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2011.08.01理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#70 夏こそ充電の季節…教育基本計画と千葉県教育振興基本計画について

理事長・学園長
古 賀  正 一

女子サッカーなでしこジャパンのワールドカップ優勝の快挙は、日本国中を歓喜のうずに巻き込み、勇気と希望を与えてくれました。7月18日は、早朝からテレビ応援した方が多かったと思います。

学園は、7月19日終業式で1学期終了、約40日間の夏期休暇に入りました。夏期休暇中は、行事、クラブ活動など例年通り多彩であり、生徒それぞれのメニューで過ごし楽しみ充電します。まさに計画と実行、時間の使い方の知恵比べです。夏休みの過ごし方が、その後の学力・人間力・進路や生き方を決めるといっても過言ではありません。

夏期休暇にあたり生徒と教職員の『安全は全ての活動に優先する』ことと、計画や周到な準備による『備えよ常に』を強調しています。今年は震災の影響で中1・中2の夏期学校がともに志賀高原に変更した以外、行事をほぼ例年同様に実施しています。主な行事は、中3イギリス・カナダの語学研修、白神山地自然学習(SSH),各種のSSH行事、英語シャワー合宿、前期・後期の夏期講習、高3校内勉強会などです。また、自習室、第三教育センター共に特定期間を除き開館しています。

さて、暑い中やや堅い話ですが、『改正教育基本法』と『千葉県教育振興基本計画』についてお話します。先般ある研修会で講演をしたとき、教育基本法を知らない方が非常に多かったのにはびっくりしました。

1.『改正教育基本法』
昭和22年終戦直後制定された基本法は、10条のあまりにも貧弱なものでした。平成18年12月、関係者の尽力で全面改正され18条からなる充実した『改正教育基本法』が制定されました。以下改正の要点を列挙します。

前  文
公共の精神の尊重、豊かな人間性と創造性、伝統の継承、未来を切り拓く教育の基本確立などが明記された。

第一章  教育の目的及び理念

第一条   教育の目的

第二条   教育の目標
幅広い知識と教養、豊かな情操と道徳心と健やかな身体、能力を伸ばし、創造性と自律の精神、職業重視、男女平等・公共精神で社会の発展に寄与、生命尊重・自然を大切に環境保全に寄与、伝統と文化を尊重し国と郷土を愛し、他国を尊重し国際社会の平和と発展に寄与する態度養う。

第三条   生涯学習・・・新設
第四条   教育の機会均等・・・障害者の教育支援を新設

第二章  教育の実施に関する基本

第五条   義務教育・・・内容充実
第六条   学校教育・・・内容充実
第七条   大学・・・新設

第八条   私立学校・・・新設
私立学校の存在と国県の助成責任が明記された。『私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。』

第九条   教員
使命の自覚、研究と修養、養成と研修充実を明記し内容充実。

第十条   家庭教育・・・新設
『父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって…』など明記された。

第十一条   幼児期の教育・・・新設、国県の振興義務明記。
第十二条   社会教育
第十三条   家庭及び地域住民等の相互の連携協力・・・新設
第十四条   政治教育
第十五条   宗教教育・・・宗教の一般的教養尊重

第三章  教育行政

第十六条   教育行政・・・内容充実

第十七条   教育振興基本計画・・・新設
国は教育振興施策の基本計画の国会報告と公表義務、地方公共団体は、基本計画の策定努力義務。

第4章 法令の制定

第十八条   法令の制定

2.『千葉県教育振興基本計画』(教育基本法 第十七条に基づく)
昨年3月に千葉県教育委員会で作成発行されています。基本計画をつくる有識者会議に小職も委員として参加し意見を述べました。この教育振興基本計画に基づき、特に公立学校の教育は推進されます。また5年間の工程表も作られています。私学はこれに縛られることなく学校独自の中期計画で推進すればよいのですが、参考にできます。全ての計画がそうですが、具体的に計画(P)し、施策を実行(D)し、点検(D)し、改善(A)し、成果をあげる絶え間ない行動が大切です。

市川学園では関係する項目は先取りし、独自の目標と第二次中期計画(2010-2015年度)をたて、PDCAサイクルで毎年度フォロウしています。

みんなで取り組む『教育立県ちば』プラン(全92頁、千葉県教育振興基本計画)の目標と施策テーマを下記します。詳細は千葉県教育庁HP参照。

http://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/seisaku/keikaku/plan/index.html

A:世界にはばたく人材育成(3つの施策、10の取組項目)

1) 志を持って、失敗を恐れずにチャレンジする人材を育てる;4項目

2) 歴史と伝統文化に親しみ、郷土と国を愛する心を育てる;3項目

3) 異文化を理解し、国際的コミュニケーション力のある真の国際人を育てる;3項目

B:ちばのポテンシャルを生かした教育立国の土台づくり(8つの施策、29の取組項目)

1) 読書県ちばを推進する;3項目

2) 多様な自然、産業、人材などを生かした体験活動を推進する;3項目

3) 教育現場を重視、教職員の質と教育力の高さでトップ目指す;4項目

4) 道徳性を高める実践的人間教育を推進する;3項目

5) フェアプレーの精神を育てるスポーツ、健康、体力づくりと食育を推進する;4項目

6) 一人一人の特性に目を向けた特別支援教育を推進する;6項目

7) 豊かな学びを支える学校づくり;3項目

8) 安全・安心な教育環境の整備;3項目

C:教育の原点としての家庭の力を高め、人づくりのために力をつなげる

(3つの施策、14の取組項目)

1) 親学の導入など、家庭教育を支援する;5項目

2) 学校教育と社会教育、国公立教育と私学教育、産・学・官、公と民などのネットワークを構築する;5項目

3) 種々な困難を抱えている子どもとその家族を支援する取組を強化し、教育のセーフティネットを確保する;4項目