113.変化はチャンス

2015.3.1
市川学園理事長・学園長 古賀 正一

 3月は卒業の季節、卒業式は、英語ではコメンスメントというように、新たな始まりであり、新しい出発のときです。保護者の方々にとっては、最愛の子供さんの成長に感慨無量であり、自立を促す巣立ちの時です。教職員にとって最もうれしい日、ほっとした気持ちと共に、別れのさびしさも伴います。

A. 今月の話題・・・新しい能動的学び(アクティブラーニング)

 昨年12月22日中央教育審議会で「高校と大学の接続改革」の答申が出されました。新聞や雑誌等では、大学入学選抜テストの変更の問題が強調されていますが、「高校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体改革」です。

 最も大事なことは、主体性と能動的な学び(アクティブラーニング)の重視です。一方的に教えられる受身の教育でなく、学びの対象や課題を自ら選び能動的に学び、討議発表などアウトプット型教育が重視されます。高校教育、大学教育を通じて「生きる力」、「確かな学力」を育むことが基本です。

 確かな学力は、①主体性、多様性、協調性をもつこと②思考力、判断力、表現力が重要なこと③知識技能の習得は土台であること、即ち学力3要素を伸ばす教育をしようということです。個別大学入試の改革、センター試験に代わる「大学希望者学力評価テスト」の導入、「高校基礎学力テスト」の導入など試験制度も変わります。生徒自身が主体的にチャレンジすれば、チャンスは広がります。

 なぜこのような教育改革が求められるのか?それはこれからの世界の変化、社会の変化です。生徒が、社会で活躍する頃は、国際的な仕事、自身がパイオニアとなる仕事がふえ、正解のない問題に答えを出さなければならない時代になります。具体的には今ある職業でもITやロボットに置き換えられこともあり、また現在存在しない職業も多く出てくるでしょう。米国の研究者キャシー・デビッドソン氏は、今米国で小学校に入学した子供の65%は、大学卒業時に今は存在していない職業につくだろうという予測までしています。しかし「変化はチャンス」です。そのような時代こそ基礎学力をしっかりつけ、自ら課題を発見し探究する、主体性を以て異分野の人と協力できる人材が必要とされます。

 学園では「第三教育」を土台に、基礎知識の習得を重視しつつ、リベラルアーツ教育(真の学力・進学力、教養力、科学力、国際力、人間力の5つの力の養成)を推進し、確かな学力に対応しています。答申の言う主体的学び、思考力、判断力、表現力などは、すでに学園の授業や行事などで数多く取りいれており、更に増えていきます。一例は土曜講座、中学の言語技術、ディベート授業、模擬裁判、高校のSSH課題研究、市川アカデメイア(哲学書の熟読による対話)、各種特別授業、エンパワーメントプログラム(外国人学生との対話、討議発表によるグローバルスキル向上)、MOOC(英語による著名国内外大学教授による大規模公開オンライン講座)の活用授業などです。建学の精神の「第三教育」こそ、答申が示す主体性と能動的学び(アクティブ・ラーニング)の源です。

 今回の答申を中央教育審議会会長として、熱い思いでリードされた安西祐一郎会長(1月土曜講座で講演)の言葉を引用します。「若い世代のため、将来の我が国のために、何としても改革を成就してほしい。文科省だけでなく、全てのセクターの英知を結集して建設的に改革の実現を図ることは大人の責任である。困難もあるだろうが、幕末から明治にかけて独立近代国家を造り、戦後の焼け野原から経済大国を生み出した先人たちの苦労に比べれば、いかほどのことがあろうか。(日経15-1-5)」

B. 2月の主な学園行事

1. 入学試験総括
  4日(水)の中学2回目入試、5日(木)の高校後期入試共に無事終わり、合格者が確定、今年の入試が終わった。中学の入学者は、ほぼ定員通り(定員320名)。高校は、公立の後期入試合格発表後に行う入学ガイダンスで入学者数が確定する。
今年の受験志願者数は中学、高校合わせて5061名、引き続き5、000名を超えた。中学(12/13帰国生入試、1/20第1回幕張メッセ入試、2/4第2回入試)は募集定員320名に対して3392名、昨年比107%であり、高校(1/17前期入試、2/5後期入試)は募集定員120名に対し、1669名であった。

2. 10日(火)文科省からの依頼でタイ王国の生徒来校
 東南アジア教育大臣機構(SEAMEO)と文部科学省で行っているSEAMEO-JAPANコンテストでのESD表彰の受賞校タイ王国ウドンピッタヤヌクーン校生徒(女子)5名、教職員4名来校。午前の授業見学・体験後、高1クラスと一緒にお弁当をとり、午後互いの発表会、記念撮影などを行った。異質の文化を知る良い機会となった。

3. 11()内進生(3)および中学新入生への入学ガイダンス実施

4. 14()後援会第二回幹事会、高1合唱祭

5. 20()21()3・中2合同合唱祭、中1合唱祭
 恒例のクラス単位の合唱祭は、クラス対抗による競争意識、創意工夫、この行事のための練習を通じてのチームワークの醸成、発表力養成など極めて多角的かつ主体性のある教育行事である。各クラス合唱前のクラス紹介など機知にとんだものもあった。課題曲、自由曲2曲で競われた。課題曲は、中1「旅立ちの日」に、中2は、生徒達の作詞作曲による「小さな花の物語」、中3は「大地讃頌」であった。「大地讃頌」の作曲家佐藤真氏(東京芸術大学名誉教授)は、学園の卒業生である。

6. 27年度予算ヒアリング(525)
  各学年、教科、校務分掌の部、法人本部、事務経企画、施設の部門からヒアリングした。次年度の方針にもとづく項目予算の討議。教育改革の進歩に資するもの、生徒の確かな学力に資するもの、生徒の安全安心に資するものを優先した。
新年度どのような施策を実行するか、そのための裏付けになる予算は確保して行く。よい教育のためには、金をかけるとともに、無駄は排除。計画内容は年度当初の全参加の発表会で発表、PDCAを回す。

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