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2016.02.01理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#125 あれかこれかより、あれもこれも

2016.2.1
市川学園理事長・学園長 古賀正一

1月・2月は、試験の季節です。若い人が、懸命に自分の目標に挑戦する姿は美しく、成功を祈っています。ベストな体調で試験に臨むことが大切です。社会に出ると毎日がいわば試験のようなものでしょう。

市川中学校の入学試験は、1月20日と2月4日、高校の入学試験は1月17日と2月5日です。大学入試は、ほぼ全員が受験したセンター試験から始まり、各大学の個別の二次試験が、2月末まで続きます。本校では既に海外大学を受験し、合格した生徒もいます。

大学受験の高校3年生には、下記のことを話し応援しています。
○ 長い人生で考えると、『今の努力は必ず報われる』こと。
○ 入学試験の『合否は僅差であり、最後まであきらめない』こと。
○ 『自分の夢と目標に挑戦』し自分の真の志望を重視すること。万一失敗しても成功へのステップと考えること。

A.今月の話題・・『あれかこれかより、あれもこれも』二者両立を目指す時代

これからは、多様な力と柔軟性、未知な分野への挑戦、そのための新しい知識の獲得に意欲的である必要があります。社会に出ると、あれもこれも知識として必要になり、学びつつ仕事をしなければなりません。まさに本学の『(自ら学び生涯学び続ける)第三教育』の出番なのです。

また自分は文系だから、技術は分らない、理系だから経済や法律は必要ないなどということは通用しない時代です。科学・技術分野は日進月歩、新分野も広がっています。AI、ロボット、ICTの進歩は、職業や働き方も変えるでしょう。

教育においては二者択一の議論が多いのですが、新しい分野への挑戦するための基礎知識・技能を土台に、それを活用する思考力・判断力・表現力、更に主体性・多様性・協働性の態度が重要で、これが新しい学力観です。

将来リーダーを目指す生徒は、中学高校時代にあれもこれもチャレンジし、多くの経験をし、二者両立することが大切であり、それが若さの強みです。教職員も新しい教育の知識とスキルのため、同様の不断の努力が必要です。

  1. 勉強か、部活か
    保護者からよく出る質問です。生徒の成長にとってはどちらも大切です。授業や勉強を通じ各教科の基礎を学ぶチャンスは中学・高校時代です。基礎をないがしろにして知識を積み上げても砂上の楼閣。どの教科も重要。自宅で学ぶ時間も生み出さなければなりません。
    一方クラブ活動は、クラスでは得られぬ上級生・下級生との縦の人間関係、チームワークも学べます。またスポーツ・文化を通じ、他校の同世代の若者と競争し、高い目標に挑戦出来るのは青春時代の特権です。勉強・部活の両立には、時間の配分と時間の使い方の工夫が必要です。細切れの時間を大切にし、時間を無駄にしないことです。
  2. 理系か、文系か
    中学・高校では幅広い知識の獲得が大切で、5教科(英・数・国・理・社)は勿論、情報、保健体育、芸術、技術家庭の科目も、生きるための基礎として不可欠です。大学入試科目にないために、面白い科目に関心を持たないことに問題があります。リベラルアーツ教育が重視される所以です。
    大学が文系、理系と分かれている以上、高校上級学年では、理系、文系どちらかに重点をおくことはやむを得ません。しかしこれからの創造時代の大学や社会では、入試科目にない教科の基礎も重要で、その上で思考力・判断力・表現力や課題解決力が発揮されます。
  3. 知識伝達重視の教育か、思考力・判断力・表現力重視の教育(能動的学習・参加型授業)か
    基礎知識の上に思考力や判断力が培われるわけで、両立は不可欠です。後者の授業が少なかった為、また知識の定着のためにも、能動的学習即ちアクティブ・ラーニング(AL)が必要とされてきています。知識を前提の上で、面接、論文、特色などを重視する推薦・AO入試が、国立大学でも加速しています。また、2020年度より実施予定の新センターテストでは、一部に記述問題も導入されます。
  4. 進学の勉強か、広い教養の勉強か
    共に重要です。大学受験を通じ集中して勉強し、志望の大学に入学する成功体験は、人生でとても大切です。一方自然科学、社会科学、文学や芸術、哲学など自分が興味を持った自主的学びは教養を深めます。
    学園では、各分野の一流の方を講師とする土曜講座、特別講座、リベラルアーツ・ゼミ、市川アカデメイア、国際研修、芸術鑑賞や行事など多くの課外の活動の機会を設けています。また英語弁論大会や論文コンテスト、SSH課題研究発表など校外コンテストへの応募を積極的に奨励しています。
  5. 学力か、人間力か
    この両立は不可欠です。いくら学問ができても挨拶、約束やルールを守る、人に迷惑をかけぬ、正しい倫理観を持つなど人間としての実践すべきことができない人は、紳士淑女とは言えず、軽蔑されます。教科としても、道徳の学びと実践が今後更に重視されるのは、これこそが人格の基礎を築き、生き方の基本だからです。自主性を持たせつつ、的確な生徒指導は不可欠です。
  6. 教養か、専門知識か
    共に大切です。広い教養の上に、自分の得意とする専門を深め、更に関係領域を広げることが重要です。いわばV字型の人間です。中学・高校は広い知識・教養、思考力を、大学では教養と専門を、大学院では更に広い視野を持ち専門領域の研究を深めること、これらが各時期にバランスよく習得できることが大切でしょう。
    若い時代、あれかこれかあまり狭く捕らえず、あれもこれも『何でもやってみよう精神』から、自分の本当にやりたいことがつかめるでしょう。何事も待っていては駄目です。積極的に参加し行動を起こすことです。

B.2016年1月の主な学園行事・活動

  1. 4日(月)-9日(土)SSH米国研修
    今年もSSH『米国トーマスジェファーソン校(TJ)サイエンス研修』に生徒1名。教員1名参加。横浜サイエンスフロンティア高校主催で、当校、都立戸山高校、筑波大付属高校、東京工大付属科学技術高校の代表と教員が参加。スミソニアン博物館、NIH、NASA、大学研究所はじめワシントン周辺の研究施設見学、TJでの授業参加、各校の課題研究発表と交流など密度の濃い5日間であった。
  2. 5日(火)-7日(木)高2冬期講習(英、数、国) 
  3. 8日(金)3学期始業式
  4. 9日(土)-2月2日(火)高3入試直前対策ゼミを各教科実施
  5.  17日(日)前期高校入試
    新しいバスターミナル活用の最初の入試であったが、往復共にスムーズであった。募集定員85名(一般・帰国生50名、単願35名)。受験志願者数1223名、受験者数1217名(一般1033名、帰国生103名、単願81名)、合格者数535名(一般421名、帰国生75名、単願39名)
  6. 19日(火)ユネスコ中国教職員招聘プログラムの視察団33名来校
    SONY DSC中国国内各都市の代表の小・中学校校長、教育長など。生徒との会食、授業視察と中国の先生による授業、学園紹介と交流の教育シンポジウム、クラブ活動視察など、国際交流の半日。学園アンバサダー(今回は中国語のできる生徒)10数名の活躍も大きい。
  7. 20日(水)第一回中学入試(幕張メッセ)
    天候に恵まれ、交通渋滞もなく順調。募集定員280名、受験志願者数2771名、受験者数2679名(一般2608名、帰国生Ⅰ:58名、帰国生Ⅱ:13名)、合格者数1247名(一般1220名、帰国生Ⅰ:24名、帰国生Ⅱ:3名)

C.市川学園2015年10大ニュース

毎年恒例で、教職員の投票により、前年の学園の特筆すべき事項を選ぶもので、下に示します。

1位 創立80周年記念市川学園総合グラウンド・市川学園正門前バスターミナル、周辺道路完成
2位 教職員ノートPC(Windouws7)全数更新
3位 中学軟式野球部が久方ぶりに、県大会準優勝、関東北信越新人野球大会に出場
4位 高校第67回卒業学年の進学実績:東大10名(現浪13名)、国公立合格者数現役119名・合格率26.2%。
5位 高2文系向け金曜日のリベラル・アーツゼミ(LAゼミ)スタート *理系は、SSH授業で課題研究
6位 期末考査の答案返却方法の変更
7位 インターネットによる中高入学試験願書の出願方式を導入
8位 SSHの課題研究でFirststeptoNobelprizeinPhysicsPRIZE受賞、高校科学技術チャレンジ(JSEC)花王賞、その他多数入賞
9位 中学ハンドボール部が関東大会優勝、全国大会に出場
10位 教育研究部を設立(アクティブラーニング、リベラルアーツ教育など新しい教育の研究・実施、推進)

11位以下の主なものは以下の通り。
○ 高校ハンドボール部:大阪インターハイベスト8位、和歌山国体出場、関東大会出場
○ 文部科学省トビタテ!留学JAPANに3名合格し夏活動(全国約300名)
○ 応援部が高校ダンスドリル全国1位、中学USANationals出場他多数受賞
○ 高2生徒慶応大学・野村総研小論文コンテスト入賞
○ 市川学園創立80周年記念寄付金の募金活動開始
○ ラクビー部選手が和歌山国体に出場
○ オーケストラ部:中学が東日本優秀演奏会出場、高校が全国本戦出場
○ 高2生徒読売新聞主催順天堂大学心臓血管外科プログラム参加
○ 書道:全国学校書初展「読売新聞賞受賞」、全日本高校大学書道展「優秀賞」
○ スキー部:インターハイ出場・全国中学スキー大会出場、国民体育大会出場
○ 水泳部:(高校)和歌山国体出場、関東大会出場、(中学)関東大会出場