2025.01.31理事長メッセージ
理事長からのなずなメッセージ#230 海外大学留学で生き抜く力とたくましさ・・・一卒業生の事例から
2025.2.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一
令和7年(2025年)がスタートし、あっという間に1ヶ月が経ちました。この間、高校入試、中学1回目入試(幕張メッセ)が無事終了し、残るは2月4日の中学2回目入試です。大学入学共通テストは、ほぼ全員の高3生が受験しました。また早くも4月からの新年度に向けた準備のため、25年度の人事・校務分掌の作成、25年度の年間行事予定表、大きな行事(宿泊行事、文化祭、土曜講座、各種セミナーなど)の具体化が進められています。
2024年の学園トピックス42項目(学園の取組み、生徒の活躍)から、教職員が選ぶ重要トピックスが決定しました。
1位 吉田学年(高校76回卒)の進学実績
・・東大合格者数過去最高の27名(既卒生含め31名)、難関10大学及び国公立医学部合格者数80名、国公立合格者数147名(卒業生の34.8%)
2位 文科省よりSSH校として第4期目の指定
・・教科をまたがる学際研究と地域の科学技術教育への貢献を目標に5年間実施、1期より計20年間
3位 なずな祭5年ぶりに来校者制限を撤廃
・・一般来場者2日間合計約16000人になる。街歩き・キッチンカーなど新企画を導入
4位 中学第1回入試の男女別定員枠を撤廃
・・男女枠なしで280名(従来男子180名、女子100名)
5位 高校陸上部 高1女子生徒の活躍
・・インターハイ200m6位、国民スポーツ体育大会100m2位など各種全国大会で活躍
その他生徒の活躍として主なものは、下記の通りです。
*かるた同好会、演劇部、高校ハンドボール部、中学ハンドボール部、中学硬式テニス部、中学陸上部、応援部、山岳部などが県、関東、全国大会で活躍
*高1生(現高2)JICA国際協力中高生エッセイコンテスト最優秀文科大臣賞受賞
*高1生千葉県高校総合文化祭将棋大会A級優勝、全国大会出場
*トビタテ!留学JAPANに13名合格(学校別合格生徒数全国2位)
*SSHの活動:
科学の甲子園ジュニア、千葉県大会優勝、全国大会準優勝
科学の甲子園、千葉県大会優勝、全国大会出場(初)
高3生日本地球惑星科学連合2024年大会高校セッション最優秀賞
さて海外や地方から短い休暇期間を利用して帰省した卒業生が、学園を訪問し、親しい教職員と会い近況を報告してくれるのは本当に嬉しいことです。
今回印象に残った卒業生のUT君(2023年3月卒、高校75回)のことを述べたいと思います。彼は経済的に困難な中、目指す海外大学進学を熱望し、卒業生寄付者による「HKなずな奨学金(海外大学奨学金)」の授与者に選ばれ、昨年1月ボストンのBerklee College of Music(バークリー音楽大学:ジャズおよびアメリカ現代音楽など商業音楽を専門とする世界最高の音楽大学)に入学を果たしました。大学ではオーディオテクノロジ-・レコーデイング・サウンドエンジニアリングを専攻、英語の壁のある中、優秀な学業成績をおさめ奨学金2年目の授与が決定しました。
学業のみならず、ステージ演奏や音楽アルバムの発表など作編曲、アニメのサウンドトラックやコマーシャル音楽作成、アルバムカバーデザインなど幅広い活動をしています。こうした活動を通じ各国のそれぞれの専門家など多くの出会いがあり、人脈(ご縁)を広げており、自分の好きな分野での活動が楽しく、人生で最も密度の濃い時間を過ごしていると話していました。さらにたくましい精神力で1年間全く日本語を話さないほど現地に溶け込んでいました。インターネット時代、多くのことがコンピューターを通しスキルを修得でき作品を公開出来る中、大切な情報を見極め選択できる「判断力」が、積極性と共に必要と述べています。また将来の目標は音楽演奏家だけでなく、日本を代表するマルチアーティスト、クリエイターを目指すとのことでした。
強く印象に残ったのは、到着後直ちに困難な状況に直面し生き抜いた力でした。米国初日、吹雪のボストンに到着したが、ロストバゲージ、物件詐欺(契約し家賃支払いまで済んでいた部屋にすでに人が住んでいた)に遭遇し、途方に暮れます。更に祝日で大学も閉鎖、仕方なくショッピングモールで夜を明かし、翌日警察に駆け込み、警察の聴取後大学へ連れられ、そこで渡されたのはフードバンク・マップ(食料炊き出し配給の地図)でした。誰も知り合いのいない異国の地で、日々生きぬくのは自分の力だと懸命でした。
大学の新入生歓迎会でも同級生の積極性とレベルの高さに圧倒されますが、勇気をもって手を上げ演奏し存在感を示し、多くの友人を得たこと。恥ずかしい、目立ちたくない感情はこの国にはない、積極性と生き抜く力が道を開くことを実体験したのです。
多くの人に助けられながらも強靱な生き抜く力、更に多くの出会いを自ら獲得し成長する姿に感動した次第です。
グローバルな活躍を目指す若い力のたくましさと未来に希望を感じました。
