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2023.01.31理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#209 時間の大切さ・・・自分の時間、他人の時間

2023.2.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

 新型コロナウイルス感染症もウイルスの変異が続き第8波となり、5月から感染症法上の5類への移行方針も決定されました。今やウイズコロナの時代です。2020年1月15日に日本で初の新型コロナウイルス感染症(中国武漢滞在歴)が確認され満3年、種々のワクチン、治療薬が開発され、すでにワクチン接種も5回目となりました。ゼロコロナ政策をとっていた中国も行動制限を緩和し、春節(22日)の休暇で旅行・移動も多く、感染者数の爆発的拡大が報告されています。

1月~2月は例年の如く試験の季節です。1月17日高校入試、20日幕張メッセでの中学第1回入試が無事終わりました。特に中学は前年より10%志願者が増え(一般入試13%増)、学園の評価が上がっている証左と思います。行動制限は緩和されましたが、メッセ入試は昨年と同様に、検温、マスク装着、特別室設置、受験生一人に長机一席とするなど万全の対策をとりました。受験生が良い環境で安心して受験できるように、全教職員が総出で対応しました。また電子採点システムを新たに導入し、採点の効率も上がりました。入試は2月4日の中学第2回入試を残すのみであります。
 一方コロナ禍の中、3年間を過ごした高校3年生は、本当によく頑張ってきたと思います。大学入学共通テスト及びその後の自己採点チェックのリサーチを終え、希望の進路である大学2次試験に向かっています。合否は僅差故に、「Never Give Up」の精神で最後まで諦めないで頑張ってと応援しています。本館3階の自習室を覗くと、朝早くから仲間と静かに学ぶ生徒、友人と白板で検討し合う生徒など、受験勉強は個人で黙ってやる時代から変わり、仲間と共に学ぶ傾向が強く、団体戦といわれる所以です。
 人生の一時期自分の限界まで学ぶこと、それも人に言われず自分が主人公で学ぶ勉強は、苦しくとも達成感があり、必ずや底力と自信につながります。
 未来を担う生徒には、勉強に限らず自分の限界まで何かをやってみる体験は重要です。実社会での起業や新しい製品・システム開発など創造的仕事、未知に挑戦する研究活動などは、失敗を重ね、時間にとらわれず限界までやり抜くことで、はじめて成功しています。
 さて時間を大切にすることは、人生でとても重要なことです。自分の時間を大切にすると同時に、他人の時間も大切にしたい。自分の時間を不当に奪われないようにすると共に、他人の時間を無駄にしないような心配りが必要です。
 自分の時間は誰でも有意義に楽しく使いたいと思います。人生の夢や目標達成に、仕事や余暇・趣味に、生活のために、家族のために、また世のため人のために使いたいと思うはずです。時には何もしないでぼーっとする時間も必要でしょう。一方時間を忘れて没頭する時間も大切です。友人や異質な人との交流・対話も刺激を受け楽しいひとときです。また学びや仕事は、計画的に効率的に時間を使うことが要請されます。仕事と生活のバランス、集中と休息、細切れ時間の活用、習慣化など時間活用の工夫は多々あります。いくつかのことを同時並行でやることが効率よい場合もあります。一方自分の時間を不当に奪われないようにする注意も必要です。時間泥棒は各所にいます。人間だけでなく、スマホや種々のシステムや制度も時間泥棒になり得ます。
 一方他人の時間への配慮も大切です。自分と同じように他人も自身の時間を大切に思っているはずです。従って他人の時間を尊重し不当に奪わない配慮が必要です。他人の時間を奪う例は、長々と無用の電話や会話をする、約束した時間に遅れる、仕事の約束の期限を守らず仕事が遅れる、生徒の場合の遅刻、提出物の遅れ、集合時間の遅れ等です。大事な会議での遅れ、集合時間での遅れなどは、結果として他の多くの人の時間を奪う時間泥棒につながります。
 一方自分が時間に遅れることで、致命的な失敗につながる場合もあります。選抜試験の時間、就職の面接時間、種々の出願書の締め切り、重要な顧客との商談の時間などです。
 人生は時間の集積で有り、時間の使い方、効率的仕事の進め方、良い習慣づくりなど時間に関する先人の経験や知恵は多数あります。
 1日24時間は誰にでも平等に与えられているが、限られた時間の使い方や工夫は千差万別です。重要なことは、自分が貴重な時間を主体的に使う主人公になると同時に、他人の時間も大切にする思いやりが必要と思う昨今です。

『時間の使い方は、そのままいのちの使い方になる』
 (渡辺和子 シスター、ノートルダム清心学園理事長 1927-2016)