にもこれから先の人生にまだまだやれることがいっぱいあるのではないかと、力づけられました。(中2保護者)


石浦 章一先生:東京大学生命科学構造化センター長

『 新しい生命科学の発展と脳科学  』

主な講義内容の紹介

脳科学の話を中高生にも分かりやすく、また身近な事例を取り入れながら話され、あっという間の90分でした。前半は脳の働きや頭のいい人の脳の仕組み、脳神話のウソ・ホントなどの話で、東京大学での先生の講義のサワリまでご紹介してくれました。クイズ形式でのやりとりでは、生徒も真剣に悩んでいる様子でした。

後半は東京大学の紹介で、授業風景のスライドや実際にどのような勉強ができるのか、どのような教授がいるのか等を通し、可能性の広さを示されました。なかでも「先生の夢」という話では、アルツハイマーを治すイネの開発に成功したという事を聞いて、皆驚いているようでした。

最後に、「高校生で大切なこと」は、①何にでも興味を積極的に持ち調べること、②規則正しい生活(食事・睡眠)をすること、などをお話しされました。また、「どのようなアプローチで勉強するのか、自分で問題を見つけ、答えを探すことが大事である。」など、専門的なお話のなかにも、随所に生徒のためになる言葉をおりまぜた貴重な講義でした。

生徒や保護者の主な質問・感想

○ 大学は将来だけのために勉強をするのではなく、自分の好きなことを勉強する所なんだということを初めて知りました。(中1)

○ 頭のいい人の脳のしくみなどをよく知りました。脳のどのような部分を刺激すれば臨死体験をするのか、などは興味深い内容でした。(中2)

○ 脳科学のことだけでなく、いろいろなジャンルの話をされていて、すごく興味が持てました。たくさんの事実が知れて楽しかったです。(中2)

○ 話がとっても面白くて、クイズなども沢山あって、脳のことに興味が持てました!(中3)

○ 事例が豊富で、難しい内容がわかりやすく語られていた。脳科学というと、難しい学問だという気がしていたが、身近な生活と結びついていることがわかりました。(高1) 


銭谷 眞美先生:東京国立博物館館長

『 心に残る人  』

主な講義内容の紹介

始めに、東京国立博物館の成り立ちや意義・目的などについて、興味深い写真やさまざまなエピソードを交えて、分かりやすくお話していただきました。

次に、人の存在や生き方について、銭谷先生がこれまでの人生で出会った、忘れられない人々を紹介しながら話していただきました。

最後に、生徒たちに向かって、人生のさまざまな人々との出会いは、自分自身にとっては、たった一度のかけがえのないものなので、その出会いを大切にすること。弱いものいじめは絶対にしないこと。友人を大切にすること。特に中学・高校時代の友達は一生の宝物になること。また、今後いろいろな立場に立つことがあるだろうが、自分に恥じない生き方をすることなど、とても意義のあるメッセージをいただきました。

生徒や保護者の主な質問・感想

○ 私も博物館が好きです。1回だけ東京国立博物館に行きました!!私は日本の歴史ある事物が大好きなので、すごく楽しかったことを覚えています。思惑通りですが、前に行ったときよりも、ものすごく関心がもてました。日本に博物館が5000もあるとは……おどろきです。博物館が映画で壊れてしまった話に笑ってしまいました。中学、高校時代の友達を大切に!!という言葉は印象的でした。(中1)

○ 銭谷先生のお話は、やさしい口調で、たまに冗談を言ったりするなど、とてもおもしろく聞くことができました。日々生きていく中では、あまり感じない自分の存在意義を感じさせるお話だったと思いました。今回、銭谷先生が話されたことからいろいろ学んで、これからの自分の生活に生かして行こうと思いました。(中2)

○ 銭谷先生は、本当に博物館のお仕事が大好きなんだと思いました。博物館について、いろいろ話して下さり、勉強になったと思います。人が生まれるということは、決して偶然で起きることじゃないんだと思いました。歴史がとても大切なものなのだということが分かりました。良い人との出会いは大切なんだと思いました。これからは、もっと出会いを大切にしていきたいと思いました。(高1)

○ 東京国立博物館の展示品やその歴史など、今まであまりよく知らなかったことをたくさん学ぶことができました。仏像の運び方がすごかったです。また、これからの人生で、心に残る人に出会うチャンスを逃がさないという言葉もとてもためになりました。(高2)

○ 壮大な歴史観や地理観をとても身近な話として、分かりやすく説いて下さいました。専門的な宝物品のお話も、時にはユーモアを交えて語って下さったので、興味を持ってうかがうことができました。先生のお人柄に触れ、私にとって「心に残る方」になりました。中学生の頃に感動した長編小説『次郎物語』をまた読んでみよう、と思いました。(中1保護者)

○ 仏像の調査(CTスキャン)などのお話に興味を持ちました。調査の結果、体内に水晶が埋め込まれている仏像があることに驚きました。日本の仏像が海外のオークションにかけられていること、フランスでアニメの人気があることなど有意義なお話でした。「一期一会」は、この歳になって実感する言葉でした。(高1保護者)


三輪 郁先生:ピアニスト

『 やっぱりピアノが好き ~夢と職業の選択の間で考えたこと~ 』

三輪先生の主な経歴の紹介

代々音楽家の家系に生まれ、優れた音楽環境の中で育つ。桐朋女子高等学校を経て、ウィーン国立音楽大学及び大学院に学んだ三輪郁さんは満場一致の最優秀で修了し、オーストリア政府からその業績が表彰される。その後はイタリアのフィナーレ・リグレにおける”パルマ・ドーロ”国際コンクールにおいて審査員全員一致で第一位に選ばれたほか、ドイツ・ドルトムント国際シューベルトコンクールや浜松国際ピアノコンクールなどでも入賞する。数多くのオーケストラと共演し活動的にコンサートを行う中、テレビ番組化されたドラマ『のだめカンタービレ』(フジテレビ)をはじめ『のだめ』関連のピアノ音楽監修や落語家の春風亭小朝とのコラボレーション、さらにエッセイを出版するなどその活動は多彩を極めている。

2008年には、初のソロCD『バルトーク:ピアノ作品集』をリリース。さらに2009年秋にはシューベルト作品によるディスクもリリースされた

主な講義内容の紹介

先生のピアノとの出会いから、進学や留学を経てどのようにピアニストへの道を歩いてきたのか、合間にピアノ演奏を挟みつつお話ししていただきました。生徒は生で聴くピアノの音にずいぶん感銘を受けていたようです。

生徒や保護者の主な質問・感想

○ 最初に弾いていただいた『きらきら星変奏曲』は、同じメロディに少し音を変えるだけであんなにいろいろ変えることができるんだなと思いました。音楽家になって、社会に恩返しをしたいという思いに、とても感動しました。(中1)

○ 私もピアノを習っているが、最近、練習をあまりしていないので、先生の演奏を聴いてもっと頑張ろうと思った。(中1)

○ 自分の将来について考えるよい機会でした。自分の好きなことに向かって、進んでいきたいと思いました。先生の奏でる音一つ一つが素敵で驚きました。(中1)

○ ピアノがこんなにたくさんの種類の音を出せるとは知りませんでした。強かったり、弱かったり、なめらかだったり、優しかったり、その多様な音色に感動しました。(中2)

○ 『家族・職業・友人』の3つの柱の話がとても興味深かったです。どれも欠けてはいけないというところを納得しました。私自身もこの3つの柱を大切にしていきたいと思います。(中2)

○ 三輪先生の様なピアニストでも、小さいころからピアノが好きだったわけでは無いことに驚きました。(中2)

○ 素敵な演奏もたくさん聴けて、ゆったりとした2時間でした。いろいろな曲の背景や作曲家についてのお話をきいてからその曲を聴くと、イメージがしやすかったです。自分の好きなことを職業にしていけるのがすごいと思いました。(中3)

○ 音楽が好きだという信念を持ち続ければ、音楽に関わった夢が開けるという話に感動しました。(中3)

○ 『きらきら星』のピアノで指がすごく早く動いていて、音もとてもきれいで感動しました。また、『革命』は迫力があって、とてもすごかったです。『喜びの島』はのだめカンタービレで聴いたことがあったので、生で聴けて嬉しかった。(中3)

○ 三輪先生のお話を聞いて、改めて自分は音楽が好きなのかを考えてみました。学校を卒業すると音楽に接する機会が少なくなってしまうかもしれませんが、好きなことをやる時間だったら自ら作り出せるはずという言葉を忘れず、続けていきたいと思います(高1)。

○ 続けることの大切さ、自分は何をやりたいのか決めることの大切さを改めて感じ、これからの勉強や部活に活用したいと思いました。(高1)

○ 音の一つ一つの粒がきらきら輝いているみたいに聴こえた。左利きということで左手の引く音がとてもメロディアスで、低音も美しくそして力強かった。(高2)

○ ウィーンの留学での話が興味深かった。下手でも好きならいいという言葉に感動し、励まされた。また、人との出会いを大事にしたいなと思いました。(高2)

○ 外国に行って、その場の空気を吸って、雰囲気を感じて自分の将来を決定したという話を聞いて、私もいろいろな国で、日本にはないものを感じてみたいと思った。(高2)

○ 「のだめ」の逸話を交えながら、先生の育ってきた環境、出会い、現在にいたるまでのお話を大変興味深く拝聴いたしました。ピアニストの生演奏は音色の響きが素晴らしく、格別なものでした。”人生で大切な三本柱”家族・職業・友人とてもためになりました。(中1保護者)

○ いろいろな世界に触れる機会は、本当に大切だと感じました。つい、目の前の、自分の近くのことにしか気持ちが向きませんが、生徒さんにはたくさんの経験をして育って欲しいと思いました。(中2保護者)


平田 信正先生:前東芝中国総代表・BBT大学院教授・東京経済大学客員教授

『フラット化する世界~インド・中国の台頭~』

先生のお話の主な内容

今、日本が置かれている状況を中国・米国・インドとの比較からお話されました。経済の成長率を通して、1960年代から日本が引っ張ってきた発展の歴史は、今まさに中国に移りました。 インターナショナリゼーション(国際化)、グローバリゼーション(グローバル化)の違い、フラット化とは何か?またサブタイトルの”台頭”の言葉の意味までも、1言ずつ生徒に質問を投げかけ、丁寧にお話されていました。先生から聴講者へ質問をすることによって緊張感も生まれ、また、それと同時に、教室に一体感がもたされ、生徒も話に集中するというすばらしい講義でした。

なかには10年後、20年後には、米国のGDPを中国が抜いて世界1位になるであろうというお話や、オフレコでのお話なども聞けて大変興味深いものでした。

最後に先生が、「私は実際にこれらの国(現場)にいて経験してきたことを話している」とおっしゃっていました。大変、説得力のある言葉であると同時に生徒にとって大変貴重な経験となる講義でした。

生徒や保護者の主な質問と感想

○日本やアメリカは、もう1度経済を見直してこれからのグローバルな世界へついていけるような国になるのが大切だと思った。(中1)

○とても話し方がうまく、すいこまれるように聞き入っていた。池上さんよりおもしろかった。(中1)

○講座を聞いて、今後の日本に改めて危機を感じ、中国やインドなどの数年後に台頭する国のことをもっと知ろうと思いました。(中1)

○これからを生きていくために、中国語とインド語(ヒンドゥー)を頑張ってみたいと思う。(中1)

○近年、急激に経済成長している国も格差が激しく、先進国の貧しい人々にも目を向けなければいけないと思った。(中1)

○中国が台頭してきたのは、「追いつけ追い越せ」の精神で努力してきたと分かったので、日本も批判するだけでなく、努力するべきだと思った。自分自身も今のうちから世界に目を向け、色々なことに興味を持とうと思わされた。(中2)