2023.7.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

 1学期も終わりに近づき、中学1年生、高入生も学校生活に慣れてきました。梅雨の時期の行事は天気がいつも心配ですが、中学体育大会を学年ごとに日を分けて開催致しました。3日間とも晴天の中実施することができ、観戦いただいた保護者の皆様にはお楽しみいただけたと思います。また今年の芸術鑑賞会は、高2は宝塚劇場で宙組公演「カジノ・ロワイヤル」、他の5学年は國枝記念国際ホールにて2日間3回公演でわらび座ミュージカル「いつだって青空」を鑑賞しました。

 今年は国際研修も夏休みを中心に徐々に拡大できるよう計画しています。夏の海外研修は、ボストン地区・ダートマス大学研修にシンガポール研修を新たに加え合わせて69名が参加、国内研修には学園・神田外語大共催のグローバル・イシュー探究講座、Global Studies Program(旧エンパワメントプログラム)、巣鴨学園、鴎友学園等と連携のDouble Helixプログラムなどで94名が活動します。
 また文科省トビタテ!留学JAPAN「新・日本代表プログラム」(第2ステージ:2023年度~27年度)は、若い時期の海外経験を将来の留学につなげるため高校段階からの留学支援を拡充するものです。目標は5年間で高校生4000名、大学生等1000名以上を支援するプログラムで、今年度は708名(443校)が採用されました。そのうち当学園は11名が採用され、全国トップでした。第1ステージ開始から今年度までの累計は44名で全国3位、関東(含む東京都)地区では1位でした。
 21年度卒業生で米国リベラルアーツカレッジの名門Swarthmore Collegeに進学した稲葉慎太郎君による保護者向け講演会を校内で開催し、約100名が参加されました。これらのことから生徒や保護者の間で海外留学への関心が拡大していることがわかります。現在、在校生の中で海外での生活経験者は約350名(全生徒数の15%)、そのうち帰国生入試で入学した生徒は約30%です。6月初旬に帰国生保護者会が開かれています。今後さらに海外で活躍する人が増えることを期待します。

 さて生徒を立派な紳士淑女に育成するには、社会での約束事、マナーやモラルが大切であり、人間教育の基本です。このため生徒指導部をはじめ担任や教職員が生徒の自主性を生かし、自分たちで考えるよう日々指導しています。人に迷惑をかけないこと、黄金律である「他人から自分にしてもらいたいと思うような行為を人に対してせよ」が基本です。「さすが市川学園生」と言われるよう実践することが重要です。
 このところ、生徒による他人への小さな善行、即ち困っている人の救助、弱者への心づかい、バス内で席を譲る思いやり、周辺をきれいにする掃除、学内外の明るい挨拶など数々報告されています。最近も高齢の夫人が路上にうずくまっているところを介抱し救急車を呼び助けた事例、バスで妊婦や弱者の方の援助や積極的に席を譲った事例で、感謝の電話が入っています。そのような生徒を積極的に発見し誉め、良い事例とし共有し、必要により校長表彰し校内で広めることを推進しています。
 善行即ち善いことをすると、おこなった本人の気持ちが良く、幸福感を感じます。互いの挨拶、世話になる警備員や清掃の方などへの生徒からの明るい挨拶は、相手も嬉しいし生徒本人も気持ちがよく、学園を明るくしています。まさに善行は快感であり、自利とは利他をいう、情けは人の為ならずの如く、他人への思いやりに基づく行動は、自然に自分にかえってきます。
 創立者古賀米吉は、公的(国県市)な叙勲や表彰でなく、地域の目立たぬ善行、小さな親切に光を当て、善行を推進すべく、社会教育活動の一環として1951年「市川善行会」を立ち上げ、地域や学校における個人・グループの善行を称え表彰してきました。所得倍増計画時代の1961年の市川市民新聞の年頭所感に「善の国日本」と題して概要次のような年頭の辞を述べています。
 『「所得倍増」のアドバルーンが空高くあがっている。富の国日本の建設に進んで行く。しかし富は間違いなく幸福を持ってきてくれるであろうか。富ばかりにたよって、人間は仕合わせになれるであろうか。そうではあるまい。富んで亡びた国があり、富んで不幸になった人がある。そこで私は、「善の日本」の建設を提唱したい。むかし富国強兵といった。今は富国善人といいたい。』(「私学教育に明け暮れる」P282)また逝去する3日前の絶筆は、善は快感とし、善行への思いを最後まで強くもっていたのです。
 「市川善行会」の活動は現在まで71年間継続され、毎年多くの善行の個人やグループを発掘・表彰してきました。コロナ前の19年度までに1428名、127団体の善行表彰が行われました。歴代会長は全て学園関係者で、現会長(6代目)井上喜久男氏は高校15回卒業生であり、事務局は市川市教育委員会です。永年の関係者皆様のご尽力に心から感謝と敬意の念を深くします。コロナ禍の3年間、実質的活動は少なかったが、今年度から再開し、市内各自治会・学校・公共機関等の推薦を受け12月に表彰式が行われるとうかがっています。
 国内外共に多事多難、先行き不確実な時代の今こそ、一人一人の小さな善行の集積こそが、世の中を少しずつ変え、明るい未来につながると確信します。

「善は結局悪に勝つ。その審判に信頼して善行を積みかさねてゆきたいものである。」・・・23年市川市役所特別展示『市川市ゆかりの偉人(レジェンド)たちの「名言」展』から、古賀米吉の言葉

2023.6.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

 23年度も2ヶ月たち、新入生も環境に慣れてきました。5月はまさに新緑風薫る季節、暦の上では初夏です。新型コロナウイルス感染症が、法律上の5類に指定され、基本的感染防止対策を継続しつつ、活動はコロナ前に近い形で実行できるようになり、講演はじめ集団活動もコロナ前の密度で実行しています。マスク着用は自己判断で、教職員も必要によりマスクを着用します。
 国際研修等グローバルな活動も実施予定で、夏の米国ボストン・ダートマス大学研修を再開、新たにシンガポール研修をスタートし、来年春にはニュージーランド提携校での研修も再開予定です。国のトビタテ留学JAPANも今年度11名が合格(過去8名が最大)しました。また英語でチーム3人による演習問題、討論、エッセイで教養を競うWSC(ワールドスカラーズカップ)東京大会が5月連休中2日間にわたり、学園で開催されました。Junior(中学)、Senior(高校)合わせて関東地区56校120チーム360人が参加し競いました。お蔭様で当校は参加8チーム24人全員が世界大会参加の権利を獲得(参加チームの3割が獲得)しました。7~8月には世界大会が行われ、更に優秀な成績者は米国イェール大学最終大会に出場の権利を得ます。
 スポーツでは高校軟式野球春季千葉県大会で、19年ぶり9度目の優勝を果たし、関東大会に出場しました。
 また校外学習が行われ、高2,中3は鎌倉、中2は川越、中1は上野公園でいずれも班別にテーマを持ち探究学習をしました。1974年から伝統ある中1大町公園自然観察会も天候に恵まれました。更に来年度の中学受験生に向け説明会を対面で実施、熱心な参加者が多く、学園への関心の深さを実感しました。
 さてウェルビーイングは、これからの教育に大切な考え方です。今後5年間の日本の教育基本方針・計画を定める第4期「教育振興基本計画」が中央教育審議会から答申され、近く閣議決定されます。
 第4期基本計画のコンセプトは2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成と共に、日本社会に根差した『ウェルビーイングの向上』としています。即ち①多様な個人の生きがいや幸せとともに、地域や社会が幸せや豊かさを感じられるための教育②幸福感、学校や地域でのつながり、利他、協働、自己肯定感、自己実現等を育む③日本発の調和と協調に基づくウェルビーイングンを発信すること、と述べています。ウェルビーイングは、「身体的・精神的・社会的によい状態であること。短期的幸福のみならず、生きがいや人生の意義など将来にわたる持続的な幸福を含む概念」としています。ウェルビーイング(Well-Being)は、1946年WHO憲章の健康の定義として使われ、またSDGsの目標3にはGood Health and Well-Beingとあり「全ての人に健康と福祉を」と訳されています。
 本年度第1回土曜講座の講師の前野隆司慶応大学教授は、ウェルビーイング学会の会長でもあり、この分野の第一人者です。「幸福学:幸せに生きるとはどういうことか」と言う題でウェルビーイングのことを広く分かり易く講義されました。先生は東京工業大学修士終了後、キャノン株式会社でカメラの研究をし、その後留学、大学ではロボットの研究から人間の体と心の研究へ、更にシステム論、幸福学、社会システムデザインなど幅広い分野で活躍されています。ウェルビーイングの研究を幸福学とし、「幸せ」を科学的に分析されて来ました。ウェルビーイングは広義の健康であり、健康、幸せ、福祉を含むもので、「視野の広さ」「やる気」「思いやり」「協調性」「チャレンジ精神」の要素を持つこと、幸せと健康・長寿の関連、幸福感と生産性・創造性の関連、年収と幸福度の関連、幸福学の基礎、人々を幸せに導く製品・組織・コミュニティーについて話され、生徒に強い刺激と感銘を与えていただきました。講演後の質問も活発で、更に理事長室まで来て、熱心に質問や意見を聞く生徒もいました。  生徒の感想の一部を紹介します。
・自分主義になってしまうと、他人と比べたり、金やモノを欲求してしまったり、それに夢中になるとどんどん追い詰められるようになってしまうので、視野を広くしたり、やる気を出したり、協調性、チャレンジ精神、思いやりを大切にすることがとても大事だと強く感じた。 (中学1 年、女子)
・ 幸せを一言で言うと、あまりどういうものかすぐに思い浮かぶ事は無いけれど、幸せと関係する要素がたくさんあることが分かりました。今の状態に満足せず、挑戦したり、人と接したりすることが大切だと思いました。また、物事を考えすぎず、常に楽観的な部分を持っていることで幸せにつながると言うことも分かりました。 (中学2 年、女子)
・ 幸せは自分の行動の仕方によって良くも悪くもできる。幸せとの相関関係を持つものはたくさんあり、自分がこれから生活をしていく中で、少しでも今までの自分の行動を考え、改善していけばより幸せに生活できるのではないかと思った。ウェルビーイングと言う良好な状態という言葉を初めて知り、ハピネスとの違いの話もとても興味深いと思った。 (高校3 年、男子)

 最後に先生の研究から導き出され、今回の講演でも強調された幸せの心の4つの要因は、分かり易く具体的な行動指針であり、紹介します。
 第一「やってみよう」;(自己実現と成長)、やりがいや強みを持ち主体性の高い人は幸せ、第二「ありがとう」;(つながりと感謝)、利他性や思いやりを持つことが幸せ、第三「なんとかなる」;(前向きと楽観)、何事もなんとかなると思うチャレンジ精神とポジティブな人は幸せ、第四「ありのまま」; (独立と自分らしさ)、他者と比べ過ぎず、自分らしさを持っている人は幸せ 
幸せは心の持ちようが大切であり、実践により、健康・幸せになりたいものです。先生にはこの4因子の色紙を書いていただきました。
 *参考資料; ウェルビーイング; 前野隆司・前野マドカ(日経文庫)
  ディストピア禍の新・幸福論; 前野隆司(プレジデント社)
  ポジティブ心理学の挑戦;マーティン・セリグマン(Discover)

202355.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

 23年度も1ヶ月たち、新入生もやっと環境に慣れてきました。毎年4月のスケジュールはほとんど同じですが、新たな生徒を迎え、在校生も教職員も学年・クラスが変わり、常に年々新たなりです。2日間の新任教員研修会、各学年・教科・部・委員会の打合せ、23年度方針発表会、始業式、入学式、新入生オリエンテーション、クラブ紹介、中1・高1・高3の保護者会、生徒健康診断と続きました。

 念願の大野グラウンドの管理棟(部室)が完成し、4月6日にはささやかな落成式を行いました。総床面積156㎡、更衣室2室、管理室、倉庫、男女トイレなどからなります。硬式・軟式野球部が更に盛んになり大いに活用してくれることを願っています。小職からは下記の挨拶をしました。
 『長い間不便をかけました。これから選手諸君は、管理棟を自分の家と思い、整理・整頓・清潔・清掃の4Sを通じて良い環境を維持してください。「野球を学ぶ」ことは勿論大切だが、「野球で学ぶ」ことがより大事です。「野球で学ぶ」とは、野球を通じてマナー・モラルや規則を守り、協力とフェアープレイの精神を学び、友情をはぐくみ、目標に向けやりぬく力をつけるなど、「人間力」を養うことです。試合で勝つひたむきな努力と共に、「さすが市川学園の野球部の選手」といわれたい。WBC侍ジャパンの活躍は感動的でしたね。大谷選手はじめ活躍した選手、監督の采配は素晴らしく感動しました。特に栗山監督の誠実な人間性とひたむきに学び続けた長い努力の人生に学びたいと思います。まさに第三教育の名人です。』 
 栗山監督の野球人生は努力と学びの人生です。高校時代甲子園への夢を持ちつつもなし得ず、東京学芸大学教育学部に進み、硬式野球部に入部、東京新大学野球連盟のリーグで投手・野手として活躍しました。教員免許を取得し卒業後教員を目指していたが、野球への夢を断ち切れず、プロ入団テストを受けヤクルトへドラフト外で入団し、病気(メニエール病)に苦しみつつも、約6年間外野手として活躍しました。その後20年間は野球解説者、スポーツキャスターとして活動し、また大学教授としてスポーツメディア論などを専門として学生を指導し、更に少年野球の普及育成に努めました。2012年から10年間北海道日本ハムファイターズの監督、その間大谷翔平2刀流を育成。まさにリーダー、研究者、教育者、起業家であり、読書家で著書も多く、多能な人間力のある方です。非常に勉強熱心で、多くの監督やリーダーを訪問し、教えをノートにとり学び続ける、まさに第三教育の名人です。特に三原マジックと言われ、西鉄等の監督を歴任した知将三原脩監督が自ら書きとめた「三原ノート」に多くを学んだとのことです。

市川大野グラウンド

 さて最近話題のChatGPTなど対話型生成系AIは、異次元のAI革命、インターネット・スマホ出現以来の大革新ともいわれ、世界的に活用され、問題点・デメリットも指摘されています。質問や指示を入力すると自然な文章や画像で回答してくれるAIです。昨年11月末新興企業Open AI社(CEOサミュエル・アルトマン)がChatGPT(GPT-3)を公開、僅か2ヶ月でアクティブユーザーが1億人に到達。その名の如くChat(対話する)Generative Pre-trained Transformer(生成可能な事前学習済み変換器)であり、大規模言語モデル(LLM)を基に、教師あり学習と強化学習の両方で学習しています。本年3月末公開された有料版ChatGPT-4(月20ドル)は更に文章の質や正確性が向上しているとのことです。
 すでに我が国でも官庁・自治体・民間企業・大学、個人などで利用され、メリット・活用分野と注意事項、倫理的・法律的課題やリスクが討議されています。社会全般にも、仕事や雇用にも大きな影響を及ぼします。この分野のAIの研究も国として強化すべき必要があります。教育・学習に於いては、教師、生徒にも大きな影響があります。生徒の思考力・判断力・表現力を増進しつつChatGPTに相談しうまく活用することが大切で、安易にChatGPTに頼ることは危険ですし、ましてやChatGPTの回答をそのままコピペすることは全く評価されず、自身の思考力を阻害することになります。一般の多くの仕事の上でも上流の計画や創造に力を入れ、他のAI同様ChatGPTも道具として中間の事務・整理に有効活用し下流の対話など人間力に力を注ぐ必要があります。

 先ずは使ってみることでしょう。注意事項も必要で、いずれ文部科学省からもガイドが出ると思います。私見ですが、利用面で当面次のような注意が必要でしょう。
 1.仕組み上誤った情報もあり間違った回答もあるので、内容の信憑性には十分注意する。
 2.一般社会や通常のネット社会と同様にマナーやモラルには注意する。
   ChatGPTとの対話は人と人 の対話のように礼儀やマナーが重要。
 3.個人情報、プライバシー、内部情報、機密情報は、ChatGPTに送信しない。
 4.自分の創造力、思考力、判断力、表現力を大切に。論文や課題研究において、ChatGPTの回答を
   直接コピーするなどは不可。評価されず、自身の学力・知力向上を阻害する。あくまでも相談。
   著作権に触れることもある。
 5.ChatGPTはAIチャットボット(しゃべるロボット)であり、人間の創造力、思考力、意識、感情
   などには及ばないことを知ること。
 なお、質問や対話を明確に具体的にすること。明確でない質問は回答も不正確になる。より具体的質問が大切である。

 東大が4月3日に副学長名でだした『生成系AIについて』は、第一弾としてこのAI活用と問題点を適切に指摘していますので参考までに目次と、URLを記します。
 https://utelecon.adm.u-tokyo.ac.jp/docs/20230403-generative-ai
「生成系AI(ChatGPT, BingAI, Bard, Midjourney, Stable Diffusion等)について」
 ・・・・・目次
      何ができるか、「検索」ではなく「相談」するシステム
      仕組み上、書かれている内容の信憑性には注意が必要
      機密情報や個人情報などを安易にChatGPTに送信することは危険
      将来著作権や文書を用いた試験・評価に問題が発生する可能性がある
      社会に対する影響
      本学の学生や教職員はどう対応したらよいか

 また4月25日には、(日本)人工知能学会が、会長/倫理委員会の声明文を出しました。一部要約すると「文章の生成や相談事、検索的用途など、多彩な使い方ができ、アイデアの創造や効率化などの点で極めて有用性が高いAIである。まだ発展途上の技術であり、社会規範や倫理にそぐわないものを生成する可能性がある。従って出力をうのみにせず、長所・短所を理解した上で利用することが大切である。教育の場では、一律な利用の禁止でなく積極的活用を検討すべきであり、自分で考えることなしに答えのみを教えてもらう用途には利用すべきではないなど、皆で検討すべきである。」全文URLは下記です。
 https://www.ai-gakkai.or.jp/ai-elsi/archives/info/

 ChatGPTなどAIがますます進歩?する時代、人間の創造力、総合知、統合的判断力、優しさ、思いやり、共感力など真の人間らしさ・人間力が,ますます重要になるでしょう。他の先端技術(核技術、生命科学技術・・)と同様、開発や利用を適切にコントロールするのは、全て人間であることを忘れてはならないと思います。

2023.4.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

  さあ新年度の始まりです。新入生中学校332名、高校428名(内進315名、高入113名)を迎えます。また、新たに14名の先生が学園に参加します。いよいよ5月からは感染症法上の分類も5類となり、インフルエンザと同等の扱いになります。しかし、手洗い、換気、密なる場所でのマスク着用の判断など各自が得た3年間のウイルス感染防止の知見を十分に活用する必要があります。原則生徒がコロナ前に近い生活ができるように支援します。
 3月は別れの季節、423名の生徒が元気で巣立ち、各自の目標に進みました。卒業式後、古賀アリーナにおいて後援会主催の謝恩会が実施され、卒業生・保護者主体の心温まる時間を過ごしました。関係教職員それぞれへの卒業生の感謝のことば、学園での活動映像、学年主任以下学年団教員への質問と当意即妙の回答など、卒業生、保護者、教職員が一体となった「一座建立」のひとときでした。6年間にわたる当該学年の主任の挨拶は、「今日まで生徒の皆さんが常にいる生活が当たり前の日常でした。明日からはこの当たり前の生活がなくなる。」と言う寂しさとともに、飛び立つ生徒への期待を述べました。また、何でも相談できるお母さん役の学年副主任は、「卒業生の皆さんは、本当に宝物です。」と述べました。
 中学卒業式は、ほとんどの生徒が市川高校に進むので、従来通り終業式の日に、中学修了式として実施しました。

さて、数学科主任をはじめ数学科教員有志の熱意と努力で、3年間かけて模型等を作成し、『数学博物館』を開館することができました、本館3階で生徒に開放しています。幾何学に関するものが中心ですが、今後も更に改善・進化させ、生徒の学びに役立たせたいとのことです。以下は専門的ですが、教科主任の説明要旨を転載します。
1.コンセプト:理科は物理・化学・生物・地学の実験室があるが、数学にはなく、展示室を企画した。手で触れる模型や実験して体験できる模型を
 多数展示し、壁面には著名数学者や数学の歴史を掲示し、生徒が自由に活用でき、数学に興味・関心をもてる空間とした。
2.掲示:数学通史と数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞受賞者のポスターを壁面に配置した。
3.実物模型展示:幾何学に関するものが多く、特に立体図形に関する模型を多くし、博物館の中心としている。
 1)3次元立体模型:3次元立体で有名な正多面体(正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体)の模型、更に凸多面体(へこみのない
  多面体)の一種ジョンソン・ザルガラー多面体の模型を多く展示した。ジョンソン・ザルガラー多面体とは、すべての面が正多角形の凸多面体であ
  り、92種類であることが1969年に示された。この模型が全数展示されているのは珍しい。
 2)4次元立体模型:4次元の正十二面体である正120胞体や、4次元の正二十面体である正600胞体が展示されている。
 3)円錐曲線(2次曲線)模型:円、楕円、双曲線、放物線が円錐の切断によってできることを視覚化した円錐曲線のオブジェ。楕円の焦点の性質が
  体験でき(楕円ビリヤード)、パラボラアンテナの性質が体験できる。
 4)ゴルトンボード模型:視覚的に統計の二項分布を体験できる。
4.ゼミスペース:数学に興味ある生徒が数学的雰囲気の中、黒板を使い数学の問題を考え、研究や議論のできるスペースを用意した。
5.数学関連書籍:SSHの数学研究で購入した書籍、教科教員の推薦書籍、更に一般向け数学関係の書籍などを多数用意した。

 最後に、新年度に当たり新入生と在校生へのメッセージを以下に記します。
 AI時代の今、課題発見、課題探求、課題解決が重要になります。「新しいことをやってみよう精神」で、自ら学び考える第三教育の力を高めましょう。修得のコツ(要領)をあげてみます。
1.何事も先ず始めること・・準備に手間をかけ結局やらないことが多い。学習や行動のスイッチを入れ、スタートすること。迷ったらまずやってみること。
2.習慣化すること・・学習・読書は、短時間でも日々続け、習慣化すること。習慣は、努力による第二の天性である。「積小為大」、小さな努力の継続、積み重ねにより大きな成果が生まれる。
3.目標が大切・・目標があれば、努力しやすい。人生の目標、進学目標は大切だが、まずは今学期の目標をたててみたらどうだろう。目標到達に何をやらねばならぬか具体的に考えよう。
4.時間の活用・・通学時、待ち時間など短い隙間時間を大切にしたい。朝7時に開く第三教育センターと自習室は、自ら学ぶ最適な場である。
5.疑問と好奇心・・疑問、好奇心、興味を持つことから学びははじまる。分らないことは、辞書や本やネットで調べるくせをつける。友人との対話や失敗も全て先生である。「われ以外みなわが師」である。
6.主体的な学びは楽しい・・人に言われてやるより、自ら計画して学ぶ方がずっと楽しい。進歩・成長こそが楽しさのもとである。
7.学びと休息のバランス・・睡眠や休息、気分の転換は重要である。身体・心・学校生活の健康(ウェルビーイング)は学びの基礎である。

「楽しい学園生活」は、日々自分の進歩・成長を実感することから得られる。