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2010.09.01理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#59 教えること学ぶこと

理事長・学園長
古 賀  正 一

 40日間の夏休み、普段の学校生活では味わえない体験、経験、知識を通して、生徒は大きく成長します。最も重要なことは、生徒も教師も共に、健康で怪我なく夏休みを有意義に過す事であります。『安全は全てに優先する』ことが基本で、今夏も大きな事故もなく過せたことに感謝しています。

今夏は異常な猛暑、酷暑、炎暑の中、中1/中2夏期学校、夏期講習、自習室での勉学、クラブ活動・対外試合、SSHの大学訪問・発表会など諸活動、中3カナダ語学研修、中3英国ロッサール校での語学研修・寮生活、白神山地研修など充実した活動が行われました。夏休みはまさに自ら学び、体験し、日頃学校では出会えぬ方々に出会えるチャンスも多く、第三教育実践の場です。今朝校門に立つと、40日の間に逞しく日焼けした生徒の明るい挨拶の声が聞け、本当にうれしい限りです。

夏休み直前でしたが、SSHの2年目中間発表会の日の午前、高2生徒がSSH研究・実験を市川市31校の小学生・保護者の方々に開放し説明した行事は、新しい試みとして成功でした(『高校生が教える理科・数学体験講座』7月17日実施)。小学生が目を輝かせて説明を聞き、高校の生徒も一生懸命いきいきとして発表し、分かりやすい説明に工夫を凝らしていました。小学生に説明するには、本当に自分が理解していなければならず、いかに難しいか、そのための勉強が血となり肉となったことでしょう。人間は教えることによって、学びが確かなものになります。(人間は教えつつ学ぶものである;ローマの哲学者セネカ)

高3生は、進路のための勉強も一番大事な時期で、それぞれ教師から指導を受けつつ頑張ってきました。よく勉強した生徒は、厳しく真剣な眼差しになり、顔つきまで変わってきていることを感じます。

私自身もお蔭様で、熱中症にもならず過すことが出来ました。妻と国内小旅行をしつつ、読書三昧しました。他に以前から頼まれていた講演を3件こなしました。(秋田市、座間市、私学中高協会)対象は公立の小・中の校長・教頭先生、私立の理事、事務長などでしたが、暑い中 熱心に聴き質問もしてくれました。私も講演をすることで多くのことを学びました。公立・私立を問わず、教育は現場である学校が一番大切で、いくら中央教育審議会や文科省、県・市の教育委員会が方針施策を決めても、実行し成果を出すのは学校現場です。講演テーマはそれぞれ違いますが、日本の学校・教育の変革の重要性、リーダーとリーダシップの大切さ、改革はスローガンでなく現状分析・課題抽出、対策と何より実行が大切であること、教師自身の向上心、人間学の重要性、日本の強さは現場力などを訴えました。

改革(進歩)を阻害する要因として、学校には下記4つがあり、その要因を排除し推進すること、そのためには危機感の共有が極めて重要なことも強調しました。

1、現状肯定や過去の呪縛(前例主義)にとらわれる。

2、井の中の蛙、夜郎自大で自分の学校は問題ないという思い上がり。

3、その学校の常識が世の常識と思う錯覚。(『学校は民間とは違うと云う症候群』で他に学ばない。)

4、学校幹部リーダーの志とリーダーシップの欠如。

私学の特色と長所は、建学の精神の真の実践と独自性、経営・教育改革のスピードと危機感でしょう。私学は生徒が来なければ終わりの厳しい存在です。

それにつけても、今の政治の混迷、政治家(屋)の志のなさ、泥仕合は目に余るものがあります。当面の経済対策と共に長期の成長戦略と富の創出、そして人づくりに命がけになるべきでしょう。

日々の教育活動を通し、学園の生徒が自ら学ぶ第三教育の力をつければ、必ず20年後30年後に花咲き、グローバル社会で活躍する人材を多く輩出できることを確信しています。校長・教職員ともども市川学園の現場力向上、教育の卓越性に微力を尽くす覚悟です。

三樹;『一年の計は穀を樹(う)うるに如くはなし。十年の計は木を樹うるに如くはなし。終身の計は人を樹うるに如くはなし。(管子)』