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2022.01.07理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#196 次の世代に美田を残す気概を

22.1.7.
市川学園理事長・学園長 古賀正一

新年おめでとうございます。始業式の日、生徒、教職員共々元気で集えることに感謝します。

コロナ禍で当たり前のことが如何に大切か、「無事是貴人」です。オミクロン株が短期間で急拡大しています。1月は、授業開始とともに、中学・高校の入試、大学入学共通テストが始まります。感染防止の基本行動を徹底するとともに、現在の感染状態が改善することを祈るや切です。

高校3年生は、2年間のコロナ禍のなか、修学旅行などまともに出来ず代替の行事が多いなか、今まで頑張ってきました。昨年末終業式の日(12月21日)全員が古賀記念アリーナに集まり、激励会を行い、小職、校長、副校長、学年主任、担任、副担任全員から、短い激励の一言を話しました。小職からは下記を話しました。

「2つのNever Give Up、最後まで決して諦めないこと。1つは、試験の最後まで諦めないこと。入学試験の合否は本当にわずかな差できまる。10点差5点差2点差かも知れない。最後の答案の見直しまで、おちついて試験に臨んでほしい。一方もうひとつは、自分の本当にやりたいこと、希望・目標を決して諦めないこと。人生100年時代 1~2年のおくれ、回り道や道草など全く問題ない。この2つの諦めないことは、これからの人生のあらゆる場面で大切です。」

さて 昨年を回顧するとコロナ禍のなかでも生徒の活動、学園の施策が着実に進歩しました。代表的成果を挙げてみます。

1. ICTの活用の拡大;サイボウズによる勤怠・出張など各種申請のペーパレス化、ホームページのリニューアル、Line公式アカウントでの情報発信
2. 現役国公立合格実績拡大(東大現役18人、難関10大学+国公立医学部合格73名、国公立合格率35%150名)
3. 生徒主体の新なずな祭と中3の演劇祭、生徒主体中学学年別体育大会
4. 神田外語大学との協力によるグローバル・イシュー講座と探求学習
5. 保護者交流会において、オンラインでの卒業生の体験的パネルディスカッション、同窓会によるオンラインの高1生向けキャリアセミナー、大学生向けの就職前のオンライン・キャリアセミナー
6.生徒による部活はじめ外部の大会やコンテストでの活動成果多数

* 日経ストックリーグ中3チーム中学部門最優秀賞
* 【吹奏楽部】全国シンフォニックジャズ&ポップスコンテスト 金賞
* 【水泳部】高2生全国大会(男子1500m自由形第5位/400m自由形第7位)
* 国際シンポジウムOral Presentation化学・地学分野 高2生最優秀賞
* 全国高校生模擬裁判選手権(日本弁護士連合会) 高2生11名 金賞
* 【応援部】全国大会出場、中学・高校それぞれ部門優勝
*「Global Link 2021」世界大会(参加国:日本・日本・台湾・シンガポールタイ・ベトナム)General Science部門 高3生 優勝
* 全国物理コンテスト「物理チャレンジ2021」 高3生2名 銀賞
* 【中学男子硬式テニス部】全国私学大会出場(創部初)、関東大会ベスト16
* IEEE TOWERS(工学系若手研究者の学会) 高3生 Outstanding Presentation Awards(第2位)
* 小泉信三賞全国小論文コンテスト 高1生 次席(304篇中2位)
* 高校生ビジネス・グランプリ 高1グループ(4名)1月決勝へ(10校)

さて今年は、4月から第5次中期計画(2022年度~2025年度の4年間)がスタートします。すでに4回の中期計画で、目標・計画をたてることの重要性を体得し、PDCAを実践しています。中期の計画を立てることは、大学や企業と同じく中学・高校でも重要です。現在 2つのワーキンググループをつくり検討し、更なる学園のステップアップを目指します。

第5次中期計画の目標
○建学の精神(普遍的理念)を羅針盤として、これからの教育(Society5.0・第4次産業革命時代の教育、令和の日本型教育)を先行して実践すること
○全国での存在感・卓越性、学園のidentityを更に高めること
○国際社会で活躍できる品格あるリーダー、随所に主となれる人材を多く輩出すること
○真の紳士淑女となり自ら学び生涯学ぶ「第三教育の達人」をつくること。2027年4月は学園創立90周年です。

教育の方向と課題
○リベラルアーツ教育と5つの力(学力、教養、科学、国際、人間力)は不変とし、互いに関係しつつ深く実践し進化、生徒に取り楽しい学園と教職員の明るい闊達な風土(積極発言、挨拶)を高める
○生徒自らが真にやりたいことを追求する。第一志望進学、新しい行事(なずな祭、演劇祭…)やイベント開発、講座・ゼミの開発、生徒自身が考えるモラル・マナーなど。

経営の方向と課題
○学園の持続的発展と経営の安定(人物金情報の有効活用)
○学校ガバナンス(危機管理、課題早期発見・本質改善、秩序・法例遵守)、教職員の力・熱量とモチベーション発揮、誠実と気概、感度とスピード、法人本部の役割拡大(教職員・生徒支援)、学ぶ環境の保守・改善・新設。

「子孫に美田を残さず」と言う言葉とは逆に、地球規模の環境問題、貧困・格差問題、財政再建、人づくりなど、今こそ次世代のために長期目標をたて、将来に美田を残すべく尽力すべき時であります。SDGsの実行こそ然りです。
政治も企業もいまや短期目標、短期思考に走りすぎています。なか・長期の思考が重要な時です。教育はすぐ効果が出るものでなく、今やることと同時に長期の思考が不可欠です。一人一人の生徒の特色を引き出し、変化の激しい時代に自分で学ぶ力をつけ、自立力を高め、幸せな人生を送るための質の高い教育こそ、将に次世代への美田です。今年は学園の新しい中期計画の初年度であり、長期の思考で施策をねり、「次の世代に真の美田を残すべく」注力したいと思います。 

「長期思考は人類の最も偉大な隠れた才能の一つかも知れない」
~『The Good Ancestorわたしたちは「よき祖先」になれるか。』(ローマン・クルツナリック あすなろ書房)SDGs関連書