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2010.10.01理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#60 生徒に活躍の場と機会を与えることの重要さ

理事長・学園長
古 賀  正 一

 毎年2学期は行事が多く、保護者懇談会、2日間のなずな祭がすでに無事終了、今後高校球技大会、中学体育大会と続きます。活力ある学校らしい季節です。保護者懇談会は、保護者の本当のニーズ、困っていることを、広く学年を超えて話し合うのが目的で、保護者・教職員が一同に会し、体験や知見を率直に交換し合い、非常に好評です。今回の講演は東京大学名誉教授、東洋英和女学院大学学長 村上陽一郎先生の『二つの科学』の題で人間にとり科学とは何か、深いお話が聞けました。4つの分科会は、「①進路開拓・将来設計」、「②クラブ活動の意義と学習の両立」、「③思春期の心と身体」、「④ネットマナーとIT社会の危険」で、それぞれ熱心に討議されました。卒業生の保護者の経験談、教職員やカウンセラーのプレゼンテーションも行われました。

なずな祭も二日間とも天候に恵まれ、約14、000名が来校され、熱心に生徒の活動を見ていただきました。恒例の口述研究発表会、趣向を凝らした各クラス・部活・有志による展示、国枝記念国際ホールでの演劇・オーケストラ・ブラスバンド、古賀アリーナでのチアーダンス・バンド演奏、コミュニティプラザでの小グループの演奏・演技、屋台での焼きそば、カレーライス、たこ焼きなどが人気の的でした。

さて本学園の建学の精神の『第三教育=自ら学ぶ力』を、学園時代に会得することは、社会に出たときの宝物です。基礎をしっかり教え込むインプット型教育は不可欠ですが、合わせて高学年になればなるほど自ら学ぶモチベーションを持ち、考え探求し表現し発表する力をつけるアウトプット型の教育が必要です。つまり第三教育の比重が高くなります。昨年来ベストセラーの外山滋比古氏『思考の整理学』(ちくま文庫)の一節に、グライダー能力と飛行機能力の話があります。受動的に知識を得るのが前者、自ら学び考え探求し発信し自立するのが後者です。学園の目指す第三教育とは、まさに自分で飛べる力を持った飛行機型人間の育成です。グローバル時代、自ら人生を切り開く『自立型の人間』こそ社会が必要としています。学園の全ての活動が第三教育の習得の場です。

最近特に思うのは生徒諸君の能力は素晴らしい。能力を存分に引き出すには、活躍の場を与えること、難しいことにチャレンジする機会を与え、且つ生徒本人がやろうというモチベーションを持つことが肝要。成功体験、失敗の経験を通じ、達成感を味わうことです。学園の生徒諸君はやれば必ず出来る一人一人素晴らしい違った才能を持つ『独自無双』の存在です。

最近の活躍の事例をいくつか挙げてみましょう。

1、朝日新聞の『どくしょ甲子園』で最優秀賞・優秀賞受賞

朝7時から図書館は開館し、読書熱は旺盛です。現在最も多く本を読む生徒は一学期200冊以上でした。又朝日新聞『読書甲子園』(学校読書会のコンテスト)では、全国最優秀賞(宮澤賢治著『よだかの星』)、優秀賞(桜庭一樹著『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』)に輝きました。(財)千葉県青少年協会 『私の思い~中学生の主張・千葉県大会』で、中学1年生が活躍、41校3011名の中から最優秀賞を獲得しました。

※ 朝日新聞『どくしょ甲子園』

http://www.asahi.com/shimbun/dokusho/koshien/

※ 千葉県青少年協会 『私の思い~中学生の主張・千葉県大会』

http://www1.ocn.ne.jp/~cpywa/com/event/chugakusei.html

2、自ら課題を見つけ探求する市川サイエンス(SSH)

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定され2年目、高校2年生理科系生徒191名全員が、SSHとしての基礎、実験、課題研究、発表に参加しています。大学や企業の研究室への見学・研修や他校との交流も盛んです。

7月には市川市内31校の小学校の生徒・保護者に実験の説明を行い、分かりやすく説明する工夫を学びました。8月横浜でのSSH全国大会の研究ポスター発表で125校中18校の優秀校に選ばれました。また千葉大の理科研究発表会でも優秀賞をいただき、生徒も生き生きと活躍しています。

3、夏休み中に海外研修で活躍

恒例の中学3年生カナダ語学研修、英国ロッサール校での他国の生徒との寮生活英語研修は、それぞれ生徒に海外に目を開かせ、一回り大きくなった感じがしました。高校2年生の一生徒は、昨年の姉妹校・上海大同中での国際シンポジウムに刺激を受け、今年は日韓交流協会の日韓高校生キャンプと国際文化フォーラム主催の高校生のための短期中国研修の2つのプログラムに参加、韓国・中国の生徒達と交流し啓発しあい、国際的な仕事をしたいと大きな夢を持ちました。

4、クラブ活動の活躍

ゆめ半島千葉国体でも、水泳、ハンドボールの生徒及びOBが活躍しています。古賀記念体育館がハンドボールの会場のひとつになり、第一グラウンド、体育館、記念館の清掃、周辺整備に、教職員・生徒力を合わせました。本学園ではクラブ活動も、人間力育成、第三教育の実践の場と捉えています。

日頃の全て活動も第三教育習得の場です。要は出来るだけ多く生徒にチャレンジする場を与え、自ら体験させ、自信をつけさせることが大切です。第三教育の達人の卵を多く育てたいと念願しています。