139.人生100年時代の生き方・・・第三教育の達人をめざそう

学園の桜も満開です

学園の桜も満開です

2017.4.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

始業式・入学式前のこの時期、新年度の準備のため、校務分掌に従った座席移動、新任教員の研修、教科・学年・部・委員会等の打合せ、教職員健康診断、年度方針発表会議と続き、毎年スケジュールは同じですが、常に工夫が凝らされ、新たな気持ちでスタートができます。

4月8日の入学式に中学324名、高校442名(内高校からの新入生114名、市川中学校からの内進生328名)の新入生を迎えるのが楽しみです。

さて、今の新入生が社会で活躍する時代は、ますます進むグローバル化の中、人工知能など知的人工物と協調して生き、人間は人間らしい仕事を行うことになるでしょう。既存の職業だけでなく、新しい仕事にチャレンジし、また未知の問題や新しい課題に対応する力をもたなければならない時代です。

しかしもう一つの問題として、平均寿命の延びた高齢化と医学の進歩により、人生は百年を生きる時代になるということです。22世紀まで生きる生徒たちは、今までのように大学まで学び、就職し、60歳または65歳まで働き、余生を年金と貯金で趣味に生きるという直線型一毛作の生き方ではなくなるでしょう。これからの生徒たちは、二毛作三毛作で異なったキャリアをつみ、常に学び、できるだけ長く社会に役立つことが必要になるでしょう。健康な人は、自分のスキルを磨き、多様な働き方で75歳から80歳くらいまで収入を得て、何らかの社会貢献をする、社会を支える側に長くいることが必要です。

そのためには多くの事に関心を持ち、健康第一に、学び続けることが必要です。今日本の総人口に占める65歳以上が27%ですが、2060年には40%と予測されており、現在の社会保障システムのままでは持たないことは確実です。社会として支えあうこと、思いやりとやさしさが大切ですが、個人として自立した生き方を、長いスパンの人生に向け、特に若い人は準備をする必要があるでしょう。まさに長寿社会こそ自由で多様な生き方のために、第三教育の力が不可欠となります。

今回は最近ビジネスマンの間で読まれている『ライフシフト;100年時代の人生戦略(英文題名 The 100 Year Life Living in an Age of Longevity)』を紹介したいと思います。

著者はロンドンビジネススクールの教授で経済思想家であるリンダ・グラットンとアンドリュー・スコット、発行は東洋経済新報社です。日本版の序文のなかで、日本は平均寿命でトップの国であり、100歳以上のセンテナリアンがすでに61,000人、2050年には100万人になること、また2007年生まれの人は、50%以上が100歳以上生きるとしています。過去のロールモデルは役に立たず、教育、仕事、引退の3ステージでなく、長い人生の中、仕事を中断し学んだり、途中で転身したり、並行して2つの仕事をしたり、パートの仕事をするなどマルチステージの体験が必要になってくるとのこと。自分への投資をし、自分を再創造することが重要としています。

マルチステージの人生では、幅広い進路を探索するエクスプローラであったり、小さなビジネスをやるインディペンデント・プロデューサーであったり、様々な仕事・活動を同時並行するポートフォリオワーカーであったり、様々な自分の変身、再創造が必要です。70代、80代で活力や生産性を失わず働き続けることが大切。1945年生まれのジャック、1971年生まれのジミー、1998年生まれのジェーンをモデルとし、資金計画、雇用の未来、見えない資産の大切さ、選択肢の多様化、お金と時間の使い方、未来の人間関係など幅広く言及しています。

変革への課題として、何かに打ち込む、セルフコントロール、教育などをあげ、特に教育の課題として、新しい学習テクノロジー(MOOCなど)による学び、年齢の壁をなくすこと、創造性・独創性とやさしさ・思いやりを教える方法、テクノロジーの進歩に対応する実践的専門教育などをあげています。

これからは多様な働き方と生き方を選べるようになり、100年ライフの果実を手に入れられるとしています。

生徒たちは勿論、すべての人が新しいことに挑戦する意欲と生涯学び続ける力を持たねばならぬ時代です。結局は、常に前向きな思考と自ら学び生涯学び続ける第三教育の力こそが、改めて人生百年時代に重要と思う昨今です。

『新しくはじめることさえ忘れなければ、人はいつまでも若くあり続ける。』
(マルチン・ブーバ―; オーストリア宗教哲学者、1878‐1965)

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