126.大学入試改革は始まっている

2016.3.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

いよいよ第68回高校卒業式(3月2日)、429名の生徒はめでたく高等学校の卒業資格を得、新しい出発です。共学の第8期生となります。

教職員にとっては、6年間または3年間手塩にかけた生徒の巣立ちで、最もうれしい日でありますが、一抹の寂しさも伴うときです。すでにほとんどの生徒が、国立、公立、私立の入試を終わり、進路の決まった者、発表を待つ者、再度チャレンジする者などそれぞれです。人生は長いので、失敗も大きな成功への試練と考えるよう、心から激励しています。

A.今月の話題・・・大学入試改革はすでに始まっている(東京大学推薦入試)

今年から今までなかった東大、京大の推薦入試が始まりました。東大の場合は、後期入試(募集100人)がなくなり、新しく東大特別入試とも言うべき推薦入試(募集100人程度)が始まりました。多様な学生を入学させたい大学の入試改革の一環です。しかも各学部ごとに募集人員と推薦要件も異なっています。

各学校長が推薦できる人数は、学校ごと男女各1人です。選抜の方法は、提出書類・資料(課題小論文等を含む各学部ごとの要件)、面接等(個別面接、但しグループ・ディスカッションのある学部もあり)及び大学入試センター試験の成績(概ね8割以上の得点が目安)を総合的に評価して合否が決められます。

推薦要件は、各学部ごとに決められ、ハードルは高いのですが、入試の点数だけでない学生の多様な活動を総合的に評価しようという工夫が凝らされています。入学後もアドバイザー教員が、学問・進路の相談にのり、大学後期課程・大学院の専門教育を早期に受ける機会も設けられます。また1年半後の志望学部・学科を決める進学振り分けの対象にはなりません。東大のアドミッション・ポリシー(入学者受入れ方針)にもとづく意気込みが感じられます。

お蔭様で、学園からも女子生徒を工学部(領域5;バイオ、細胞、化学、有機分野)に推薦し、見事合格しました。面接も5人の面接官から、提出した書類・資料の内容、得意な教科、将来やりたいことなど多方面にわたり40分くらいの面接を受けたとのことです。

面接により、十分に問題意識や思考力、学校内外の活動、コミュニケーション能力なども評価されたと思います。彼女は、SSHの課題研究も素晴らしく、またタイやスウェーデンなどに研修の機会を得るなど、校内校外での活動も評価されたと思います。

合格発表の後、小職知人の東大元副学長から次のような要旨の祝いのメッセージをいただきました。『通常の一般選抜試験を受けても合格する学力を持った生徒さんだと思いますが、1ヵ月早く受験勉強から開放されたことは、彼女にとり大きなメリットです。

このボーナスの1ヵ月を利用して、大学に入ったら何をやるかをじっくり考え、力強いスタートを切ってほしいですね。推薦入試は、東大特別入試とも言うべきもので、日本でトップクラスの先生方がじっくり面接して合格と決めたのですから、誇りに思うよう彼女に伝えてください。』

東大推薦入試全体では募集人員100人程度に対し、出願者数173人、書類による第1次合格者149人、最終合格者77人。平均倍率2.25倍でした。一般入試に比べ女子が多いのも特徴です。

学部別合格者は、法14人、経済4人、文3人、教育4人、教養2人、工24人、理11人、農9人、薬3、医3でした。千葉県は、私立4人、県立1人合格でした。新しい試みゆえ、是非合格者の今後の活躍を期待したいものです。

国公立大学の推薦・AO入試の拡大など個別入試改革、学部の再編、学部の新設など、大学教育改革は、すでに新しい入試制度(大学入学希望者学力評価テスト、H32年度スタート予定)を含む高大接続改革を先取りしていることを感じます。高校教育も、高大接続改革と骨格のアクティブ・ラーニングの趣旨を先取りし、新しい教育を実践し、真に卓越した生徒を育成しなければと思う昨今です。

B.2016年1月末から2月の主な学園行事・活動

  1. 1月29日(水) 東大教育学部学生の学園訪問
    本学のLA(リベラルアーツ)ゼミ講師で東大講師小林汎先生の教育法ゼミの学生41名が来校。授業見学、学校紹介、学校見学など現場を体験してもらった。また放課後小グループに分れ、学園生徒と懇談してもらい、生徒に大学生活、勉学法など大きな刺激をいただいた。
  2. 1月30日(木)  27年度最後の土曜講座
    俳優・コンサルタントの深山敏郎先生の『シェクスピア作品の面白さを知る』と国立極地研究所教授、元南極観測隊長本吉洋一先生の『宇宙の謎は南極でわかる』が、年度最終講義。27年度は、合計8回12人の各分野の識者の先生方に来校いただいた。
  3. 2月4日(木) 中学第2回入学試験
    募集人数40名、受験者431名、合格者42名、倍率10.26倍。
  4. 2月5日(金) 高校第2回入学試験
    募集人数35名、受験者369名、合格者49名、倍率7.53倍。
  5. 2月11日(木) 中学入学者のガイダンス実施
    定員320名に対し最終342名の入学が決定した。定員に対し106.8%。あわせて当日市川中学校から高校に進学する321名のガイダンスも実施した。
  6. 2月15日(月) 英国イートン・カレッジ(全寮制私立パブリックスクールの代表校)との交流会
    イートン・カレッジのサマースクール代表者G.ファシー氏の来日の機会の折り、交流会に参加。当学園も、今夏からイートンのサマースクールに生徒が参加する。これで英国研修は、ケンブリッジ大学、オクスフォード大学と合わせて3コースとなった。
  7. 2月19日(金)、20日(土) 恒例の合唱祭(第10回)
    19日中学2年・3年の部、20日が中学1年の部として実施。クラス対抗で課題曲、自由曲の2曲で競う。各クラスの個の力量とチームワークが試されるため、生徒達も非常に熱がこもる行事である。今回から審査員は、プロの声楽家、音楽科教員、音楽系大学在学中の卒業生など専門家中心となった。中2の今年の課題曲は生徒の作詞・作曲による『未来へのつばさ』。尚、中3の課題曲『大地讃頌』は、本学園・高校9回卒の佐藤真氏の作曲である。
  8. 2月27日(土) 中学学校説明会
    学校概要をはじめ今年度入試の状況、入試問題の解説と注意点など、小学5年生対象に実施。約600人参加。

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