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2006.04.01理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#3 常に学ぶ組織体こそ改革進歩する

理事長・校長 古賀正一

はじめに自己紹介をしたい。

市川学園の創立の前年(1936年/昭和11年)東京都青山に生まれ5歳のときに市川に移り、65年間市川在住。

中高6年間は市川学園、東大では電気工学を専攻、卒業後は東芝に技術者として就職。父の死後市川学園の理事長を兼任、代表取締役副社長退任後は市川学園の教育と経営に力を注いでいる。

黎明期のコンピュータの技術者として入社し、主としてIT分野の研究、設計、生産、ソフト、営業、経営などの仕事にたずさわり、驚くべきITの進歩に参画できたことは幸運であった。

 

その間企業経営と学校経営をやりながら、異質と思われる企業と学校の組織活動における共通性、互いに学ぶべき知見の多いことに気付いた。

市川学園では、企業の知見を利用し、他の学校の良い所を学び、数年来改革を進めてきたが、その中で企業と学校、経営と教育に関連した所見を述べたい。

1.組織は人なり

企業の良否は、究極輝く個の力、集団のチームワークできまる。学校も、質の高い教師集団の情熱とチームワークで価値がきまる。

企業が質の高い学生の採用と従業員教育に力を入れているのと同様、教師志望者の大学(院)教育の質の充実、採用試験充実、教師の研修は極めて重要であり改善しなければならない。

2.経営者は教育者

企業価値が人で決まる以上、経営者は人の能力を最大限に引き出す教育者でありたい。一方、学校の校長はじめ幹部は、教職員の教育に熱心であると共に、経営的感覚を持ち、日常の運営とともに課題発見解決型でありたい。

3.プロフェショナル

企業人は、技術、生産、営業、経理等、職業のプロでなければならない。経営者も経営のプロである。専門の力で勝負する時代である。教師は教育のプロ、実力を問われる。教員免許はプロのスタートであり質の証明ではない。 会社や学校は自分を鍛える道場であり、仕事を通じ自分で学ぶ第三教育が重要である。

4.評価

企業は常に個人も組織も比較評価される。学校も教育内容、日常の教育活動など組織としても、個人としても評価が必要。自己評価も大切だが、兎角甘くなる。他者評価、第三者評価が必要。個人の場合は、複数の人の評価、多面的評価が重要。私立学校は、実は常に評価にさらされている。

目標の生徒数が来るか来ないかが評価のポイントである。評価が悪ければ死である。公立に比較し私学は厳しい。

5.ステークホールダ(利害関係者)

企業は顧客、株主、取引先、地域、従業員である。学校のステークホールダは生徒、保護者、卒業生、地域、教職員などである。なかんずく顧客である保護者と生徒の満足度を高めねばならぬ。

6.競争と進歩

企業はグローバルな競争の中、常に改革進歩せねば生き残れない。また他の業界や会社から学ぶ不断の努力がなされている。学校も適切な競争の中で進歩する。少子化、公立の変革のなか、今や私学は競争にさらされている。日本は、公立に手厚く、私学と公立は対等競争ではない。

それでも生き残るためには、公立以上の智慧と工夫と努力が必要。他校を見、他の業界を参考にすべきである。将来は教育もグローバルな競争(他国との比較)になろう。

7.品質

企業も学校も外から評価される成果と共に、土台になる実力や品質を高めねばならない。企業では製品の品質、仕事の品質、経営の品質などである。

学校に於いても授業の品質、仕事の品質、生徒の品質を高めねばならぬ。特に授業の品質は重要。個性ある授業は大切として、品質欠陥授業は、絶対にあってはならぬ。

改革や進歩の種は無限である。企業も学校も常に学ぶ(ラーニング)組織体でありたい。