SSH土曜講座

石浦 章一先生:東京大学 名誉教授   同志社大学  特別客員教授

理数探究とサイエンスコミュニケーション

1 2

石浦 章一先生の紹介

1950年 石川県生まれ
1974年 東京大学 教養学部基礎科学科 卒業
1979年 東京大学大学院 理学系研究科 博士課程修了
あああああ国立精神・神経センター神経研究所,ハーバード大学医学部
1992年 東京大学 応用微生物研究所 助教授
1998年 東京大学大学院 総合文化研究科 教授
2016年 東京大学 名誉教授
2016年 同志社大学 生命医科学部 特別客員教授

講座内容の紹介

石浦先生は、2010年に「新しい生命科学の発展と脳科学」、2013年に「大学で初めて学ぶ、脳科学」というテーマで2度土曜講座にてご講演してくださいました。今回の講演は3回目でテーマは「探究科学」です。

近年、日本人がノーベル賞を受賞する機会が多くなってきたが、これらの受賞者は全員「第一次ゆとり世代」以前に勉強をしていた人で、この世代の人は小中学生時代に授業時数が多かったことがわかっている。それに伴い、世界学力推移調査でも、ゆとり世代の学力は、ゆとり以前の世代と比べても順位が低くなっている。そのことを反省した国は、今現在「脱ゆとり」を掲げて授業時数もゆとり世代以前に戻している。しかし、AIやPCが普及した現在では、求められる力がそのゆとり以前の時代とは違っている。

先進国のアメリカやイギリスの理科教育カリキュラムでは、日本にはない「理数探究」と「サイエンスコミュニケーション(SC)」という科目が存在する。アクティブラーニングという授業は、日本でも展開されているが、これが行われた背景には理数の授業内容が「日常と離れている」と感じる児童が増え、それによって科学への興味関心が低下したことが挙げられる。これの対策として、英国では「探究とハンズオン(体験学習)を基本とするアプローチ」が行われています。これが、理数探究とSCです。

探究的な学びの効果は、「Hole in the wall」という実験によっても証明されています。これはインドのスラムの街角の壁に穴をあけて、そこにオンラインアクセス可能なコンピューターを置き、子供たちに自由に使わせるものです。結果は、子供たちは大人の指導なしに子供たち同士で教えあって高度なネットスキルを手に入れたそうです。さらに面白いことがあり、この実験に使われたPCの設定言語は英語です。インドの第二公用語が英語ですが、スラムの子供たちは英語が分かりません。その状況下で、彼らは学習を進めていったのです。これにより、環境さえ整えれば、誰でも学習を進められることを示唆しています。このような主体的な学びからいろいろな知識をつけることが大切であり、「科学リテラシーを有する人」になることが大切である。

科学リテラシーを有する人とは、①学校教育において「自然および自然法則に関する知識」を得た人。②科学や技術が社会にとって持つ意味・役割を知る人。③それらを知った上で、科学知識を個人・社会のために使いこなすことのできる人。を指している。しかし今後は、これらの能力に、「価値観・考え方を共有できる」というサイエンスコミュニケーションというスキルが大事になってくる。というお話でした。

生徒の感想(受講レポートから)

  • 科学が、海外よりも日本のカリキュラムが劣っているのは耳にしたことがあった。探究とSC(サイエンスコミュニケーション)が日本にも必要だが、それがないのは、なかなか影響が大きいと思う。化学,生物,物理と言った日本での勉強は、教科書を読む → 理解する → 覚える といった暗記力が重要視される。これでは、思考力が鍛えられないと思った。
  • 高3なので、大学受験に向けた詰め込みがメインの勉強スタイルだが、人生を豊かにしたり、総合的で多角的な知性を身に付けるためには、何かの教科に偏って勉強したり、理系だからといって、文系の科目を捨てるような勉強は、仮に受験に合格したとしても  “よい学習 ”とはいえないと分かった。
  • 今回の石浦先生の「理系探究とサイエンスコミュニケーション」の講座を受けて、先生の「マニュアル人間にならないでほしい」と言う言葉がとても印象に残りました。これは他人の作った道を進むのではなく、自らの道を進むべきという意味であり、これから大学を決めていくうえで、本当に自分がしたいことは何なのか、自問自答をして答えを出していきたいと思いました。
  • SSHで研究するときにもっと積極的に行動に移してみようと思った。研究の題名が人を集める要因にもなるので、しっかり考えようと思う。頭の鋭さを失わないように高校生の間に考える勉強をする。
  • 普段から他に答えは無いのかと考え、疑問に思ったら直ぐに調べる習慣をつけたいと思った。受験のための勉強を考えて勉強をすると目的を見失いそうになるが、人類の将来や自分の生活・健康を豊かにするモノだと考えて学ぶと、とてもワクワクすると思った。
  • 宝くじは買えば買うだけ損になるという話しは、本当に驚いた。他にも当たり前の常識だったものが、実は違ったりして面白かった。また、身近なことでも少し考えれば疑問に思うようなことがたくさんありそうな気がして、いろいろ考えてみたいなぁと思った。知識をただ詰め込むだけではなく、ちゃんと自分の頭で考えて行動したり、勉強したりすることは、大切だということが分かり、受身にならないで積極的になろうと思った。
  • ノーベル賞の話題から始まり、「理数探究」の重要性を聞いた。AIの発展により「科学」だけでは、人の力は必要なくなっていく。理数を学ぶことで国力が上がるならばもっと「理数探究」を学ぶべきだと思った。ゆとり世代で育った科学者たちが今後ノーベル賞を目指していくと思われるが、これからは「理数探究」を学んでいく脱ゆとり世代の方が国に大きな影響を与えるようになるのではと思う。そう考えると、これから変わっていく理数を学べることを恵まれていると思い、学んでいきたい。
  • 今回の講座を聞いて、将来何をすればいいのかという目安を立てることができました。世間の流行に惑わされず、自分の頭でよく考えて行動を取るようにしたいです。また理科の面白さを改めて知ることができました。確率というものはあくまで基準打と考えて、自分のありのままに生活していきたいと思いました。