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2017.08.01理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#143 卒業生によるキャリア・セミナーの実現

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市川学園理事長・学園長 古賀正一

 卓越した私立学校の条件の一つとして、卒業生の社会での活躍と共に、卒業生・同窓会の物心両面の支援があります。80年の歴史を持つ当学園は、すでに38,000人の卒業生を輩出し、各分野で活躍しています。同窓会が近年非常に活発で、支部も14になり、同窓会の組織としての新しい試みが種々推進されています。特に学園の教育活動への直接的支援は、中学生の模擬裁判授業での卒業生弁護士団による指導、ネットマナーについての講義、土曜講座での卒業生の講演などはその一例で、教職員だけでは出来ない教育の広がりがあります。

また学園卒の大学3年生に対し、職業や業種の異なる社会人OB・OGによる[就職活動支援セミナー]は、今年で5回目となり、大変好評です。

さてこのたび、同窓会企画委員会から提案があり、高校生・中学生が、理文選択、進路や生き方に悩んでいる時にこそ、キャリア教育として仕事についてのセミナーをしてはとの熱い提案があり、今般実現しました。

7月22日土曜日『キャリア・セミナー』と銘打ち、学園内の多目的ホールと16の教室を使い実施しました。OB・OG 48名が来校し、生徒は中3から高2の90名(高1が70%)が参加しました。

事前にOB・OGのプロフィール(社名、肩書きなし)を生徒に配布し、また進路選択の現状、志望や興味ある学部・学科、仕事のイメージ、職業の考え、先輩から聞きたいことなどアンケートをとり、生徒一人ひとりの関心事項を把握するなど事前準備がしっかりなされました。その上で生徒個人ごとに3回のグループ座談会(質疑応答)のコースを決めました。

当日は二部構成で、第一部は『キャリア・ガイダンス』として理事長、校長、同窓会代表の挨拶の後、セミナーの主催幹事から、業種、職種、学部の関連、仕事の考え方、自身の紹介、座談会のグループ分けなどにつき説明。その後、第二部『座談会』にうつり16の教室に分かれ、OB・OG3人、生徒5人くらいのグループでの対話、質疑応答が活発にされました。生徒が教室を移動しつつ3回のちがったOB・OGとの対話は、貴重でした。

終了後の生徒アンケートでは、4段階評価で74%が「大変満足」、残りが「満足」の回答でした。感想欄には、「いろいろな人の話が聞けた」、「直接質問できた」などを中心に、「本を読む、ネットで調べるより幅広い話が聞けた、同じ職種・学部の方でも、経験が違い思わぬところで重要な情報が得られた」、「生で仕事をしている人と触れられたので、いままで見ていなかった仕事を知ることができた」、「自分の考え以上のアドバイスをもらえた」、「社会に入って何が問われるかというのが分ったから」などあり、OB・OGも生徒も満足した半日でした。

小職も16教室を全部回ってみましたが、OB・OGの方が同窓の後輩を思い、どんな質問にも懇切丁寧に答え、自分の体験を情熱的に話していたのが印象的でした。また生徒が先輩に積極的に質問する姿にたくましさを感じました。これからは、質問力は極めて大切です。

生徒の今一番の関心事は、授業、部活、行事と共に、理系か文系か、大学進学などですが、今回は少し先の未来即ち大学を出た後の社会での仕事、職業を考えてみる良い機会になりました。将来から現在を振り返り、今の学びや生活を反省し、大学の進路を真摯に考え、『人生をいかに生きるか』という本質的命題にもぶち当たったことでしょう。

今回のキャリア・セミナーのcareerという言葉には、職業、生涯の仕事、履歴・経歴という意味があります。生徒諸君が、キャリアを考えるとき、重要なことを3点挙げたいと思います。

第一に、自分の将来の夢や目標を大切にすること。
どのような職業、分野で活躍したいのか?自分は何が得意なのか?文系か理系か?どういう学科で学ぶか?将来何をやりたいか? 悩み考えることを通して、道は開けるのです。人生一度きり、夢と目標を大切に。

第二に、技術革新の激しいAI時代こそ自ら学び考える力、第三教育力を高めること。
これからは新しいこと未知の事でも、自分で学び考え挑戦する積極性が大切です。新しい職業や新しい職種・仕事も出てくるでしょう。そのとき自ら学び考える力が頼りです。

第三に、自分のためだけでなく他人のため、社会や世界に貢献するという気概を持つこと。
働くことで生活の資を得て、幸せな家庭を築くのは基本ですが、同時に世のため人のために役立っていることは、自分の生きがい、仕事の原動力になるでしょう。

最後に、中学・高校で、OB・OGが、後輩の生徒のためキャリア・セミナーをやっている具体例を知りませんが、あっても限られているでしょう。学園のキャリア・セミナーは、同窓会有志の熱意と学園の積極対応、生徒の意欲の3本柱で実現しました。継続こそ力です。