奥島 孝康先生:日本高等学校野球連盟会長・前早稲田大学総長

『君たちは高校時代をいかに楽しく過ごすか』

奥島先生の主な経歴の紹介

1939年4月生まれ。愛媛県立宇和島東高等学校、早稲田大学第一法学部卒業。

1976年 早稲田大学法学部教授(法学博士)。

図書館長、法学部長、早稲田大学第14代総長(理事長・学長)、日本私立大学連盟会長を歴任。

現在、全国大学体育連合会会長、自然体験活動推進協議会会長、日本高等学校野球連盟会長、ボーイスカウト日本連盟理事長、日本相撲協会運営審議会委員、富士山クラブ理事長等。

主な講義内容の紹介

貫禄ある風貌。はっきりとした語り口で、「本来なら2~3時間話したいが、今日は時間が限られているので。」と、エネルギッシュで前向きなお話をしてくださいました。

まず、宮沢賢治の『わたしが教師になったとき』という詩が紹介され、この詩がいつも頭のなかにあって、自分を見つめ、教師は生徒に何を望むか、生徒は教師に何を望むかということの指針にしている、とのことでした。この詩で賢治が望んだことが、そのまま自分の望みである。また、学校の授業とは、人間の在り方をシステマチックに短時間で伝えようとする非常に大切なものであり、よい本との出会いによって、他人の人生を追体験し、人生に幅を持たせることができる。自分が愛読した二人の作家、吉川英治は最下層の出身から身を起こしたので、人生はなるようにしかならないし、一度それると簡単に戻るというわけにはいかないと思っていた。もうひとりの夏目漱石は、いわゆるエリートコースを歩んだ人で、ちょっと人生を斜に構えた見方をした近代人であった。今の人たちは食べていくことに困らないから人生についてあまり考えることがないが、生きるとはどういうことか?楽しくなければ人生ではないし、ペーソス(涙と笑い)があってこそ起伏ある人生が送れる。学校で叡智という力を付けてチャンスを待つことだ。人生それぞれの段階で喜びと苦労がある。ホモ・サピエンス(智の人)からホモ・ルーデンス(遊の人)の時代になった今こそ基礎をしっかりと作っておく必要がある。

「文武両道」というように、大局からものを観る力(大局観)や忍耐力を身につけること。ひとつのことに集中して勉強することも大事だが、より幅広い勉強をするためにも、ひとつひとつの授業に集中して、無駄と思えることでも実は重要であることを知るべきだ。

「友を得る者は覇者であり、師を得る者は王者である」という。競争の時代から共創の時代となった現代にあっては、外国人の真似をするよりも、伝統や文化などの日本のよさをきちんと理解したりっぱな日本人になることが、世界市民となる道である。

「平和を欲するのであれば戦時に備えよ。そして戦時は省察(反省分析し考える)のときである」(ローマ人の言葉)

生徒や保護者の主な質問・感想

○ これから私は、努力・チャレンジをたくさんして、さまざまな体験をして、楽しく人生を生きたい。それを実現させるのは「その人生を探すためのヒント→他人の人生を学び、知ること」であるから、たくさんの本を読んだり、多くの人の話を聞いていきたい。人生を探すという希望が生まれた。(中1)

○ あまり勉強が好きではなかったけれど、「どうせやるなら一生懸命やったほうがいい」というお話を聞いて少しやる気がでました。今日教えてもらったことを少しでも将来の生活に活かしていけたらと思います。(中2)

○ 自分の人生のあり方について改めて考えさせられるような講座でした。私は普段、授業によってはあまり集中せずに聞いていたりします。「授業を集中して受けないことほど、高校生活を破壊するものはない」という言葉を聞いて、今までの自分を振り返ることができました。かつて「勉強はその後の人生を楽しむためにある」と恩師に言われたことが思い出されました。人生と勉強とについて再考してみようと思います。(高1)

○ 自分はどのような人生を歩むのか?どのように生きたらよいのか?ということは、普段から悩みの種でした。これからは、もっと本を読んで忘れられない本と出合う努力をして参考にします。また「人の真似ではなく、自分独自のものを生み出す」ことで世界に通用する立派な日本人になれるということですが、私はまだ、自分らしさが何なのかもよくわかっていないので、とにかく今はその時その時を大事にしていきます。(高1)

○ 高校生活をいかに楽しむか。仲間。夢を持つこと。チャレンジすること。人生を楽しむこと。一番大事なことは一番近くにあるものだということが伝わってきました。本を読んで、日々、人生を楽しく、充実した高校生活を過ごしていきたいと実感しました。(高2)

○ 「人生は一度きり」ということを再認識させられ、また、その人生を楽しくさせるためには本を読むのがよい。というのは、自分にはなかった考えでした。高校生活も残り半年ですが、それを長いと思うか短いと思うかは自分次第だし、勉強は勿論、他のものも幅広く楽しみたいと思いました。受験が終わったら、久しぶりにたくさん本を読みたいです。(高3)

○ 良き友を得、すばらしい先生方に師事することで、学生生活を有意義に過ごすことの大切さを改めて認識しました。自分のはるか昔の学生時代を思い出すとともに、反省となつかしさとを感じました。(保護者)

○ 改めて読書の大切さ、必要性を感じました。親として子どもをサポートしていく上でも、自分の体験以外の人生を学ぶことが必要になると思います。世間に出る前段階では、自分が頑張った分だけ成果が出るということを楽しみ、努力することに快感を感じること、そしてとにかく一所懸命にやることが大事だと思います。(保護者)