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2022.08.31理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#204 僅差の価値と重要性

2022.9.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

 47日間のコロナ禍・猛暑の夏休みの間、部活、合宿、夏期講習、行事、自主的課外活動など、対面と一部オンラインを併用しつつ、ほぼ予定通り行われました。感染者は個別には発生しましたが、的確な把握・連絡を行い、それぞれ対策をとりました。生徒・教職員含め重症者はおりませんが、感染した場合はご本人の健康回復が第一で、お互い協力しあい克服して来ており、保護者の皆様のご協力に感謝します。
 政府の方針も保健所・医療体制逼迫の中の緩和体制がとられ、ウイズコロナの工夫が大切になっています。学園として生徒・教職員の安全・健康を第一に、平常に近い形での2学期スタートとなります。勿論始業式など大勢の集まりは、放送またはネットを通じ、或いは人数制限をして行います。振り返ってみれば、昨年2学期は、緊急事態宣言下、隔日分散登校でのスタートでした。2学期始業に当たり下記を留意しています。
 第1は、感染症防止の基本対策(体温・体調管理、マスク、黙食、換気、手洗いなど)は引き続き徹底しつつ、必要によりルールは緩和します。一例として2学期は登校時に管理者や警備員が玄関でチェックはいたしません。生徒の自主性を重んじ、信頼し、登校時に自主的に2段階で検温し、異常な時は保健室に行きます。
 第2は、夏休み中生徒は、それぞれ多くを学び成長したと思います。普段出来ないことや新しい体験や新しい出会いがあったと思います。是非各々の成長ぶりを支援し、成果を共有したい。その出会いの一期一会の積み重ねこそが生徒の力になっていると思います。
 第3は、長い休みとコロナ禍、猛暑の中、悩みを抱え心の不調を訴える生徒、不登校気味になる生徒もいると思います。担任、学年団は勿論、保健室、カウンセラーとも連携し、きめ細かい対応をいたします。

 さて今夏スポーツの部活動での卓越した成績をあげた一例を挙げます。
 高知で開催された全国高校総合体育大会(インタハイ)水泳で、高3蔵本大和君が400m自由形において3分54秒00で優勝(自己ベスト更新)、最後の50mで猛追しタッチの僅差の勝利でした。2日後の1500m自由形決勝では惜しくも2位でしたが、15分26秒53(自己ベスト5秒更新)で1位とわずかに0.05秒の紙一重の僅差でした。勿論本人は2冠が達成できず悔しかったと思いますが、ベストを尽くした充実感があったとのことでした。NHKBSテレビで観戦し手に汗握る接戦は感動でした。優勝の自信と2位の悔しさバネに更に大きく飛躍して欲しいと念願しています。
 スポーツでは、甲子園の高校野球でもサッカーでも、一発勝負のトーナメント戦では僅差の戦いが多く、接戦の勝負が人に感動を与えます。優勝や1位は脚光を浴びますが、準優勝や2位は目立たないものです。僅差の2位は紙一重であり、捲土重来を期してほしいと声援したいものです。
 スポーツの世界に限らず、人生あらゆる分野でよい競争相手がおり、僅差(僅少)が生まれ、切磋琢磨を続ける事で進歩します。政治の世界、官界、民間、学界など全ての分野で良き僅差の競争者(ライバル)がいることが重要です。僅差は互いに緊張感を生みます。独走や一方的勝利は、進歩を阻害する場合があります。
 人生には多くの試験があります。学園の入学試験から学内の試験・選抜、大学入学共通テスト、大学2次試験、大学内で進路振り分け、卒業論文、就職試験、社会における試験や競争など様々です。全ての試験や競争は、最後は僅差の勝負です。1~2点の所に数十人数百人が並びます。高校3年生には大学入試は僅差の勝負であり、合否は数点の差で決まるので、最後の答案提出まで諦めないで欲しいと話しています。当学園の中学・高校の入試も同じで、受験生は最後まで諦めないで頑張って欲しいと思います。
 2年半のコロナ禍の困難な中、生徒達はよく頑張ってきました。特に自主的に学ぶ力、自主的活動、即ち自ら考え学ぶ第三教育力が向上したと思います。今まで述べたように、人生のあらゆる場面でわずかな差や運で、勝ち負けや成否の決まることが多く、決して諦めないこと、やり抜く力が大切です。僅差なるが故に次の挑戦が可能なのです。また自分の本当にやりたいこと、希望・目標を決して諦めずやり抜く力が大切です。人生100年時代は回り道や道草など全く問題ありません。常に僅差と思い諦めないことが成功の鍵であると生徒を常に応援しています。