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2022.07.31理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#203 出会いを大切に・・一期一会の精神

22.7.1.
市川学園理事長・学園長 古賀正一

 今年は7月15日が終業式で、47日間の長い夏休みになりました。新型コロナウイルス感染急拡大の中、生徒達はコロナ感染防止の基本を守りつつ、自由時間を、部活に、行事に、夏期講習に、課外活動にいそしんでいます。部活での顕著な成績は、高校ハンドボール部、水泳自由形400Mと1500Mの高3男子生徒が、いずれも四国で行われる全国高校総体(インターハイ)に出場します。また将棋部中2生徒が中学生将棋名人戦で全国優勝を果たしました。
 さて物事は与えられたものより自分で選択したことの方が、やりがいがあり楽しいものです。学内外の課外活動は、対面は勿論のことオンラインの活動も多くなり、幅が広がりました。教育研究部が中心になり生徒に課外活動の情報提供をしていますが、生徒も自身で探索し情報入手し、友人と相互に情報共有をするものも多く、多種多岐にわたります。
 学園での学びで大切なことは、よき友と出会い互いに啓発し合うと共に自主的に学ぶ「第三教育力」をつけることです。自主的な学びは、授業・ゼミ、行事、クラブ活動・生徒会活動は勿論、特に課外活動に必要です。課外活動は学内で募集するものと、自主的に参加するものがあります。前者は「SSHの体験学習」「ふくしま学宿」・「トビタテ!留学JAPAN」、「NPOでの社会問題解決インターン」など多数あり、後者は「The World Scholar’s Cup」(中高生の英語で教養を競う世界大会)、「Camp Rising Sun」(米国のリーダーシップキャンプ)、「政策金融公庫:ビジネスグランプリ」、「ユネスコ活動」、国内海外での種々のコンテスト・交流活動、大学での教育プログラム、MOOCなど遠隔コンテンツ、地域の活動など極めて多様です。これら課外活動の体験を、校外での発表や校内のアカデミック・デイ(3月)などで発表することにより、更に活動の成果が身につき、友人とも情報共有・情報交換の機会が出来ます。
 課外活動で大切なことは、下記の通りです。

1.本当に好きでやってみたいなと思う事を正直に考える。
2.やってみよう精神、何でも見てやろうという好奇心。
3.時間を有効に使う工夫と習慣、タイムマネージメント。
4.アンテナを高くし、よいと思ったらスピーディに動くこと。
5.活動を通じ、新しい世界を知り新しい友人を作り、楽しむ。
6.活動結果を発表することにより、自信がつき更に理解が深まる。
7.将来の目標実現のきっかけ・チャンスとする。

 今回教育研究部から「課外活動のてびき2022」(70頁)がはじめて発刊され、生徒全員に配布されました。この冊子は課外活動の理解に役立ち、先輩の話はロールモデルや目標になり、活動参加のきっかけにもなると思います。
 今年3月の卒業生の「課外活動についての対談」、「活動体験記」は、極めて直近でホットな話です。今まで未知であった体験をしたこと、新しい校内外の友人と出会い多くの発見があったこと、自分の成長を実感できたこと、つながりが広がったこと、好きな事の新しい発見があったこと、異質な出会いと体験で自分の生き方を学んだこと、マルチにいろいろな事をやるための時間を生み出す工夫ができたことなど、実に新鮮で具体的で参考になります。
 更に2017年度から2020年度の先輩(大学生及び社会人)の「過去の卒業生インタービュー」には、大学生活や学問や生き方に課外活動が非常に役立ち、将来の展望にもよい影響を及ぼしていること、勇気や自信を得たことなど沢山の刺激があります。後輩への具体的なアドバイスも多々有り貴重です。
 私は常日頃、生徒が楽しい学園生活のため、3つの宝を得て欲しいと願っています。よい先生との出会い、生涯の友との出会い、よき本との出会いです。課外活動では、通常では出会えない人との出会い、場所や体験との出会いなど沢山の出会いがあります。その後も縁あって出会うこともあれば、一回きりでしかし非常に影響力ある出会いもあります。出会いを大切にして欲しい。
 人生とは日々の出会いの連続といってもよいでしょう。人との出会い、場所、もの、本、種々の事象との出会など、それはたった一度きりのものもあり、そのチャンスを生かすか否かは自分次第なのです。
 一期一会という言葉がありますが、茶道に由来する言葉で、「二度と会えないかも知れない云う覚悟で人に接せよ」という厳しい言葉です。(語源は千利休の高弟山上宗二「山上宗二記:茶湯者覚悟十躰」、井伊直弼「茶湯一会集」)考えてみれば、人、自然・風景、旅、本、学びも今日は一回きり、明日は同じ人でもまた別な出会いかも知れないのです。
 井上靖の著作に「わが一期一会」という随筆集があります。毎日新聞に39回にわたり同名で掲載され、それをまとめた本で私の好きな1冊です。著者の少年の頃、学生時代、壮年、老年の多年にわたり、別離、旅、詩・小説、芸術、人生などいろいろな出会いを語っています。終回に次のような文章があります。『人間との出会い、事件との出会い、風景との出会い、絵画や彫刻との出会い、言葉との出会い・・そのいずれもが何らかの意味で自分の考え方や生きる姿勢に影響を与えてくれたものである。〈中略〉 若い人たちはもっと積極的に一期一会の精神を、日々の生活の中に生かすべきであることは言うまでもない。おそらく素晴らしいものとの出会いは、自分から積極的に自分のものとすべきであろうし、そしてそれは決してできないことではないと思う。』
 一期一会の精神で、日々の出会いを大切にしたいと思うこの頃です。