2026.05.31理事長メッセージ
理事長からのなずなメッセージ#246 同じ釜の飯を食う・・宿泊体験の重要性
2026.6.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一
4月末より生徒の夏服登校が可能となり、5月末には教室で冷房運転が開始されるなど、季節は初夏へと移って参りました。4月の高2・高3の授業参観・保護者会に続き、5月2日には高1の授業参観・保護者会および中1の保護者会、9日には中2・中3の授業参観・保護者会が行われました。また、12日には、中2・中3合同の体育大会と中1の鴨川遠足が実施され、学年・クラスの共同体意識が高まりました。
中間考査も終了し、いよいよ中1生も部活動に参加します。
また、年8回16講座の土曜講座が16日からスタートしました。第1回は元ポルトガル国特命全権大使・太田誠氏の「ポルトガル・・・初めて出会ったヨーロッパ」、元沖縄大学学長・盛口満氏の「身近な自然を見る眼鏡」をテーマとした講座が行われ、2会場ともに中1生から高3生までが積極的に参加し、活発な質疑応答が行われました。
また、文科省「トビタテ!留学JAPAN」において、学園の合格者は、過去最多の18名(高1:11名、高2:7名)で、全国トップクラスとなりました。
さらに、ケニアで行われる高校生ディベート世界大会2026(WSDC:The World Schools Debating Championships)の日本代表チームに本校英語部員の高2女子生徒が選出されました。大会は7月14日から24日まで開催予定であり、チームではクラウドファンディングで資金調達にも取り組んでいます。
さて、本校は創立者である古賀米吉が英国留学中に、全寮制でリーダーを育成するイートン校をはじめとする私立男子校(パブリックスクール)の教育に感銘し、新しい学校の創設を志したことを原点としています。同校の自由と規律、自ら学ぶ自主性(図書館の重要性)、そして寮生活を通じて友人同士が鍛え合うことに多くを学びました。この体験が建学の精神にも反映され、戦時下においてもかなりリベラルな学校でした。
終戦後、新制中学・高校になり、直ちに寮をつくることはできませんでしたので、まず図書館を充実させました。1965年に念願の敬和寮を建設し、クラス入寮・クラブ入寮・止宿入寮を開始しました。さらに、1971年に、山の施設として軽井沢学舎を建設し、海の施設として一宮町営国民宿舎を取得し改修し、一宮学舎としました。その後、敬和寮は改修、一宮学舎、軽井沢学舎はともに場所を移動し、一宮学舎は新築し、軽井沢学舎は銀行の寮を買収し改修し、クラス入寮、春期学校、夏期学校、クラブ活動、教員研修会等多角的に使用されてきました。当時は、自前の寄宿寮や海・山に校外施設を持つことが、私学のステータスでもありました。しかし、2000年代になると、管理人が駐在し自前で施設を維持することよりも、外部の研修施設やホテル・民宿を必要な時に使用する方が合理的と考え、一宮、軽井沢ともに売却しました。敬和寮も、高1生のクラス単位の入寮、部活での活用を中心に利用されてきましたが、用途が限られ、昨年売却を決定し、現在は住宅地として活用されます。思い出の詰まった寮であり残念ですが、これも時代の流れと言えるでしょう。
しかしながら、建学の精神にある「共同生活」の重要性は変わることなく、学校行事などで一緒に泊まり食事を共にする機会は、むしろ増えています。AIやSNSの時代であるからこそ、寝食を伴う共同生活は、貴重な体験です。
「同じ釜の飯を食う」という言葉があります。
「同じ団体や組織に所属する者同士が日々の食事を共にすることにより、組織としての一体感や帰属意識を保つこと、または共同生活をして苦楽を共にした親しい間柄という意味の語」とされています。寝食を共にして苦楽を分かち合うことで、親しく連帯感の強い仲間ができます。生活や厳しい環境を共にすることで、強い信頼関係が生まれます。「同じ釜」の由来は、昔、一つの釜で炊いた飯をみんなで食べたことから、共同生活や一体感を表現しています。
寮生活はなくとも、寝食を共にし、共に目標に向かうこと、LINEなどではなく対面で語り合うことは、特に若い時代にはかけがえのない体験です。
本校では今年も多様な宿泊行事が行われます。下記はその一例です。
・学年全体で行う宿泊行事・・・九十九里研修(高1・6月)、富士山研修(中1・7月)、京都研修(中2・10月)、沖縄修学旅行(高2・11月)、台湾修学旅行(中3・11月)
・希望者による宿泊研修・・・国際研修(英国ケンブリッジ大、英国イートン校、米国ボストン、タイ、マレーシア、ニュージーランド)、トビタテ!留学JAPANなどでの他国の生徒との合宿、SSHのタイ・ドイツ・三宅島・白神山地研修、高校各学年の勉強会合宿など多数
・国内外の外部の行事への生徒の自主参加・・・他校や海外の生徒との多様な宿泊活動
以上のような宿泊活動に積極的に参加し、多様な「同じ釜の飯を食う」経験をすることは、人間力向上につながり、かけがえのない財産になると思っています。
敬和寮の名称由来・・・互敬協和(ごけいきょうわ;互いに敬い合い、仲良く協力し合う)



