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2023.03.31理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#211 積小為大・・・小さな努力の継続で大きな成果を

2023.4.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

  さあ新年度の始まりです。新入生中学校332名、高校428名(内進315名、高入113名)を迎えます。また、新たに14名の先生が学園に参加します。いよいよ5月からは感染症法上の分類も5類となり、インフルエンザと同等の扱いになります。しかし、手洗い、換気、密なる場所でのマスク着用の判断など各自が得た3年間のウイルス感染防止の知見を十分に活用する必要があります。原則生徒がコロナ前に近い生活ができるように支援します。
 3月は別れの季節、423名の生徒が元気で巣立ち、各自の目標に進みました。卒業式後、古賀アリーナにおいて後援会主催の謝恩会が実施され、卒業生・保護者主体の心温まる時間を過ごしました。関係教職員それぞれへの卒業生の感謝のことば、学園での活動映像、学年主任以下学年団教員への質問と当意即妙の回答など、卒業生、保護者、教職員が一体となった「一座建立」のひとときでした。6年間にわたる当該学年の主任の挨拶は、「今日まで生徒の皆さんが常にいる生活が当たり前の日常でした。明日からはこの当たり前の生活がなくなる。」と言う寂しさとともに、飛び立つ生徒への期待を述べました。また、何でも相談できるお母さん役の学年副主任は、「卒業生の皆さんは、本当に宝物です。」と述べました。
 中学卒業式は、ほとんどの生徒が市川高校に進むので、従来通り終業式の日に、中学修了式として実施しました。

さて、数学科主任をはじめ数学科教員有志の熱意と努力で、3年間かけて模型等を作成し、『数学博物館』を開館することができました、本館3階で生徒に開放しています。幾何学に関するものが中心ですが、今後も更に改善・進化させ、生徒の学びに役立たせたいとのことです。以下は専門的ですが、教科主任の説明要旨を転載します。
1.コンセプト:理科は物理・化学・生物・地学の実験室があるが、数学にはなく、展示室を企画した。手で触れる模型や実験して体験できる模型を
 多数展示し、壁面には著名数学者や数学の歴史を掲示し、生徒が自由に活用でき、数学に興味・関心をもてる空間とした。
2.掲示:数学通史と数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞受賞者のポスターを壁面に配置した。
3.実物模型展示:幾何学に関するものが多く、特に立体図形に関する模型を多くし、博物館の中心としている。
 1)3次元立体模型:3次元立体で有名な正多面体(正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体)の模型、更に凸多面体(へこみのない
  多面体)の一種ジョンソン・ザルガラー多面体の模型を多く展示した。ジョンソン・ザルガラー多面体とは、すべての面が正多角形の凸多面体であ
  り、92種類であることが1969年に示された。この模型が全数展示されているのは珍しい。
 2)4次元立体模型:4次元の正十二面体である正120胞体や、4次元の正二十面体である正600胞体が展示されている。
 3)円錐曲線(2次曲線)模型:円、楕円、双曲線、放物線が円錐の切断によってできることを視覚化した円錐曲線のオブジェ。楕円の焦点の性質が
  体験でき(楕円ビリヤード)、パラボラアンテナの性質が体験できる。
 4)ゴルトンボード模型:視覚的に統計の二項分布を体験できる。
4.ゼミスペース:数学に興味ある生徒が数学的雰囲気の中、黒板を使い数学の問題を考え、研究や議論のできるスペースを用意した。
5.数学関連書籍:SSHの数学研究で購入した書籍、教科教員の推薦書籍、更に一般向け数学関係の書籍などを多数用意した。

 最後に、新年度に当たり新入生と在校生へのメッセージを以下に記します。
 AI時代の今、課題発見、課題探求、課題解決が重要になります。「新しいことをやってみよう精神」で、自ら学び考える第三教育の力を高めましょう。修得のコツ(要領)をあげてみます。
1.何事も先ず始めること・・準備に手間をかけ結局やらないことが多い。学習や行動のスイッチを入れ、スタートすること。迷ったらまずやってみること。
2.習慣化すること・・学習・読書は、短時間でも日々続け、習慣化すること。習慣は、努力による第二の天性である。「積小為大」、小さな努力の継続、積み重ねにより大きな成果が生まれる。
3.目標が大切・・目標があれば、努力しやすい。人生の目標、進学目標は大切だが、まずは今学期の目標をたててみたらどうだろう。目標到達に何をやらねばならぬか具体的に考えよう。
4.時間の活用・・通学時、待ち時間など短い隙間時間を大切にしたい。朝7時に開く第三教育センターと自習室は、自ら学ぶ最適な場である。
5.疑問と好奇心・・疑問、好奇心、興味を持つことから学びははじまる。分らないことは、辞書や本やネットで調べるくせをつける。友人との対話や失敗も全て先生である。「われ以外みなわが師」である。
6.主体的な学びは楽しい・・人に言われてやるより、自ら計画して学ぶ方がずっと楽しい。進歩・成長こそが楽しさのもとである。
7.学びと休息のバランス・・睡眠や休息、気分の転換は重要である。身体・心・学校生活の健康(ウェルビーイング)は学びの基礎である。

「楽しい学園生活」は、日々自分の進歩・成長を実感することから得られる。