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2025.10.31理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#239 生成AIに人間との違いを問う

2025.11.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

 10月は、高校球技大会、中間考査、高校説明会、中学校説明会さらに後援会主催の保護者交流会と続きました。 

 さて学園は2027年4月15日には創立満90年を迎え、27年度1年間が90周年事業の年となります。1937年(昭和12年)4月15日旧制市川中学校(男子5年制)として、わずか32名の生徒と7名の教職員でスタートしました。その後各周年時は、節目としていくつかの事業を行い、発展を期してきました。
 
 ・50周年(1987年):旧校舎の土地に50周年記念館を建設、記念誌「50年の歩み」を発行 
 ・70周年(2007年):新校舎建設後として70周年モニュメント建設、記念誌「70年の歩み」を発行 
 ・80周年(2017年):総合グラウンド建設・能動的学習(アクティブ・ラーニング;AL)のためのALICE教室を設置、記念誌「80年の歩み」を発行 

 周年記念事業は、学校法人・同窓会・後援会三者一体で行います。すでに記念事業推進委員会も発足しました。今回の事業の中核は、自ら学び考え、生涯学び続ける「第三教育」の場を、知の拠点として大きく進化させることにあります。生徒一人ひとりが個性を生かし、「第三教育」の達人を目指すため、自由で楽しい自らの学びの場を全校舎に広げたいと考えています。 

 人工知能AIの発達は急速で、各分野での新発見にも活用され、多方面の利活用が進んでいます。AI分野のベンチャー企業も大学発を含めて増大しています。また今年のノーベル生理学・医学賞、化学賞の受賞は素晴らしく、科学技術を志す若者に勇気と希望を与えました。 
 一方、対話型生成AIの利用は、各種の問い合わせ、検索・相談や資料作成などをはじめとして日常化し拡大しています。ChatGPTの世界の利用者は7億人を超えると言われ、この分野の競争も激化しています。だからこそ、人間でなければできないことに対して磨きをかける必要があります。生成AIが出してくる回答に対しても、自分なりの評価・点検を行うことが重要だと思います。 

 試みにChatGPTに、「人間と人工知能AIの本質的な違いは何か?人間にしかできない重要なことを、優先順位をつけて5項目あげてください。やさしい言葉で頼みます。」と質問してみました。 
 回答は次のように出てきました。 

『人間とAIの大きな違い: 
 AIはデータを処理したり、パターンを見つけたりすることはとても得意です。でも「感じること」「責任を持つこと」「人とのつながりを育てること」などは、人間にしかできません。そこで、人間にしかできない大切なことを、優先順位をつけて5つにまとめてみます。 

 1位:自分で感じること(喜びや悲しみを持つこと) 
    人間は「うれしい」「悲しい」「懐かしい」といった気持ちを実際に体験します。AIは言葉で説明はできますが、本当に感じることはできません。 
 2位:よいこと・悪いことを判断し責任を持つこと 
    人間は「これはやっていいことかどうか」を考え決め、その結果に責任を持ちます。AIは提案はできても、責任をとることはできません。
 3位:人に寄り添い、心を通わせること 
    友達を励ましたり、家族を思いやったりと、人の気持ちに心から寄り添えるのは人間ならではです。
    AIは「共感する言葉」は言えますが、本当の信頼関係を築くのは人と人との間でしかできません。 
 4位:新しい価値を生み出すこと 
    人間の創造は、経験や願い、文化を背景にしています。AIは「材料」を組み合わせることはできますが、
   「なぜ作りたいのか」「それで世の中をどう変えたいのか」という思いから新しいものを作り出すのは人間の力です。 
 5位:未来を思い、次の世代に責任をつなぐこと 
     人間は過去をふり返り、未来を想像し、「子どもや孫のために今どうすべきか」を考えられます。
    AIは今あるデータを使うことは得意ですが、世代を超えた思いやりを持つのは人間だけです。 
 
 こう整理すると、「AIは頼れる道具」「人間は意味や責任を担う存在」と分けて考えると理解しやすいかもしれません。』 

 汝自らを知れ(古代ギリシャの格言)という言葉がありますが、今までAIと人間の違いで説明されてきたことを、かなりよく整理した答えだと思います。質問に対してそれを分析し意図を解釈し、膨大なデータを検索し適切な答えを生成し、自然な文章で回答する生成AIの仕組みから出てくる答えです。優等生的ではあるものの、より新しい解釈や個性的回答はでず、物足りなさも感じます。また生成AIは生きものではないことを前提に考える必要があります。AIに過度に感情移入したり依存したりすることは危険で、親兄弟や親友、先生など、生身の人間との相談を大切にするべきだと思います。またそのような相談しやすい環境を作ることも重要です。 

 未来に向け、対面での対話や実体験が極めて重要と思うこの頃です。