147.一隅を照らすこれ国宝なり …卒業生の活躍こそが学園教育の真の結実

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市川学園理事長・学園長 古賀正一

学園教育の真の結実は、それぞれの場で自分らしく社会に貢献する卒業生です。

組織の大小、地位・職責の上下、職業の種類、年齢にかかわらず『一隅を照らす人』を多く輩出することこそ、学園教育の真価です。卒業生の社会での貢献は、学園の誇りであり、学園の名を高くしています。創立者が、『卒業生よ、学園の広告塔たれ』といったのも、むべなるかなであります。

卒業生が随所で活躍している動静を知ることほど、うれしいことはありません。天台宗の開祖、伝教大師最澄は、その著『山家学生式(さんげがくしょうしき)』において、『径寸十枚これ国宝に非ず、一隅を照らすこれ則ち国宝なり』と言っています。

自ら学び、生涯学び続ける『第三教育』を学園時代に会得させ、将来一隅を照らす人材をいかに多く生み出すか、これが市川学園の教育の心髄です。また『なずな精神』にあるように、自分固有の花を咲かせることが大切です。大輪の菊、美しい牡丹、満開の桜だけでなく、なずなのように目立たなくとも、一隅を照らしてほしいと思います。

卒業生の活躍や動静は、同窓会報『なずな』にのりますが、今般経済誌『週刊エコノミスト』の連載記事『名門高校の校風と人脈』(11月14日号)にも取り上げられました。これまで千葉県内でこの記事で取り上げられた学校は県立高校4校のみで、私立高校は当学園が初めてとのこと。歴史・伝統と卒業生の活躍が要件でした。雑誌社の視点での選択と限られた頁数で、わずかな卒業生しか取り上げられていませんが、多彩な分野で活躍されていることが良く分ります。今回取り上げられた40名は、企業経営者;8名、社会企業家;1名、芸能事務所トップ;2名、俳優・歌手・落語家;5名、映画監督・放送作家;2名、文芸分野;2名、芸術;2名、写真家;1名、漫画家;2名、メディアアーティスト;1名、音楽関係;3名、理工医薬系学者;8名、文系学者;2名、弁護士;1名 など多士済々でした。

卒業生同士が、同窓の縁で知りあい、仕事の交流が始まるのも大切です。現代は、ノウハウ(know-how)も大切だが、ノウフウ(knowwho)がより大切といわれる時代です。

一方学園にとっては、物心両面の卒業生の支援の力は大きく、また人的にも同窓会役員は勿論、学園の役員、教職員としても学園を支えてもらっています。また学園は常に卒業生の心のふるさとでありたい。私学は教職員の異動がなく、いつでも恩師に会えるのが特徴です。小職は、同窓生の集まりには、最優先で駆けつけ、卒業生の来校は何よりもうれしく、理事長室は常にオープンで大歓迎です。

さて創立80周年の節目の記念式典・祝賀会は、11月12日(日)に盛大に行われました。

式典には来賓、役員、卒業生・保護者・教職員、生徒代表等約700名が参列し、理事長式辞、来賓祝辞、同窓会・後援会からの寄付受贈、協力会社・旧職員への感謝状贈呈、永年勤続教職員表彰状贈呈、校長謝辞、在校生総代の喜びのことばで式典第1部を終わりました。

続く式典第2部では市川学園フィルハーモニー管弦楽団による『ウェーバーの祝典序曲』と学園の歴史を画像・音楽・語りでつづった『市川学園80年の不易流行』の演奏を行いました。

理事長式典式辞要旨:DSC_1464

「本学園は、昭和12年創立者古賀米吉を中心に支援者の方、わずか5名の教職員と32名の生徒、3教室の校舎で旧制市川中学校として開校、苦難のスタートでした。日中戦争など戦争の足音の高まる不安な時代でしたが、情熱と結束はゆるぎなく、戦中・戦後の苦難をのりこえ、その後の発展につながります。80年は創立者が自ら陣頭にたち推進した創業時代の46年間、創立者の衣鉢をつぎ充電した守成時代の20年間、更に新校舎における共学の新生市川学園の14年間と三期に分けられます。今日は『温故知新』の精神と共に、感謝の心を忘れず、更なる高い目標に向け、決意を新たにする節目と考えております。

直近10年間はリベラルアーツ教育を高く掲げ、その実践として生徒に学力、教養力、科学力、国際力、人間力の5つの力をしっかり身につけさせ、『国際社会で活躍できる品格ある人材の輩出』、『真の紳士・淑女の育成』を目標としてきました。

SSHの指定を2期10年にわたりうけ、課題研究、授業研究を深く実践し、多くの受賞実績をあげてきました。また英国イートンカレッジ、ケンブリッジ大学、オクスフォード大学、米国ダートマス大学等での研修、シンガポール修学旅行など国際研修を充実させ、トビタテ!留学Japanなどへの積極的参加による自主的留学、帰国生教育の拡大など、国際力の向上が顕著です。リベラルアーツゼミ、市川アカデメイア、論文作成ゼミなどを通じて教養力の向上にも努めました。難関大学への進学実績は勿論のこと、学業と両立する部活動などにも成果をあげています。

記念事業としては、総合グラウンド、アクテイブ・ラーニングに適したALICE5教室を完成させ、更に中学全24教室に電子黒板機能付きプロジェクターを配備し、新しい形態の授業を実践しています。更に『80年の歩み』、『われらの研究』、『研究紀要』などを刊行し、歴史センター、古賀教育センターの更新整備も行いました。

さてこれからの学園ですが、建学の精神の上にたち、リベラルアーツ教育を深く耕しつつ、共に学び切磋琢磨する『楽しい学園』でありたい。楽しい学園の第一要件は、生徒も教職員も学園も、新しいことに挑戦し、日々進歩成長することです。『常に進歩・成長する楽しい市川学園』が今後の経営、教育のキーワードです。一方少子化の中、常に前向きな危機感と緊張感をもって事に当たる必要があると考えています。

最後に生徒諸君、この感激をクラスの諸君と分かち合ってほしい。そして諸君一人ひとりが、新しいことに挑戦することを忘れないで下さい。挑戦し失敗する事を通じて諸君は進歩・成長します。諸君は、学園の歴史に学び、建学の精神の第三教育の力を身につけ、困難にあったとき物事をやり抜く力と勇気を得ることを確信しています。」

國枝記念国際ホールで執り行われた式典の終了後、古賀記念アリーナにおいて祝賀会を行い、式典参列者および卒業生含め合計約1200名が参加し、和気靄々のうちに、交流が深められました。

理事長祝賀会挨拶要旨;

「式典も終わり、これからは『感謝の宴』です。80周年事業は、同窓会、後援会、学校法人が一体となり推進してまいりました。今日は感謝の日と共に、新たな出発の日でもあります。卒業生の皆さんにとって、今年は特別なHCD(ホームカミング・デイ)です。今、学園は大きく成長しました。『創業は安く守成は難し』の故事がありますが、創立時の苦労は並大抵ではなかったと思います。一方現在の学園も、常に危機感をもち、不断の改革が必要です。

創立者は90歳卒寿の祝いの席で、卒業生、教職員にむけ『どうかかこの学校をつぶさないで下さい』とたった一言挨拶していたのが、耳に残ります。卒業生の皆さんには、今後90周年100周年更にその先将来に向け、母校を支えてください。『常に進歩・成長する市川学園』として教職員一同努力精進いたします。変わらぬご指導ご鞭撻をお願いいたします。」

これまでのメッセージ:message-menu