174.ポジションが人をつくる・・・人事の季節

2020.03.01
市川学園理事長・学園長 古賀正一

3月は別れの季節です。生徒は卒業式と共に、大学入学等への心の準備に入ります。卒業を英語でコメンスメントというように、新たな始まりです。新年度に備え、学校は教職員の異動や新たな校務分掌の内示があり、会社や官庁は新年度に向け人事異動の内示や海外や地方勤務の準備が始まります。

会社や官庁などの人事で大切なのは適材適所ですが、本人の成長のために種々の部門を経験しキャリアパスを積むことは極めて重要です。思いも掛けない部門に発令されたり、一見左遷のように見える人事もあります。実はそれこそが上司が鍛えようという親心から考えたケースが多いのです。社会で成功しトップに立った人は、大なり小なり慣れない新しい分野、日の当たらない部門、不遇に見えるポジションを経験しています。そのとき腐らず、与えられた仕事で存分に活躍し、学ぶ機会としているのです。

全く新しい場では、勉強することが多く、自分を大きく成長させることが出来ます。ポジション、職務、地位が人をつくり、成長させるのです。新しい仕事にチャレンジして経験を豊富にするか、慣れた快適な仕事から離れられずマンネリに安住するかが、成長・昇進の分かれ目となります。

一般社会では、認知能力(IQ)以上に非認知能力が重視されます。非認知能力とは、意欲・やり抜く力、粘り強さ、チャレンジ精神、協調性、明るさ、素直さなど、数値的に測定しにくい能力です。またよくこのポジションは、この人しか出来ない~『余人をもって代えがたし』~と云うことがありますが、多くの場合(高度な専門職は別として)は、変わることにより新風が吹き込まれ、良い成果が出るのが一般的です。

さて教育界の場合、公立学校は、学校そのものを変わる人事異動があります。一方私学の場合は同じ学校の中での職務の異動、校務分掌の変更です。どの学年を受け持つか、担任か否か、教科はどの学年の何の授業を受け持つか、クラブ活動の顧問、部(教務、広報、進路、生徒指導・・・)や委員会などの役割は何かなど、一人の教員の役割は複数多様です。更には、学年、教科、部、委員会のリーダー(主任、部長、委員長)になることもあります。学校は教職員の活性化が全てなので、適材適所を前提に、リーダーとフォロワーの協力関係、キャリアパス、本人の成長など多角的に考えなければなりません。教職員としては、常に『やってみよう精神』が大切でしょう。

本学園では、適材適所を念頭に、専門性や経験を重視します。しかし同じポジションに長くいることは、本人の成長を妨げますので、出来るだけ多様な経験をしてもらいたく、キャリアパスを積むことを大切にしています。教職員の各校務についての希望をとり(第1希望~第3希望)、本人の専門、経験、適性、希望を念頭に、キャリアパス、年齢のバランス、学年ごとの教科・部の人数バランス、指定休日の人数バランスなど多角的に考えます。特に本人にとって全く新しい職務の場合には、校長・副校長からの丁寧な事前対話を行います。また新任の専任教諭には出来るだけ早い機会に担任を受け持てるよう、加えて授業準備や学び・研修に支障なきよう様々な配慮をします。その上で人事委員会(教育経営会議メンバー)で多面的に検討し、内示発表して新年度の準備に備えます。いずれにしろ生徒と同様に、近年『やってみよう精神』の教職員が非常に多くうれしいことです。

学校はフラットな組織体であり、リーダー(部長・主任)になったり、フォロワーになったり、担任であったり副担任であったり、職務中心に異動します。職務は年功序列ではないので、各部門でのチームワーク・協力体制と良き人間関係が、学校経営、人事成功の鍵だと思います。

学園の新年度は、新人教員も迎え、チーム市川学園として、楽しみなスタートになります。

~『仕事とそのポジションが人間をつくる』

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