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2020.10.01理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#181 三方よしの精神・・・学園の社会的責任(SSR)について考える

2020.10.01
市川学園理事長・学園長 古賀正一

2学期がスタートして1ヶ月、例年はなずな祭(文化祭)、中学体育大会、修学旅行、またそのための準備や下調べに忙しい時期です。しかし今年は主な行事は中止または大幅な変更です。なずな祭はなくても、生徒達は立派なポスターをつくりあげ、来年は頑張るぞと横にコメントが書かれているのを見ると、その熱意に涙が出ます。大学入試もいよいよ総合型入試、学校推薦型入試、大学入学共通テストの申し込みがスタートしました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束が未だ遠い段階ですが、コロナと共に経済も回さなければならぬ段階です。感染拡大防止と経済活動の両立に、国も組織も個人も知恵を絞り努力しなければなりません。学園は感染症防止の基本を徹底し、生徒・教職員の安全安心に十分留意しつつ、生徒の学習の活性化、授業の充実を第一に、学校行事、クラブ活動の工夫をしてまいります。

さてwithコロナの時代、自分ファーストでなく他人との協調、自利だけでなく利他の精神、即ち個人も組織も地域も互いの連携・協調が必要です。国同士もますますつながりが密になる中、地球丸の乗組員としての連帯がますます重要なことをコロナが証明しています。2つの超大国が自国第一主義を掲げ、対立を加速していることは、世界にとり不幸で、大きなマイナスです。
企業も、利益・競争第一主義からSDGs等をかかげ、環境問題をはじめ、企業の社会的責任がますます重視され、コロナを通して現実化しています。最近は投資家もその点を重視していると聞いています。勿論適切な競争や妥当な利益造出は、企業の永続性には不可欠ですが、過度な競争や株価・株主第一主義ではなく、全ての利害関係者(ステークホルダー:顧客、従業員、株主、経営者、取引先、地域など)に配慮した経営が問われています。

日本の経営には、昔からから『三方よし』の精神がありました。『三方よし』とは『売り手によし、買い手によし、世間によし』で、商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売といえるという考え方です。近江商人の経営理念を表わすものとして伝えられています。自らの利益のみを追求することをよしとせず、社会の幸せを願う『三方よし』の精神は、現代のCSR((Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)につながるものであり、『三方よし』は伊藤忠商事をはじめ、多くの企業の経営理念の根幹となっています。尚近江商人とは、近江国(現在の滋賀県)に本宅(本店、本家)を置き、他国へ行商して歩いた商人の総称で、大坂商人、伊勢商人と並ぶ日本三大商人のひとつといわれています。

一方学校の経営においても、特に私学は、『三方よし』の精神が重要です。生徒・保護者によし、教職員・経営によし、社会によしです。企業のCSRに相当する学校の社会的責任いわばSSR(School Social Responsibility)ともいうべきものが必要です。公教育の一翼をになう私学としては、至極当然のように思われますが忘れてはならないことです。生徒・保護者によしは、卓越した教育により、生徒を伸ばし、保護者が満足することです。又教職員が働きがいを持ち経営として継続的に安定していることは基本です。更には社会に貢献する立派な人材を世に多く輩出すること、また地域にも貢献し、地域と共生し、地域の皆さんに愛される学校であることが極めて重要です。
学園の地域との共生について考えてみると、市川市の市政施行(1934年)の3年後の1937年に学園は創立され、以来千葉県、市川市、広く地域と共に発展してきました。地域の理解を得て、新しい施設を作り発展し、地域の世話にもなり、一方地域の発展、地域で活躍する人材の輩出にも貢献して今日まで来ました。

今後とも地域の人に愛される学校、地域に貢献する学校であり続けたい。生徒や教職員も地域の人から支援されるよう行動し、生徒の学力だけでなく人間力の向上、マナーやモラルの向上にも更に尽力し、さすが市川学園といわれ続けるよう、SSRを更に高める努力をして行きたいと思っています。