2026.2.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

1月は始業式から始まり、高校入試は17日、中学入試は20日(幕張メッセ)に行われました。受験生が十分に実力を発揮できるよう、毎年のことですが万全の準備を整え臨みました。中学2回目入試は、2月4日に行われます。高3生は、17日・18日の大学入学共通テストを終え、個別大学の二次試験に向けて力を注いでいます。
最近は私立大学の一部では、学校推薦型選抜や総合型選抜で早期に合格者を確定する傾向が見られますが、国公立大学では一般選抜(入試)が中心です。当学園でも一般選抜にチャレンジする生徒が多数おり、これからがまさに正念場です。
そのような中、大変うれしい知らせがありました。高3生N君が、受験勉強と並行して日本政策金融公庫の第13回「高校生ビジネスプラン・グランプリ」(応募数639校5640件で過去最多数)にチャレンジし、共通テスト直前の11日東大伊藤謝恩記念ホールで行われた最終審査会(10のファイナリスト)において、「探究心に、翼を!研究マッチング【Re:Search】」(大学の研究室と高校生のマッチングサービス)というプラン名で堂々と発表し、見事に準グランプリ(2位)を受賞したことです。彼は多様なチャレンジを行い、自分の可能性を追求しようという素晴らしい人材です。自分が本当にやりたいことを、あきらめずに多様なチャレンジをすることの重要性を改めて感じさせてくれました。
さて、1月には各業種で活躍する卒業生が集まって学ぶ会が行われました。(古賀塾と称しています)。既に10年以上23回行われ、卒業生であれば誰でも参加できます。冒頭に私が話をし、その後講演者(会のメンバーまたは外部講師)による講演と活発な質疑応答を通して互いに学び合います。
テーマの一例は、「人生は運・鈍・根」、「企業法務の仕事」、「日系企業の海外シフトと物流企業の対応」、「商社の多様な仕事」、「俳句の楽しみ」、「働き方改革」、「漫画市場の変遷と今後の展望」、「民間企業から千葉市動物公園の園長へ」、「生成AIを使いこなそう」、「社会実装が本格化するロボットとAI」、「東洋医学と西洋医学について」、「税理士と税について」などきわめて多様です。その後の懇談会も、楽しい交流のひと時です。
また、「生き方読書会」という保護者、教職員、卒業生、地域の方々が集まり指定読書(関係者で選ぶ)の感想を述べ合う会があります(幹事・まとめ役:学園評議員・カウンセラー)。この会は、30年近く続いており、かつては月に1回程度、年間12冊を学園に集まって学び合ってきました。コロナ禍以降は、幹事が各自の感想文をネットで集め、まとめてネット配信する形で続けられてきました。今は年6冊ほどを読んでいます。最近1年間に取り上げた書籍の例としては、「人類はどこで間違えたのか(中村桂子;中公新書ラクレ)」、「生きて死ぬ智慧(柳澤桂子;小学館)」、「みんなで読む源氏物語(渡辺祐真;ハヤカワ新書)」、「ホーキング、宇宙を語る(スティーブン・W・ホーキング;早川書房)」、「100分de名著:アリストテレス ニコマコス倫理学(山本芳久;NHK出版)」、「民話集:人はなんで生きるか(トルストイ;岩波文庫)」などがあります。
市川市をはじめとする各地域社会には、研究会・勉強会・読書会など学び合う場は多く且つ盛んです。社会人教育の一環として行われているこれらの活動は、まさに「第三教育」です。人生100年時代において、このような会のメンバーになったり、講師になったりすることは極めて重要だと思います。
「少にして学べば、即ち壮にして為すこと有り。 壮にして学べば、即ち老いて衰えず。 老いて学べば、即ち死して朽ちず」
(佐藤一斎『言志晩録』60条;講談社学術文庫 川上正光訳)
2026.1.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一
新年おめでとうございます。
今年こそ、世界が平和・平穏な年となり、日本が他国とともに自由・平等・民主主義を守れる連携が深まり、多くの国との交流がさらに進むことを心より祈念します。

昨年も生徒たちの活動が非常に活発な年でした。その一部を紹介します。
・トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム 12名合格(全国2位)
・かるた同好会2年連続全国大会出場
・高校ハンドボール部インターハイ出場
・陸上競技部高2生がインターハイ2冠(200m、400m)、国民スポーツ大会で優勝(少年女子A 300m)
・中学男子硬式テニス部が団体・ダブルス個人で関東大会出場
・高2生が国際生物学オリンピックの日本代表候補者(12名)に選抜
・科学の甲子園ジュニア 全国大会において総合優勝
・高3生が日本政策金融公庫主催ビジネスグランプリの最終選考の10組(ファイナリスト)に選抜

また学園での多くの新しい取り組みが行われましたが、下記は一例です。
・国際研修プログラムに新しく東南アジア(タイ・マレーシア)研修加わる
・中3・高1イートンカレッジ研修の復活、SSHドイツ交流プログラムの復活
・シェアサイクル ステーション北門前駐輪場に30台設置
・全HR教室および北館第5~第7多目的室にAppleTVを常設
・教職員室カーペット更新、教室の照明 LED化完了、全教職員PCの更新
今年は、2027年の創立90周年に向けての準備の年になります。既に同窓会、後援会、学校法人による運営委員会が発足し、学内のプロジェクトチームも開始し、募金活動もスタートしました。
90周年記念事業の概要は、下記の通りです。
*教育施設整備事業
第三教育センター(図書館)を拠点に拡充し、自学自習、探求学習、協同学習など、多様な学びに向けた機能空間(個人ブース、対話スペース、自習室空間など)を校舎全体に展開する。
併せて、学園の足跡を顕彰し継承するため市川学園歴史センター、古賀教育センター等を統合整備・改修し学園ミュージアムをつくる。
第三教育を基点(Base)とする教育(Education)と学び(Learning)を通じて、鐘の音のように美しく輝く未来を担うリーダーの資質(Leadership)を育みたいというコンセプトに基づき、プロジェクト名を「IG-90 BELL Project」とした。
*研究・出版事業
90周年の歴史と伝統に裏付けされた学園教育に立脚した研究成果を、様々な視点から発信し将来の財産として活用し、学園ビジョンの実現を目指す。
90周年記念誌、理事長著作、教職員研究紀要、生徒論文集 SSH研究成果集、進学資料など
*記念行事
国・県・私学関係者、学園の支援者・関係者への感謝を込めた行事、生徒のための行事などの様々な記念イベントを実施する。
記念式典、祝賀行事、記念講演会、記念芸術鑑賞会(海外団体招聘)など
*募金
多くの個人、法人にお願いできるよう、一口5,000円とし、一定額以上の寄付者に対しては、國枝記念国際ホールの各座席にご芳名の銘板を貼付け、メモリアル・サポータズ・シートとして長く保存させていただく。

さて1月~2月は試験の季節、高3生は大学入学共通テストや個別大学入試に向かい、一方学園の高校・中学の入試が始まります。
一人一人がベストな状態で受験できるよう最善の準備をしています。
大学入試も高校・中学入試も人生のすべての試験(社会人になれば日々が試験かもしれません)も、合否、成功・失敗は僅差であることです。特に入学試験では、たった数点の差で合否が決まる場合が多々あります。だからこそ、最後まで「あきらめない」ことが重要です。また僅差の勝負では、体調が重要で、健康管理、食事をしっかりとることを重視してください。
一方人生は長く、1回や2回の失敗や思うように行かなくても、自分の目標、自分の好きなことは「あきらめない」でほしい。目標への道は多様、遠回りもOKです。この点でもNever Give upです。
日本経済新聞文化面「私の履歴書」には、各界のトップや有名人の人生が語られています。いわば成功者である方々ですが、順風満帆ではなく、挫折やどん底から這い上がった個人の歴史が、ご本人の言葉で書かれています。成功したのは、最後まであきらめなかったからであることを強く語っています。
受験生の皆さん、Never Give Up、最後まで「あきらめない」でください。多くの人が皆さんを応援しています。
2025.12.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一
11月は、高校2年沖縄修学旅行、中学2年京都研修旅行、中1・中3の体育大会、3者面談などが行われました。また恒例の同窓会主催のホームカミングデイ(HCD)が9日(日)に行われ、約500名が参加しました。今年は卒業年次末尾が7(高校27回、37回・・・77回)の学年が当番幹事となり企画されました。年次ごとの教室での交流、恩師との歓談、写真撮影の後、國枝記念国際ホールでの全体行事では、学園近況紹介、学園OB医師3名によるパネル討議「人生100年時代をどう健康に生きるか」、吹奏楽部の紹介と演奏、校歌斉唱など有意義な「一期一会」の半日を過ごしました。
さて今年は昭和100年、大正の終わりから昭和の初めに創立された私学が多く、各校で100周年の式典・祝賀行事が行われました。男女席を同じくせず、公立優先で、私学への公的支援がなかった時代の創立の苦労は、並大抵ではなかったと思います。各々異なる建学の理念を持って学校を設立した創立者の情熱は激しいものです。女子教育の専門機関、実業学校(工業・商業)、高等女学校、旧制中学校などとして、地域の実務人材育成や女子教育、男子中等教育のニーズに応えました。また制度改革によって私学が設立しやすい環境が整い、都市部の人口増、産業の発展、教育の必要性の高まりなどの追い風もありました。
設立の経緯は異なるもチャレンジ精神は共通で、創立者はみな今でいう起業家であったと思います。創立に共鳴する多くの支援者の存在も重要でした。終戦後、異なる設立経緯をもつ学校が、新制の中学校・高等学校に昇格し、各々特色ある私学を実現してきました。
市川学園は、2027年に創立90周年を迎え、2037年に100周年を迎えます。創立時は、市川周辺から通える旧制中学校は、私立関東中(現在の敬愛学園)、私立成田中(現在の成田中学・高等学校)、県立千葉中、県立佐倉中、東京では私立開成中、府立三中(現両国高校)など、非常に限られており、ニーズは高かったと思います。
建学の精神を同じくする兄弟校である船橋学園東葉高等学校が、今年100周年を迎えました。心からお祝い申し上げます。同学園は、1925年賀川宣勝先生により船橋実科高等女学校として開校され、1943年古賀米吉先生らによる財団法人船橋女学校として引き継がれ、終戦後新制の女子中学校・高等学校として成長してきました。1996年宮本町から飯山満の新校舎へ移転し、2005年に共学され現在に至っています。
創立者賀川宣勝先生の女子教育への熱意、太平洋戦争の真只中に学校を引き継いだ古賀米吉先生の決意とともに、歴代の理事長、校長、役員、教職員、同窓会、後援会の皆様の尽力に、心から敬意と感謝の念を深くします。男女が同権でなく、私学への助成がない創立時代の女子教育の苦労は、並大抵ではなかったと思います。終戦後、新制の中学校・高等学校として再スタートし、女子は船橋学園、男子は市川学園として、共通の建学の精神(人間尊重、個性尊重、第三教育)のもと、自主的教育が実践されてきました。
私は1983年、父古賀米吉逝去後、理事長を拝命しました。当時は企業経営と市川学園経営の兼任で、理事や校長以下にお任せすることが多く、古賀加奈子理事長代行(校歌作詞者、元カウンセラー)が日常業務にあたっていました。以下の大事な意思決定に関与し、実行できたことは多くの方のご支援の賜物です。
①宮本校舎・土地の売却と飯山満グラウンドに新校舎建設を同時進行したこと
②建設会社との連携と教職員の要望での質の高い校舎仕様を実現できたこと
③故林静誠氏他の尽力で地元の長屋門を移設し東葉門として学園のシンボルとしたこと
④女子校として経営難の中、共学を決断し、讃岐谷理事長以下に引き継ぐことができたこと
現在の東葉高校の発展は、素晴らしく、理事長・校長以下教職員の尽力と多くの方の支援によるものです。これからは少子化が更に進み、学校間競争が激化する中、自ら学び自立した特色ある次世代を担う人材、即ち第三教育の達人を育成しなければなりません。AIが急速に発展する中、AIを活用しつつ協調し、人間性のある、やさしさとたくましさをもった人間の育成を願っています。
「創業は易く、守成は難し」、次の100年に向け更なる発展を祈念します。

2025.11.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一
10月は、高校球技大会、中間考査、高校説明会、中学校説明会さらに後援会主催の保護者交流会と続きました。
さて学園は2027年4月15日には創立満90年を迎え、27年度1年間が90周年事業の年となります。1937年(昭和12年)4月15日旧制市川中学校(男子5年制)として、わずか32名の生徒と7名の教職員でスタートしました。その後各周年時は、節目としていくつかの事業を行い、発展を期してきました。
・50周年(1987年):旧校舎の土地に50周年記念館を建設、記念誌「50年の歩み」を発行
・70周年(2007年):新校舎建設後として70周年モニュメント建設、記念誌「70年の歩み」を発行
・80周年(2017年):総合グラウンド建設・能動的学習(アクティブ・ラーニング;AL)のためのALICE教室を設置、記念誌「80年の歩み」を発行
周年記念事業は、学校法人・同窓会・後援会三者一体で行います。すでに記念事業推進委員会も発足しました。今回の事業の中核は、自ら学び考え、生涯学び続ける「第三教育」の場を、知の拠点として大きく進化させることにあります。生徒一人ひとりが個性を生かし、「第三教育」の達人を目指すため、自由で楽しい自らの学びの場を全校舎に広げたいと考えています。
人工知能AIの発達は急速で、各分野での新発見にも活用され、多方面の利活用が進んでいます。AI分野のベンチャー企業も大学発を含めて増大しています。また今年のノーベル生理学・医学賞、化学賞の受賞は素晴らしく、科学技術を志す若者に勇気と希望を与えました。
一方、対話型生成AIの利用は、各種の問い合わせ、検索・相談や資料作成などをはじめとして日常化し拡大しています。ChatGPTの世界の利用者は7億人を超えると言われ、この分野の競争も激化しています。だからこそ、人間でなければできないことに対して磨きをかける必要があります。生成AIが出してくる回答に対しても、自分なりの評価・点検を行うことが重要だと思います。
試みにChatGPTに、「人間と人工知能AIの本質的な違いは何か?人間にしかできない重要なことを、優先順位をつけて5項目あげてください。やさしい言葉で頼みます。」と質問してみました。
回答は次のように出てきました。
『人間とAIの大きな違い:
AIはデータを処理したり、パターンを見つけたりすることはとても得意です。でも「感じること」「責任を持つこと」「人とのつながりを育てること」などは、人間にしかできません。そこで、人間にしかできない大切なことを、優先順位をつけて5つにまとめてみます。
1位:自分で感じること(喜びや悲しみを持つこと)
人間は「うれしい」「悲しい」「懐かしい」といった気持ちを実際に体験します。AIは言葉で説明はできますが、本当に感じることはできません。
2位:よいこと・悪いことを判断し責任を持つこと
人間は「これはやっていいことかどうか」を考え決め、その結果に責任を持ちます。AIは提案はできても、責任をとることはできません。
3位:人に寄り添い、心を通わせること
友達を励ましたり、家族を思いやったりと、人の気持ちに心から寄り添えるのは人間ならではです。
AIは「共感する言葉」は言えますが、本当の信頼関係を築くのは人と人との間でしかできません。
4位:新しい価値を生み出すこと
人間の創造は、経験や願い、文化を背景にしています。AIは「材料」を組み合わせることはできますが、
「なぜ作りたいのか」「それで世の中をどう変えたいのか」という思いから新しいものを作り出すのは人間の力です。
5位:未来を思い、次の世代に責任をつなぐこと
人間は過去をふり返り、未来を想像し、「子どもや孫のために今どうすべきか」を考えられます。
AIは今あるデータを使うことは得意ですが、世代を超えた思いやりを持つのは人間だけです。
こう整理すると、「AIは頼れる道具」「人間は意味や責任を担う存在」と分けて考えると理解しやすいかもしれません。』
汝自らを知れ(古代ギリシャの格言)という言葉がありますが、今までAIと人間の違いで説明されてきたことを、かなりよく整理した答えだと思います。質問に対してそれを分析し意図を解釈し、膨大なデータを検索し適切な答えを生成し、自然な文章で回答する生成AIの仕組みから出てくる答えです。優等生的ではあるものの、より新しい解釈や個性的回答はでず、物足りなさも感じます。また生成AIは生きものではないことを前提に考える必要があります。AIに過度に感情移入したり依存したりすることは危険で、親兄弟や親友、先生など、生身の人間との相談を大切にするべきだと思います。またそのような相談しやすい環境を作ることも重要です。
未来に向け、対面での対話や実体験が極めて重要と思うこの頃です。