羽生 善治先生:将棋名人 ・ 王座 ・ 棋聖 ・ 王将

『現代に生きるとは?』

羽生先生の略歴紹介

1970年埼玉県生まれた。小学校1年で将棋を覚え、2年生の頃から八王子の将棋道場へ通う。小学生将棋名人戦での優勝後、奨励会に入る。1年余りで6級から初段に昇級するなど驚異的な速度で昇級と昇段を重ね、1985年に史上3人目の中学生棋士(きし)となる。1988年最優秀棋士賞を史上最年少(18歳)で受賞。1997年将棋の合計7タイトル戦の7冠独占の偉業を成し遂げる。現在はそのうち6つの永世称号(永世名人・永世王位・名誉王座・永世棋王・永世棋聖・永世王将)の資格を保持する、将棋界の第一人者。

主な講義内容の紹介

和服ではなく、ダークスーツ姿で颯爽(そうさう)と登場され、さっそくお話にいられました。

まずは、将棋(しょうぎ)の起源は古代インドのチャトランガというゲームに始まると、いうことから語り起こされ、将棋を指すときに大切なのは直観と読み(シミュレーション)で、これには10の220乗(じょう)の可能性があるが、大局(たいきょく)で行方(ゆくえ)を見ることが大切です。盤面(ばんめん)のまとまりとして将棋を覚えるというご自身の手法を紹介されたあと、人間は一日に2~3時間しか深く集中できないのだから、バイオリズムやツキにこだわらず、自分の地力(じりき)をあげて余計(よけい)なことに左右されないようにしよう。不調も3年続けば実力であり、成果をみるにはタイムラグが必要です。その時は、気分を切り換えて取り組もう。プレッシャーを感じるのは、いいところまで来ているサインです。追い込まれた状況(じょうきょう)で集中できるという動じない心(メンタルな強さ)を育(はぐく)むということが大切です。

さらに、情報を取捨(しゅしゃ)選択(せんたく)することの大切さについて、お話しされました。まず、20年前の定石(じょうせき)は、今は使えないとのことでした。知識は経験の蓄積(ちくせき)で身につくのだから、一所懸命に何かをやった経験は何かに役立つし、財産となる。情報の多さに迷ってしまう時代だからこそ、後悔(こうかい)することのない選択(せんたく)をしよう。ミスなく満点でやれることは一年に一回あるか、ないかです。ミスにミスを重ねないのが大切です。自分や自分に期待(きたい)してくれる人を裏切(うらぎ)らずチャレンジしていこう。

と、60分間、何もご覧(らん)にならず、よどみなく語られ、満場の聴衆を魅了(みりょう)して下さいました。

生徒や保護者の主な質問・感想

○能(のう)・茶道・言葉など、日本人には小さくコンパクトにまとめてしまう性質があるという話はとてもためになりました。まさしく「よく見れば精神」ですね。 (中1)

○「やる気がなければ才能は発揮(はっき)できない」という言葉、その通りです。先生の生き方はまねできないけど尊敬してしまいます。 (中1)

○悩んだり困ったりしたときは、視点を変えて考えてみることも大事だと思った。また、暗記科目などで先生の記憶のコツを利用してみます。 (中2)

○あの羽生さんを生(なま)で見られるということで受講しましたが、テレビで見る無口な、真剣に盤に向かう羽生名人とは違う、普通の、気のいい男の人としてお話を聞けました。  (中3)

○将棋についてのことを、普段の自分の生活や勉強に関しても生かしていけることはとても驚きでした。早速期末考査に活かしたい。 (高1)

○一瞬でさまざまな場合を想定できる羽生先生なので、質問者への回答もたいへん明快だった。この人は頭が良いなと思いました。 (高2)

○将棋の対局においての状況は、わたしたちの日常生活において必要な能力が使われているのだと思いました。それは集中力、やる気、プレッシャーなどです。若くして名人と呼ばれるようになった羽生さんのお話はとても説得力があり、穏(おだ)やかな声で話されていましたが、対局のときは集中力などを駆使(くし)していらっしゃるのでしょうね。(高3)

○羽生名人の驕(おご)らない人柄が今の地位を保ち続けることができるのだろうなと感じました。とても勉強になるお話をたくさん伺(うかが)えて、自分を向上させるヒントになりました。(高1保護者)

○一流の世界の方の言葉には、ひとつひとつ人間的でありながら緻密(ちみつ)な思考を感じました。結果がすべてではなくて、そのプロセスが大事だというお話が印象的でした。(高2保護者)