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2023.03.02理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#210 課題を解決する人たれ

2023.3.2
市川学園理事長・学園長 古賀正一

 2月は行事の多い月であり、また新入生が決まる月でもあります。中学新入生ガイダンスが2月11日行われました。コロナ感染症対策はかなり緩和してきましたが、慎重を期し午前、午後の2回(受験番号偶数、奇数に分け)実施しました。説明会開始15分前にはほぼ全員がそろい、熱意を感じました。例年の如く、校長挨拶、中学教頭による学園生活の説明、事務長による諸手続の説明の後、自転車通学者への説明、英語特別授業の説明がありました。玄関で生徒と保護者が連れだって来る姿を見て、本当によく頑張ったねと声をかけたい気持ちです。入学予定者男子206名女子126名計332名(学則定員320名)が決定しました。
 できる限り行事もコロナ前に復帰すべく、中止していた合唱祭(中2・中3合同合唱祭、中1合唱祭)を3年ぶりに再開し、國枝記念国際ホールに明るい歌声が響きました。教科での練習、更にクラス全員の役割分担、チームワークが重要です。クラス毎に特色があり、入賞を競うと共に、達成感が大きかったと思います。また3年ぶりに中学1,2年合同での百人一首かるた大会が、古賀記念アリーナで実施されました。中1国語、中2古典で、「和歌に親しむ」をテーマに百人一首を題材にした授業を行っており、かるた大会はその集大成で、各クラス20チーム計320チーム、総勢600人以上が集まり、中1,中2が真剣に対戦する姿は、壮観且つ感動的でした。読み手には、全日本かるた協会から先生に来ていただきました。また特別行事として、サッカーの稲本潤一選手(元日本代表)が来校し、体育関係部活の生徒を中心に参加し、学園OBの司会者(大学4年生)とのトークショウを実施しました。生徒からの質問回答も行われ、國枝記念国際ホールが満員になる盛況でした。また新進の女流作家白尾悠氏と作品「サードキッチン」の読者である生徒との対話型ゼミも行われました。
 3月1日には、昨年創設された新しい奨学金「HKなずな奨学金」の第1回授与式が行われ、海外大学進学奨学金授与者1名(内定)、国内外チャレンジ活動奨学金授与者13名に対し、寄付者より、認定書、目録、記念品が手渡されました。
 3月2日第75回高等学校卒業式が挙行され、423名の生徒の門出を祝いました。21世紀の主役になる生徒の人生に幸あれ、平和な日々を祈るや切です。
理事長挨拶の要旨を以下に記します。

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423名の卒業生の皆さんは、新型コロナ感染症パンデミックの当初に入学し、入学式もなく、遠隔授業や制約の多い活動の時期もあり、その中で3年間よく頑張ったと思います。今世界も日本も多事多難ですが、これから21世紀77年間を存分に生き、主役になる皆さんへの期待は非常に大きい。「和して同ぜず」、かけがえのない自分を大切に、自身の特徴を存分に生かし、付和雷同せずに本当にやりたいことを見つけ、我が道を切り開いて下さい。
 今、人・物・金・情報が国境を越え即時につながるネットワーク世界であり、一つの国や地域で起こったことが直ちに地球全体に影響する時代です。
さて2つのことを話したい。
 第一は、「課題解決者たれ」です。今後皆さんは学業や仕事の中で課題や問題点に多くぶつかると思うが、これを解決する人間になって欲しい。広い教養と深い専門を更に学び、社会や日本の課題、国際的課題に直面し、主体的に行動する人間になって欲しい。傍観者や単なる評論家でなく一つでも課題を解決する実行者・行動者になって欲しいと思います。歴史上人類は、創意工夫し多くの課題を解決し進歩してきました。19世紀の英国の哲学者ジョン・スチュアート・ミルの以下の言葉は、諸君の学ぶべき目標に重要です。即ち「勉学の目指す究極の目的は、人間と人間社会が変化する過程で生じる日々の新たな問題に対処しうる能力を高めることである」と述べています。まさに新しい課題に挑戦し解決する能力が大切なのです。データサイエンス・AIの基本的知識、基礎数学と統計学、哲学・歴史・倫理学・生命科学等は、理系・文系を問わず不可欠な知識なのです。新しい研究や新規の事業は既存の学問領域の境界や異なる業種の協力・協業の中にあります。広い教養と深い専門性、チャレンジ精神が必要です。学園がリベラルアーツ教育に注力してきた所以です。
 第二は、「お蔭様」と「ご縁」という言葉を大切にして欲しい。いずれも深い言葉です。
「お蔭様」という言葉・・人間は自分の力、自力(じりき)を高めることがまず大切です。しかし人間は一人では何もできない。自分以外他の人、もの、情報、宗教、自然等あらゆる他力(たりき)のお蔭があるのです。お蔭様という感謝の言葉は謙虚であり、傲慢になってはいけない教えです。人間は自然の一部であり生かされているという感覚が大切です。近年人間はAIや生命科学の発達で何でもできると思い込む傲慢な風潮があります。科学と技術は人間が支配し制御しなければならないのです。
 「ご縁」という言葉・・人やもの、自然などあらゆる出会いを大切にしたい。人生は出会いの連続、何らかの縁で成り立っているといってよい。特に人との出会い、人脈は皆さんの貴重な無形の財産です。たった一回の出会い、一本の電話から道が開けることも人生には多いのです。「一期一会」という言葉があるように、一回きりの出会いと思い、ご縁を大切にしたい。自分から積極的に動かねば良いご縁はできないと思います。多くのご縁を大切に、人間関係ネットワークを豊かに持つことこそが、皆さんの人生を豊かにしてくれるでしょう。  
 最後に皆さんがそれぞれの場で「一隅を照らす人」として活躍することを祈念します。