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2022.06.01理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#201 ウェルビーイング・・・健康・幸福の大切さ

22.6.1.
市川学園理事長・学園長 古賀正一

 オミクロン株の収束が未だしの中ですが、学校教育活動の制限緩和と感染症防止対策の両立をはかり、生徒が可能な限り通常の楽しい学園生活を過ごせるよう努力する日々です。学園も1学期の節目の中間考査を終え、新入生にとっては、初めての多忙な2ヶ月だったと思います。
 授業は勿論のこと部活・行事・課外活動を通常に近く行うべく慎重に計画しています。中学3年のシンガポール修学旅行は、現時点で1学年全員の海外修学旅行は無理と判断し、広島、長崎、北陸と3班に分かれ11月に国内旅行を予定しています。また、高校2年生の修学旅行は沖縄本島5コースを11月に、中学2年生の京都・奈良宿泊研修も11月に予定しています。これら修学旅行や宿泊研修は、事前の学習、現地・現場での学習と体験、事後の学習と発表の3つが大切です。特に現地では十分五感を働かせ、友人と共に旅を楽しんで欲しいと思っています。
 さて、この2年間海外国際研修を全く行えませんでしたが、今年度はイートンカレッジ研修を実施することにしました。イートン校の受け入れ対策・感染対策等、イートン校日本事務所が事前チェックをし、その報告を十分確認し、生徒・保護者にも説明し実施するものです。高1,高2の生徒対象で男子10名、女子16名の枠で行います。それ以外の国際研修は、国内で実施します。市川学園・神田外語大共催グローバル・イシュー探究講座(5月~8月、高1,高2)、エンパワーメント・プログラム(8月、高1,高2)、新規としてリソルの森での探究研修(8月、中3)等です。
 また、WSC(ワールドスカラーズカップ)という総合的教養力(討論、エッセイ作成、テーマ演習問題など、出題分野は文学、芸術、科学など)を全て英語で競う世界大会があります。国際教育に注力する私立中学・高校やインターナショナルスクールなどの50チームの強豪が参加した国内大会(今年は東京のみ)で中学部門、高校部門共に学園チームが優勝、更に参加した学園の全チームが世界地域別大会(バンコック、プラハ、ドバイ)出場の権利を得、8月末にタイのバンコック行くことになりました。そこで優秀な成績をとると、世界決勝大会(米国イエール大学)に出場権を得ます。
 さて、最近ウェルビーイング(Well-being)という言葉が話題です。幸福、健康、福祉、善い在り方などが訳語です。これは身体、心、社会活動で健全なる状態、即ち善くあることであり、WHO憲章の前文にも健康の定義として、「健康とは、単に病気でないとか、虚弱でないということではなく、肉体的、精神的、社会的によい状態(Well-Being)であることをいう。」とされています。更にはSDGs(国連の持続可能な開発目標、17目標)にも関係し、特に第3目標は「全ての人に健康と福祉を」(Good Health and Well-being)とあります。また幸福学やポジテイブ心理学(マーチン・セリグマン創始)等広く関係しています。勿論幸福については、ギリシャ時代(アリストテレスのニコマコス倫理学など)から現代まで多くの哲学者や心理学者、宗教家が説いてきています。ウェルビーイングは、現代の個人、社会、家庭にわたる具体的活動に直結し、種々の調査・統計にもとづく具体的な研究と実践手法が開発されています。
 一方日本は幸福感や自己肯定感は、平均として非常に低いという統計がでています。世界149の国・地域を対象にした最新の国連世界国別幸福度ランキング(2022年)で日本は54位です。(1位フィンランド、北欧初め欧州は上位、米国16位、英国17位、シンガポール27位、韓国59位、中国72位)
 21世紀を担う生徒の皆さんは、自分のやりたいことを目標に、積極的に行動し、自己肯定感を持ち、グローバルに活躍し幸福な人生を送って欲しい、ウェルビーイングを追求して欲しいと念願しています。
この分野(幸福学)の熱心な研究者の一人である慶応大学大学院システムデザイン・マネジメント科の前野隆司教授は,最近ウェルビーイング学会をつくられ、シンポジウムも開いています。前野先生の幸福度の調査に使われる4つの因子は、幸福であるための大切な要素であり、生徒の皆さんへの具体的よい教えであると思うので列記します。
  第一は「やってみよう」・・・夢や目標を持ち主体的に取り組む、強みとやりがい
  第二は「ありがとう」・・・感謝とよき人間関係、利他の精神と思いやりをもつ
  第三は「なんとかなる」・・・前向きで楽観的、チャレンジ精神で道は開ける
  第四は「ありのまま」・・・自分を他者と比較せず自分らしさを保って生きる
 ウェルビーイングは、学園の教職員が常に身体と心が健全で、生徒第一の教育活動に前向きに取り組み、幸せであるためにも大切です。学園は常に職場環境、教職員の心と体の健康、働きやすさ、研修・自己啓発などに注力しています。
 「幸福とは最高の善である」(アリストテレス:ニコマコス倫理学)