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2009.09.01理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#49 正しい評価が進歩を促す

理事長・学園長
古 賀  正 一

 今日から新学期、生徒の元気な挨拶明るい笑顔に接し、しばらく見ない間の成長振りに驚いています。新型インフルエンザ対策については、学園HPおよびなずなネットに掲示の通りですが、生徒自身の健康観察と感染防止習慣、他人への配慮が拡大を防ぐ道です。協力をお願いします。

昨日の総選挙で国民の審判(評価)がくだり、政権交代となります。資源のない日本は科学技術立国でなければならず、人こそが国の資源であり、教育立国を実現しなければなりません。政権が変わっても教育の基本的な方針は変わるべきでなく、教育基本法、教育振興基本計画に基づき卓越した教育政策を推進し、世界レベルでは低い教育投資(GNP比率)を増やしていただきたい。また日本の教育の一翼をになう私学にも十分な理解と配慮をお願いしたい。

さて今日は、評価と進歩について考えてみたい。教育に関しても評価は不可欠であります。学園でも入学試験と選抜、学期ごとの試験と評価、全国レベルの各種テストと評価分析、生徒個人の適性による進路指導、卒業資格の認定評価など生徒個人に関するものだけでも沢山あります。評価により自分の弱点を知り、改善することが学力向上の道です。また教職員も年度目標に対しての自己評価、生徒アンケートによる授業評価、授業公開による互いの評価と授業改善などは教育力の向上に非常に大切です。教員の採用には筆記試験、論文、模擬授業、面接など厳しいテストを課し、市川学園の教師として適正人材を採用します。学園全体としても中期計画での目標設定と評価、年度始めの各学年/教科/部別の年度目標の設定と年度末の評価もおこなっています。また昨年度から学校全体の自己評価も実施しています。世の中でも、公立学校の評価、国立大学法人の中期計画に基づく自己評価と外部評価機構による評価、教育委員会の自己評価と有識者による点検評価、各官庁の毎年度の政策評価など義務付けられています。私立学校の場合、実はもっとも厳しい評価は、受験生、保護者、塾、受験雑誌などからの評価です。結果として応募者が増えるかどうかが最大の評価で、死活問題として日々改善とたゆまぬ創意工夫をしています。

全ての評価で重要なことは、自分の足りないこと間違っていることを知り、原因がどこにあるかを分析し改善することです。例えば学期末試験の場合など、指摘された間違いを十分理解し、再度類似の問題で間違わないことが大切です。点数や順位だけを気にするだけでは進歩しません。一般的に自己評価は自分に甘く他人に厳しいのが人間の常です。自分の利点や実績は堂々と主張するとしても、他者からの評価をよく認識し、自己評価とのギャップを埋めることで人間も組織も成長します。一方評価する側の質も重要です。欠点や課題を指摘するのは当然として、よいところや特色を伸ばすよう激励姿勢が大切でしょう。また特定の偏見や思い込みを避けるためにも、360度評価即ち多様な複数のメンバーやチームでの評価も重要です。

このように評価は多様であり、且つそのための手間もかかります。しかし仮に評価がない世界は、楽で平和に見えますが、個人も組織も進歩改善、創意工夫、切磋琢磨が極めて弱く、沈滞した世界になると思います。評価と適切な競争のある社会こそが、個人も組織も創意工夫、改善、進歩向上し続ける健全な社会でありましょう。