165.課題解決に若い人の発想を!

WSC at Ichikawa

WSC at Ichikawa

2019.06.01
市川学園理事長・学園長 古賀正一

新年度に入り2ヶ月、中間試験が終わり、1学期も後半です。文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」には、今年も8人(過去最大)が採用される全国トップ5の好成績で、この5年間では合計30名が採用されました。生徒たちは、夏休みを中心に、それぞれ応募した分野や海外の地域で学び、大きく成長してくれることでしょう。

またワールド・スカラーズカップ(WSC;英語で議論や知識・教養を競う世界大会)の東京大会(1次予選)が10連休中に2日間、学園を会場として行われ、好成績をおさめました。

学園の13チーム、38名が世界大会(北京)の出場権を得ました。高3の連休中の自主勉強会も100名以上が参加、また男子関東高校ハンドボール大会県予選で優勝し、関東大会へ進みます。連休明けの7~9日には米国アイオワ州のワートバーク大学の教授・大学生の楽団55人が6年ぶりに来校し、学園ブラスバンド部と交流し、ホームステイで日本の家庭生活を体験しました。

さて個人による多種の選択研修、選択講座・ゼミが、学園教育の特徴の一つであることを、たびたび話してきました。その中で、毎年4月下旬に行われる高校1年生向けの全3回特別連続講座『グローバル時代と君たちの未来』は、アクテイブ・ラーニングの特色を持った人気講座です。この講座はグローバルなビジネス経験や起業経験のある2人の学外講師による講義と生徒がグループごとに選んだ『課題テーマ』について調べ・考え、発表・質疑応答し、最後に参加者で評価するものです。

今回で8回目となり、生徒に大きな刺激となっています。今年は内進生27名、高入生37名計64名で、高入生の参加意欲の高さが目立ちます。内進生・高入生のよい交流の講座にもなっています。講座の概要は次の通りです。

1.講座の目的
受講生に日本の課題とグローバルな視点に広く興味を持たせ、将来グローバルに活躍したいという動機付けと共に、自身の夢・目標の実現のために何をなすべきかを学ぶゼミ形式の講座です。

2.スケジュール
第1日目は、松本孝利先生(日本シスコシステムズ社長他、外資系企業トップを歴任、慶応大学教授他を歴任、現在BBT大学院教授)の担当講座。第2日目は、深尾浩紹先生(ADL他、欧米企業のコンサルタントなど15年間ボストンで多彩な経験、現在BBT大学院教授)の担当講座です。

最終日までに、グループ(生徒5~6人で12グループ)毎に、事前に選んだ課題テーマを1週間調査研究・討議し、準備をします。最終の第3日目は参加者の前でプレゼンテーション及び質疑応答を行います。その後参加の生徒と教員で総合評価を行います。

3.具体的講義内容
世界経済における日本の位置(GDP世界の推移と日本のシェア、株式時価ランキング、GAFA)、ビジネスのグローバル化、デジタル化の波の中での世界の各業界の革新(特に流通業)、変わりつつある世界(トランプ政権と自国第一主義台頭、ポピュリズム)、グローバル化のなかの日本の課題(新興国台頭、GDP減速、人口減、国家の借金増、高齢化、賃金の伸び停滞、留学意欲減、生産性の低さ、日本の企業の存在感)、世界の大学ランキング、日本への留学生と日本人の海外留学、グローバル化のなかでどう生きるか(正解のない問題への解決提案、行動力、自分の意見)、起業の魅力と世界の起業、起業のために必要なこと(創造力、革新性と非常識、人的ネットワーク)、本当にやりたいことの探究など、生徒達にとって、学校の授業では学べない最新の刺激ある講座でした。

 4.課題テーマ
現在の日本や世界の抱える答えの決まっていない問題に、グループでアイディアを出しあい、説得力ある提案、魅力あるプレゼンテーションを行いました。以下は今回生徒達が立ち向かった課題です。

①日本文化を海外にアピールするには
②訪日外国人客数の急激な増加に対応する方策は
③ NPOで世界の抱える課題解決に取り組むには
④原子力以外のクリーン・エネルギー世界戦略とは
⑤気候変動に世界全体でどう取り組むか
⑥外国人労働者を日本社会に受け入れるには
⑦国際市場を相手に新ビジネスを企画するには

評価は、「理解度10点」「論理性と説得度30点」「ユニークな発想や視点10点」「チームワークと意欲20点」「表現力・魅力・面白さ30点」とし合計100点です。

5月からはじまった恒例の土曜講座では、小宮山宏先生(三菱総合研究所理事長、東京大学第28代総長)から、『21世紀に生きる皆さんへ~地球と日本と私たち~』と題して400名以上の生徒に、まさにグローバルに生きるための講演をいただきました。終了後には生徒の質問にも懇切に答えていただきました。

講義の内容は、日本は課題先進国であり、このことを利点に先生の主唱される21世紀のビジョン『プラチナ社会(もの、情報、移動、長生きが出来るとき、求めるのは自己実現)』を実現しようというもので、高度な循環社会、資源自給国家をめざすことを、データを示しつつ説得ある話でした。

最後に若い人は、未知のこと未解決なことに挑戦してほしい、私は一緒にやります。これからの人生をどう生きるかにつき、『本質を捉まえる知』、『他者を感じる力』、『先頭に立つ勇気』が重要であると締めくくられました。

この特別講座、土曜講座を通じても分るように、21世紀特に2050年頃の日本を背負うのは、“いまの生徒たち”であり、若い生徒たちが社会人になったときに未知の課題を解決する具体策を提案する力を、いまから訓練する必要を感じました。

また、彼らには新しい事業を起こす起業(スタートアップ)にも非常に強い関心があることも分りました。若い人の発想力とチャレンジする勇気に期待するところ大です。

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