2026.04.30理事長メッセージ
理事長からのなずなメッセージ#245 幼児教育と絵本の深さ・・・「おおきな木」
2026.5.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一
26年度がスタートし1ヶ月、あっという間に過ぎました。
4月は新しい出発、新しい出会いの月です。学園では、4月8日に在校生の始業式、9日には中学・高校それぞれの入学式が、桜の花が咲き続ける中で行われました。翌日からオリエンテーションなどを行い、13日から全学年の授業が始まりました。さらに18日には、生徒主催による新入生歓迎会(クラブ紹介など)が行われました。
各学年では新たな出発にあたり、新鮮な思いを込めた学年通信を出していますが、特に中1と高1の表題と学年主任の思いを紹介します。
中学1年生:表題「Ichikawa Commons」
互いに切磋琢磨し、協力し助け合うことを意味する「共有地(入会地)」です。スローガンは、「パラダイムシフト」としました。考え方が劇的に変化することを意味しますが、新しい学びや新しい友との出会いを通じて視野を広げ、これまでの常識を更新してほしいという願いを込めています。
高校1年生:表題「やらまいか」
授業・部活動(委員会)・課外活動の3本を柱とする「三立」を生活と学びの土台とし、HONDAの創業者である本田宗一郎の「やらまいか精神」(まずやってみる姿勢)を軸として、生徒一人ひとりの成長を支えます。
さて、学園には3つの幼稚園(市川学園幼稚園、第2幼稚園、西の原幼稚園)がありますが、その一つである第2幼稚園の連携施設として、第一グラウンド内に1~2歳児の保育施設「キッズフォレスト」の園舎が完成し、4月1日より19名の園児を迎えて保育をスタートしました。
2300㎡の森の敷地の中にある素晴らしい建物です。創立者・古賀米吉は0歳からの幼児教育を重視しており、創業の地に保育施設が誕生したことは感慨無量です。建学の精神である「一人ひとりの特徴をよく見て伸ばそう」という『なずな教育』のスタートの場です。
設計者のコンセプトは、「木漏れ日が降り注ぎ、陽ざしが漏れてくる空間で、四季を感じ、感性を豊かに過ごす保育施設」です。また、市川学園幼稚園でも、園内において2歳児からの保育を始めました。
3つの幼稚園はいずれも、絵本・童話をたくさん所蔵し、親子での読書を重視しています。貸し出しできるたくさんの絵本・童話に加え、原画の所有と展示、絵本・童話に関する行事を行っています。絵本や童話には、大人が読むべき作品が多く、素晴らしい本が多数あります。
第2幼稚園では、絵本作家による講演、原画展示、年長組の絵本遠足(クレヨンハウスでの絵本の選定と購入)など、絵本や童話に関するイベントを園の特色あるプロジェクトとして推進しています。
特に絵本は、絵と文章が「コトバ」となり、シンプルですが、人生・愛・成長・老い・孤独・幸福・友情などの本質的テーマが多く、余計な説明がない分、深く考えさせられる本が多いと思います。
大人が絵本を読む理由としては、こうした本質的テーマに触れられること、想像力・感性を取り戻せること、短時間で深い読書体験ができること、自分自身に向き合えること、そして心の癒しになることなどでしょう。
最近感銘を受けた絵本は、「おおきな木」(原題The Giving Tree)で、シェル・シルヴァスタイン(1932~1999:米国の児童文学作家、詩人、音楽家、漫画家)が文も絵も書いており、1964年米国で出版、31ヶ国語に翻訳されたロングセラーです。(日本語訳:本田錦一郎)2010年には村上春樹による新訳が出版されました。
リンゴの木(She)が、少年(Boy)の一生に、最初から最後まで、すべてのものを与え尽くす物語です。少年はリンゴの木の葉、実、枝、幹のすべてをもらい尽くし、お金にし、家をつくり、船をつくり、人生の旅を過ごし、最後に年老いて、古株だけになったリンゴの木に戻ってくるストーリーです。
読者は、自分は木なのか、それとも少年なのか、幸福や無償の愛とは何か、現実の人生の事例など、いろいろと自由に考えることができます。
絵本や童話は、平易でありながら、深い哲学書でもあると思います。
参考文献;
おおきな木(シェル・シルヴァスタイン、村上春樹訳:あすなろ書房)
英文(日本語訳つき)のものもあります。
Wikipedia:おおきな木(音声資料あり)
Wikipedia:シェル・シルヴァスタイン
NHK100分de名著 絵本スペシャル

